契約書にも「相場」がある。相場観を持つことの大切さ

契約書にも「相場」がある。相場観を持つことの大切さ

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コラム
契約書を見ていると、「この条項は厳しすぎませんか?」「これって普通ですか?」というご相談をよくいただきます。

実は、契約書には明文化されたルールとは別に、「契約実務上の相場」というものが存在します。

もちろん法律には「こう書かなければならない」という決まりがあるわけではありません。しかし、多くの企業間取引を見ていると、責任の範囲、知的財産権の扱い、解除事由、損害賠償の上限などには、業界ごとの一定の傾向があります。

例えば、

「損害賠償は無制限」
「どんな理由でも返金しない」
「相手はいつでも解除できるが、自分は解除できない」

といった内容も、契約自由の原則から直ちに違法になるわけではありません。

しかし、そのような条項は交渉の場では「かなり一方的な契約」と受け取られることが多く、場合によっては消費者契約法や公序良俗などとの関係で問題となることもあります。

逆に、自社に不利な内容でも、それが業界では一般的であるならば、ある程度受け入れざるを得ない場面もあります。

つまり重要なのは、

「法律上できるか」ではなく、「契約実務としてどの程度が一般的なのか」を知ることです。

私は契約書を作成する際、条文の法的な正しさだけではなく、その業界で一般的に採用されているリスク配分や商慣習も意識しています。

近年は生成AIで契約書を作成する方も増えました。

AIは文章を整えることは得意です。しかし、「この責任制限は相場から見て強すぎる」「この解除条項では相手が合意しない可能性が高い」「この知的財産条項はこの業界では通常こう調整する」といった「契約実務の相場観」までは十分に反映できないことがあります。

そのため、AIで作った契約書が法的には成立していても、実際の契約交渉では「通らない契約書」になってしまうことがあります。

契約書は、裁判になったときのためだけに存在するものではありません。

本来は、お互いが安心して契約を締結し、長く取引を続けるための道具です。

だからこそ、法律だけでなく「相場」を知ることが重要になります。

その相場観は、一冊の本を読めば身につくものではありません。

数多くの契約書を見て、さまざまな業界の取引に触れ、実際の交渉を経験する中で少しずつ養われていくものです。

契約書作成では、「法的に正しいか」だけでは半分です。

残りの半分は、「その契約が現実のビジネスで受け入れられる内容かどうか」。

この視点を持つだけで、契約書の見え方は大きく変わります。

南本町行政書士事務所 特定行政書士 西本

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