サンプルシナリオ(物語調その1ミステリーハウス)

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小説
アナフェマ・ミステリーハウス
【駅構内】
ルーン
何かを見つけて走り出す
「にゃにゃ! 面白そうなもの、発見にゃぁー!」
香穂
ルーンを静止するように手を伸ばす
「ちょっと、ルーン! どうしたの?」
ルーン
走りながら後ろを振り向いて答える
「面白そうなものを見つけたにゃ! 香穂達も早く来るにゃ!」
カナン
両手を広げて首を振る
「はぁ……ルーンはほんと、子供なんだから、全く……」
香穂
苦笑いをする
「あ、ははっ……そこがルーンの良いところでもあるしね。ほらっ! 私達も行こう!」
カナン
ため息をつく
「香穂はルーンを甘やかしすぎなんじゃないの? はぁ……」
壁を見つめて止まっているルーンに近づく二人
【駅ポスター前】
香穂
ゆっくりルーンの横に立つ
「ルーン? 面白いものって?」
ルーン
壁にはられたポスターを指差す
「これにゃ! なんて書いているかわからにゃいけど、このポスターが気になったのにゃ」
香穂
壁にはられたポスターを見る
「どれどれ……ふむふむ……」
「この夏、最高のホラー体験を! 新マップ、アナフェマ・ミステリーハウスへ先行ご招待! かぁ……」
驚いて一歩後ろへ下がる
「って! これお化け屋敷だよ! ルーンは怖いの苦手でしょ?」
カナン
香穂と同じように後ろに一歩下がる
「げげ……あんたなんてもの見つけるのよ! 絶対イヤだからね!」
早口で勢いよく話す
「どうせ子供だまし! こ、こんなので喜ぶのはルーンみたいなおこちゃまだけ!」
「私は! おこちゃまじゃないから、こんなので喜ばないし!」
「こんな子供だましの施設より、もっと面白いところがあるでしょ!」
「そう! そっちのほうが絶対楽しい!」
「ルーンもその方が良いでしょ?」
「こんな子供だましの施設止めたほうがいいわよ!」
「一応言っておくけど! 怖いから嫌とか、そういうわけじゃないからねっ!」
ルーン
ポスターをまっすぐに見つめ続ける
「にゃぁぁぁぁぁっ!!」
香穂に向き直って詰め寄る
「行くにゃ! これ行くにゃ!!」
香穂
詰め寄ってくるルーンを説得する
「ね、ねぇルーン。カナンも他の施設が良いって言ってるしさ、すごく怖いよきっと!」
「ほら、オバケがドーンって出てきたりとか! 怖いでしょ? 絶対後悔するよぉー!」
カナン
香穂に賛成して援護する
「そ、そうよ! 絶対やめたほうがいいわよ。」
「絶対つまらない! 絶対後悔する!」
「ねっ? 違う所にしたほうが良いわ」
ルーン
下を向いた話す
「いやにゃ! いやにゃいやにゃ、いやにゃぁぁっ!」
「ここ行くにゃっ! 行きたいにゃっ!」
香穂
カナンの肩に手を置く
「カナン……こうなったルーンはもう止まらない。諦めよう……」
カナン
香穂の手を退ける
「な、なにっ! 私は別に怖いわけじゃないし! い、いいよっ……私は行っても!」
香穂
ルーンを見つめる
「このポスターには抽選で20組って書いてあるから、絶対に行けるわけじゃないよ」
「落選したら諦めないと駄目。約束できる?」
ルーン
大きくうなずく
「わかったにゃ! らくせん? したら諦めるにゃ!」
香穂
ルーンの目の前に小指を出す
「約束!」
ルーン
香穂の小指に小指を絡める
「やくそくにゃっ!」
香穂心の声
端末を操作する
(限定20組で助かった……こんなの当選したことなんてないし……大丈夫!)
(応募しないで落選したって伝えてもいいけど……)
(ダメダメ! ルーンを裏切るようなことはしちゃ駄目っ!)
(大丈夫! 限定20名様だもんっ! 当たりっこないよ!)
香穂
端末からルーンに視線を移す
「応募完了! 10分くらいで結果が出るみたいだから、少し待ってね」
ルーン
両手を広げてジャンプする
「わぁーい! 香穂―ありがとにゃぁー。早く結果出ないかにゃぁ」
カナン
香穂に耳打ちをする
「あんたほんとに応募したの? 応募したふりをして落選したって言えばいいじゃない」
「ばかなの?」
香穂
小声でカナンに答える
「それも考えたけど……ルーンに嘘をつくのはだめと思って!」
「大丈夫。限定20組なんて当たりっこないよ!」
ルーン
ポスターの前を行ったり来たりしている
「まだかにゃぁー。たのしみだにゃぁー」
香穂
ウロウロするルーンにじっとするように伝える
「ほ、ほらルーン! あまりウロウロ動いてたら邪魔になっちゃうから、じっとしてようね」
カナン
呆れて首を振る
「全く……ルーンは本当に子供なんだからっ!」
ルーン
ポスターの横に座り込む
「子供じゃないにゃっ! カナンよりお姉ちゃんにゃっ!」
カナン
ため息をつく
「はぁ……はいはい。そうねぇー」
ルーン
腰に手を当てて立つ
「そうにゃ! ルーンはお姉ちゃんにゃっ!」
端末がなる
『ぴりりり』
香穂
ポケットから端末を取り出す
「結果が出たみたいだよっ!」
香穂の心の声
(神様っ、どうかっ! 落選していますように!)
香穂
端末を落としそうになる
「あ……えっと……」
ルーン
端末を覗き込む
「どうにゃ! とうせんしたにゃっ?」
香穂
端末のをルーンに見せる
「えっと……当選、しました」
ルーン
その場でジャンプして喜ぶ
「ホントかにゃ! わぁぁーーい!」
カナン
青ざめた顔で香穂に耳打ちをする
「あんた……ルーンのこういう時の強運をなめてたわね……」
「どう責任を取るつもり?」
香穂
焦りながら答える
「責任ってそんな……」
カナン
ため息をつく
「はぁ……まぁ、いいわ」
香穂
顔の前で両手を合わせながら答える
「ごめん。ごめんね!」
ルーン
香穂の服を引っ張る
「香穂―。いつ行くのにゃ? 今からにゃ?」
カナン
呆れながら話す
「今日って、あんた……今から行けるわけないじゃない!」
香穂
カナンに賛成する
「そうだね。今からは行けないかな……」
端末を確認する
「ここには二日後に私達の貸し切りって書いてあるから、それまで我慢だね」
ルーン
拗ねる
「ちぇー、早く行きたいのににゃぁ……」
香穂
ルーンを慰める
「楽しみに待っていたらあっという間だよ! だからちゃんと待とうね」
ルーン
顔を上げて香穂を見る
「そうだにゃぁ。我慢するにゃ」
「楽しみだにゃぁぁー!」
【当日】
【屋敷の最寄り駅】
ルーン
空を見上げて伸びをする
「にゃぁーん! やっとついたにゃぁー!」
カナン
香穂に借りた端末を見ながら歩く
「今言いところだから、ちょっとまってよ!」
香穂
後ろからカナンに呼びかける
「カナン、歩きながら触ると危ないよ」
カナン
端末を見たまま答える
「うっさい! 今いいところだって言ってるでしょ!」
香穂
カナンから端末を取り上げる
「だめっ! 人にぶつかったらどうするの!」
「これから行く場所の説明でも使いたいから返してね」
カナン
香穂のお尻を蹴る
「良いところだったのに!!」
香穂
お尻を蹴られて飛び上がる
「ぎゃふっ! 痛っい! 蹴らなくてもいいのに……」
カナン
そっぽを向く
「ふんっ!!」
ルーン
二人見ながら笑う
「にゃふふふっ!」
香穂
端末を操作する
「さて、気を取り直してっと……施設の説明をするからよく聞いてね」
カナン、ルーン
手を上げて返事をするルーン
「はぁーい」
腕組をしてそっぽを向いたままのカナン
「ふんっ……」
香穂
二人に端末の画面を見せる
「まずここでの目的を説明するね」
「お屋敷のどこかに隠されているお宝」
「『アナフェマの宝』を見つけるのが目的なんだけど……」
「お屋敷の中は迷宮になっていて、見つけるのは簡単じゃないみたい」
カナン
いつの間にか画面を見ている
「あっそー。めんどくさぁー」
ルーン
目をキラキラと輝かせる
「お宝かにゃ! 中身は何だろにゃぁ、マグロかにゃっ!!」
香穂
めんどうくさがるカナンと本気で冗談のようなことを言うルーンの反応に頬をかく
「あっはは……ただの迷宮なら良いんだけど……」
カナン
言葉を詰まらせた香穂の雰囲気に嫌な予感がする
「け、けど、なによ? まさかとは思うけど、変な仕掛けがしてあったりとか……」
「しないよね……?」
香穂
カナンに目をやる
「そうなんだよね……」
「このお屋敷には幽霊が住み着いていて……」
「訪れる者を追い出そうとしてくるらしい……」
カナン
顔を青ざめさせる
「ゆ、ゆうれい……? そういう設定ってだけだよね?」
「実際にいるわけないわよね?」
香穂
ゆっくりうなずく
「う、うん……そういう設定だよ。きっと!」
ルーン
近づいてくる物に気づいて指差す
「にゃっ! なにか近づいてきたにゃ」
香穂
ルーンが指している方向を見る
「あぁー! お屋敷までは専用の乗り物で行くって書いてあったからきっとそれだよ」
無人車の電子アナウンス
香穂たちの前で車が止まる
「香穂様御一行でございますね」
「わたくし、アナフェマ様のお屋敷までご案内するように申し付けられております」
「執事の『ルアス』と申します。」
香穂
戸惑いながら答える
「あ、えっと……ご丁寧にどうも」
ルアス
無機質に話し続ける
「それでは、ご案内いたしますので、後部座席へお乗りください」
『ガチャッ』
車のドアが開く
ルーン
車に飛び乗る
「わぁーい! ふかふかにゃぁー!」
香穂
座席ではしゃぐルーンを制す
「ルーン、お行儀よくしないと駄目だよ」
ルーン
座席で跳ねるのを止めて座り直す
「はぁーい。ごめんにゃぁー」
カナン
立ったまま固まる
「……」
香穂
カナンが動かないことに気づいて声をかける
「カナン大丈夫? 具合でも悪いの?」
カナン
香穂に声をかけられて焦って返事をする
「にゃっ……? な、なに?」
香穂
心配そうにもう一度質問する
「カナンが動かなかったから、大丈夫?」
カナン
車に乗りながら答える
「だ、大丈夫! さっきのドラマの続きが気になっていただけ!」
香穂
安心する
「よかった。青い顔で立ってたから具合でも悪いのかと思ったよ」
カナン
恥ずかしそうにそっぽを向く
「ふんっ、香穂に心配されるなんて! 心外!」
香穂
独り言をつぶやく
「心外って……せっかく心配してあげたのに……」
ルアス
無機質な声が流れる
「それでは、出発いたします」
ルーン
片手を前に突き出す
「しゅっぱーつ!」
【屋敷前】
ルアス
「おつかれさまでした。屋敷に到着いたしました」
「私はここでお待ちしておりますので、お帰りの際はまたご利用ください」
「それでは……どうかお気をつけて……」
「香穂様達の無事を祈っております」
「いってらっしゃいませ」
香穂
目の前の屋敷の不気味さに圧倒される
「うわ……なにこの雰囲気、ゆ、幽霊とか……でないよね……?」
ルーン
目の前の屋敷の広さにワクワクする
「うわぁー! おっきい建物だにゃぁー。早く入ろうにゃっ!」
カナン
今にも泣き出しそうな様子
「ひ、ひぃぃ……今、何か居た……何か動いたっ!」
香穂
カナンを軽く抱きしめる
「大丈夫……そう仕掛けなんだよきっと!」
カナン
精一杯強がる
「べつにっ! 怖いとかじゃないからっ!」
ルーン
動かない二人を急かす
「にゃぁぁー! 早く入ろうにゃぁー!」
香穂、カナン
二人同時に答える
「ちょっとまって!」
ルーン
屋敷に向かって走り出す
「先に入ってるにゃぁー!」
香穂
走り出すルーンを止めようとする
「ちょっと! ルーン! 一人だと危ないからっ!!」
止まらないルーンを追いかける
「一人で危ない目に合わすわけには行かない……よしっ! ルーン待ってー!!」
カナン
走り出したルーンと香穂を追いかける
「ちょ、ちょっと!! 置いていかないでよぉー!!」
「私も行くっ!」
【屋敷内、玄関】
香穂
息を切らせる
「はぁ、はぁ……ルーン、足早っ……どこに行ったのかな?」
「それにしても……なんだろ、この寒気がするような雰囲気……」
「は、早くルーンを見つけないと……」
カナン
香穂に追いつく
「ちょ、ちょっと! 置いていかないでよっ……」
必死に恐怖を抑え込んで強がる
「ほ、ほんっと! あんた一人だと怖いんじゃないの?」
「しかたにゃ……ないからっ! 私がついててあげる」
香穂
カナンが香穂の服を握っていることに気づいてからかうように言う
「ふふっ、ありがとうカナン。カナンは怖くないんだねぇー。すごいねぇー」
カナン
震えた声で必死にいばる
「ふんっ、こんにゃ……こんな子供だましで、私が怖がるわけにゃっ……無いでしょっ」
香穂心の声
(カナンは強がっているけど、しっかり私の服の裾にぎっちゃって……)
(それに怖いのを我慢してるからネコ語尾が出ちゃってる)
(あぁー! もうっ! こういう所すっごく可愛い!)
(尊い……尊すぎるよっ!)
キュンキュンしている香穂の耳に息を吹きかける
「ふっ!」
香穂
息を吹きかけられて飛び上がりながら驚く
「ひっ! ひぇぇっ! なに!? なにぃっ!?!?」
ルーン
笑いながら走り去る
「にゃははー! びっくりしたかにゃぁー? にゃはははーっ!」
香穂
走り去るルーンを叱る
「こらーっ! ルーン、待ちなさい!」
ルーン
笑いながら屋敷の奥へと消える
「にゃふふふー」
香穂
カナンの手を引っ張る
「ルーンを追いかけるよっ! カナン!」
カナン
引きづられるように香穂についていく
「ちょっ! ちょっ、ま、まって!」
【屋敷内、とある一室】
香穂
ルーンを追って入った部屋を見渡す
「はぁ、はぁ……こ、この部屋に、入ったはずなんだけど……」
カナン
膝に手をついて息を切らせる
「はぁはぁ……ちょ、ちょっと……突然走り出さないで……」
「ほんとに、ここにルーンが入ったの?」
香穂
息を整えながら答える
「こ、この部屋に入ったのを見たから……はぁ、はぁ……間違いないと思う」
「部屋の中を探してみよう」
カナン
香穂の提案を拒否する
「部屋を探すって……! いやっ! 私はここで待ってるから、一人で探してっ!」
香穂
カナンに拒否されてしょげる
「そんなぁ……うぅぅ……わかった、絶対ここに居てねっ」
カナン
扉の横の壁に持たれて座る
「こ、ここで待ってるから……」
香穂
恐る恐る室内へと歩を進める
「そ、それじゃぁ……行ってくるから……」
香穂心の声
(うぅぅ……早くこんな所出たい……)
(覚悟はしてたけど……雰囲気だけでこれだけ怖いなんて……)
香穂
突然腕を掴まれて悲鳴を上げる
「きゃぁっ!」
カナン
香穂の腕にしがみつく
「や、やっぱり……私も行く……」
香穂
腕を掴んだのがカナンだとわかって安心する
「な、なんだ……カナンかぁ……びっくりさせないでよ」
カナン
香穂の腕を掴みながら震える
「香穂……ここ、なにかいる……何かいるよぉ……」
香穂
必死に恐怖心を抑え込んでカナンを安心させようとする
「だ、大丈夫、そういう仕掛けがしてあるって書いてあったから」
「本物の幽霊なんかじゃないよ」
カナン
ギュッと強く香穂の腕を掴む
「違う……そんなんじゃないの、私見た……ほんとに見たのっ!」
香穂
カナンをまっすぐ見つめて優しい声で話しかける
「だ、大丈夫だから、それは本物の幽霊なんかじゃ――」
不気味な男の子の声
部屋中に響き渡る声
「ネェ、ボク達と遊ンデくれるの?」
香穂、カナン
悲鳴を上げてその場に座り込む
「いやぁぁぁぁっ!」
「いにゃぁぁぁぁっ!」
カナン
弱々しく震える声
「ねぇ、お宝探しなんて止めて、入り口で待ってようよぉー」
「ルーンだって、飽きたら出てくるだろうし……」
「ね? ねっ?」
香穂
カナンと同じように弱々しい声で答える
「そ、そうしよ……」
「もしもの時は、強制的に呼び戻せるから」
「私ももうこんな所いやっ!」
立ち上がってカナンの手を掴む
「入り口まで戻ろう」
カナン
香穂の手を掴んで立ち上がる
「うん。もどろう」
『バタン』
突然扉が閉まる
香穂
扉の音に驚く
「念の為に開けていた扉がっ!」
カナン
香穂の腕にしがみつく
「いにゃぁっ! もうやめてぇぇっ!!」
香穂
ルーンのいたずらだと思ってルーンに呼びかける
「ルーン! いい加減にしないと怒るよ!」
扉を開けようとする
『がちゃがちゃがちゃ』
「開かないっ! なんでっ!!」
「ルーン! 開けなさいっ! ルーン!」
不気味な男の子の声
香穂とルーンの耳元で話す
「ふふっ、逃サナイよ……」
カナン
悲鳴を上げて走り出す
「うにゃぁぁー!!」
香穂
尻もちをついて動けなくなる
「ひっ……ひぃぃっ」
「カナンっ……まって!」
カナン
戸棚に隠れるカナン
「いにゃぁっ! 来にゃいで、来にゃいでぇっ!」
香穂の心の声
(カナンは戸棚に隠れたから大丈夫……!)
(私も、どこかに隠れなきゃっ!)
不気味な男の子の声
また不気味な男の子の声が聞こえる。
「かくれんぼスルノ? いいよ。ボクがオニダヨ。ふふっ……」
カナン
戸棚の中で頭を抱えて震える
「来にゃいで、来にゃいで来にゃいでっ!」 
不気味な男の子の声
楽しそうにする
「ふふっ……見ィツケタ、一人目、ツカマエタ」
カナン
途中で声が途絶える
「うにゃぁぁっ、こわっ――」
香穂
カナンの声が突然消えた事に気づいて戸棚に駆けつける
「カナンっ! 大丈夫っ? カナン? ねぇっ!」
「大丈夫っ? 開けるよっ!」
「いない……確かにここに隠れたはずなのに……」
香穂
地面にぺたりと座り込んで震える
「もうこんな所いやっ……」
「二人を呼び戻して……早く出よう!」
香穂
端末を操作する
「うそ……なんで? 赤色の文字で強制呼び出しが出来ないって表示される……」
「どうして……なんでっ!!」
「もういやぁぁっ!!」
不気味な男の子の声
「アレ? ドウシチャッタの?」
「もしかして、もう壊レチャッタの?」
「おーい、ちぇ、ツマンナイナァ。もういいよ。バイバーイ」
ルーン
地面にぺたりと座り込む香穂に声をかける
「香穂―? どうしたにゃ? お腹でも痛いのにゃか?」
香穂
心配して声をかけたルーンに気づいて抱きつく
「ルーン! ルーン、どこにいたのっ……怖かったよぉー!」
ルーン
突然抱きつかれて戸惑う
「んにゃにゃ? どうしたにゃ、香穂」
「そんなに強く抱きしめたら苦しいにゃぁっ!」
香穂
ルーンの仕業だと思っている香穂がルーンを問い詰める
「ルーン! どうして扉を締めたの?」
「いたずらにしてはやりすぎだよっ!!」
ルーン
なんのことだかわからないと答える
「んにゃ? なんのことにゃ?」
「脅かそうと思ってクローゼットには隠れたにゃけど」
「クロゼットの中に扉があるのを見つけてにゃ、そっちを探検していたにゃ」
香穂
信じられないと聞き直す
「クローゼットの中に扉? ほんとに?」
ルーン
調べてみてと香穂に言う
「ほんとにゃ、調べてみてにゃ」
香穂
クローゼットを調べる
「このクローゼットだよね? よいしょっと……」
「うわっ! 本当に扉がある……」
「と、言うことはもしかしてっ――!」
ルーン
突然戸棚に向かった香穂を疑問に思う
「どうしたにゃ? その戸棚になにかあるのにゃ?」
香穂
カナンが消えたことを説明する
「この戸棚に隠れたカナンが突然消えたの、もしかしたらこの戸棚にも……」
「あった! 戸棚の奥側を強く押すと回転して下の階に行けるようになってる!」
「おそらくカナンはこの部屋に……きゃっ!」
【屋敷内、戸棚の下の部屋】
ルーン
下の階に落ちた香穂を心配する
「香穂っ! 大丈夫かにゃ?」
「にゃふふー! たのしそうにゃぁ。ルーンも行くにゃぁー!」
「それー!」
香穂
ルーンが上に落ちてきて変な声を出す
「ぎゃふっ……!」
ルーン
香穂を踏んづけた事を謝る
「にゃぁっ!! 香穂、ごめんにゃぁっ!」
香穂
ルーンに大丈夫と伝えてから部屋を見渡してカナンを発見する
「だ、大丈夫だよ。ルーン」
「多分この部屋にカナンが……いたっ!!」
カナン
部屋の隅で丸くなって泣きじゃくっている
「うっ……ぐすっ……ひぐぅ、うぅぅっ……こわいよぉ」
「香穂ぉ……ルーン……こわいよぉ、ぐすっ、うぅぅぅ」
香穂
カナンに声をかける
「カナンっ! 大丈夫!?」
カナン
香穂の声に怯える
「ひぃっ! ごめんなさいごめんなさいごめんなさいっ!」
ルーン
いつもの調子でカナンに声をかける
「にゃははー! カナンみーつけたぁー!」
カナン
ルーンの声に気がつく
「うぅぅっ……ひぐっ……」
「え……? ルーン? 香穂……? 香穂!!」
「うわぁーん! 香穂ぉー、怖かったよぉー!」
香穂
しがみついて泣きじゃくるカナンを優しくあやす
「よしよし、怖かったね。よく頑張ったね」
カナン
早く出ようと香穂とルーンに訴える
「うぅぅっ……ひっ、く……もう、いやぁ……早く出ようよぉ……!」
香穂
カナンの意見に賛成する
「そうだね。早く出ようっ!」
ルーン
もっと遊びたいと駄々をこねる
「えー! もっと遊びたいにゃぁー」
香穂
駄々をこねるルーンをアイスを買ってあげるからと説得する
「帰りにアイスを買ってあげるから、帰ろう?」
ルーン
アイスで納得する
「仕方ないにゃぁ……ミルク100%の特大バニラアイスがいいにゃぁー!」
香穂
ルーンと約束する
「わかった。約束ねっ!」
ルーン
飛び跳ねながら喜ぶ
「わぁーい! ミルク100%の特大バニラアイスにゃぁー!」
カナン
泣き止んで早く出ようと急かす
「そんなのどうでもいいから……早く出ようよっ!」
【屋敷内、通路】
香穂
入り組んだ通路に苛立つ
「もうっ! なんなのこのお屋敷!」
「扉を開けたら壁だし! 階段を登ったら行き止まりで天井に頭ぶつけるしっ!」
「いったいどうなってるのっ!」
ルーン
香穂が苛立って立ち止まっている間も楽しそうに転がったり跳ねたりする
「広い通路にゃぁっ! これならいくら転がってもぶつからないにゃー!」
「にゃははーっ! たのしいにゃぁー!」
カナン
歩き疲れて壁にもたれかかって座る
「ふぅ……私もう歩き疲れた……」
「ちょっときゅうけ……」
「ふにゃぁぁっ!!! またぁぁぁっ!!」
香穂
突然消えたカナンを追いかける
「カナン!? 大丈夫? ここに隠し通路があったんだ……」
「カナン! すぐに行くからっ!動かないでね!」
「ルーン! 行くよっ!」
ルーン
香穂に呼ばれて戻る
「はぁーい!」
「カナンは隠し扉を見つける天才だにゃぁー」
【屋敷内、入口前】
香穂
出てきた扉を覗き込みながら話す
「まさか、カナンの見つけた扉が滑り台になっていて、入り口につながっているなんて」
ルーン
滑り台に喜んでいる
「にゃふふー! 滑り台たのしかったにゃぁぁー! もう一回滑りたいにゃっ!」
カナン
早く外に出ようと二人を引っ張る
「早く早く! 早く出よう!」
【屋敷前】
屋敷内でおきたことを思い出して物思いにふける三人
ルーン
「ふにゃぁー! 楽しかったにゃぁー」
カナン
「うにゅぅ……もうこんな所、絶対いやぁ……」
香穂
「やっと……出れた……」
【ルアスの車前】
不気味な男の子の声
三人の耳元でささやく
「ナンダ、もう帰っチャウノ? また遊ビニ来テネ」
カナン
驚いて香穂にしがみつく
「もうやめてぇっ!」
ルーン
元気に答える
「はぁーい。また遊びに来るにゃぁー」
香穂
苛立ったように答える
「もう嫌! 二度と来ませんっ!」
ルアス
「おかえりなさいませ。それでは、駅前へ向かいます」
【ルアスの車社内】
香穂
なにかを思い出したように話し出す
「あっ! そういえば……せっかくのお宝を見つけられなかったね」
「探せるような状況じゃなかったから仕方ないけど……」
「今思えば少しもったいなかったかもなぁ」
ルーン
手を上げる
「はいっ! 戻って探すにゃ!」
香穂、カナン
声を合わせて叫ぶ
「もう嫌ぁー!」
【屋敷の最寄り駅】
ルーン
アイスを頬張る
「にゃにゃぅー! アイス美味しいにゃぁー!」
香穂
財布の中身を確認して涙目になる
「よかった……味わって食べてね……」
カナン
遠慮がちにアイスを食べる
「私はルーンとはんぶんこで良かったのに……まぁ、ありがとっ」
「んーっ! おいしっ!」
香穂
アイスを食べる二人を眺める
「次は楽しい所に行こうね。どこがいい?」
ルーン
手を上げる
「はーい! ルーンは水族館がいいにゃっ!」
カナン
恥ずかしそうに手を挙げる
「あ、あの……私行ってみたいところがあって……」
「お店の店員体験ができる場所があるんだけど、そこに行ってみたい……」
香穂
うなずく
「そうだねっ! 今回はルーンの行きたい場所だったから」
「今度はカナンの行きたい場所にいこっか!」
カナン
恥ずかしそうに下を向く
「あ……いいの? ありがと……」
終わり

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