モロッコの街を観光ルートから外れると

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コラム
(モロッコ旅行の思い出の続きです)

家族でぶらぶら歩きながらマラケシュの商店街を外れ、小道に入っていくと、家ばかりが立ち並び、人影もまばらなところに来ました。

当時幼かった子どもは、そんなところでも突然トイレに行きたくなります。
見回すけれど何もなく、見るからに住宅地。
車が通るような道なら、まだ小さな子どもだし、ちょっとその辺で、ね、ということもあるでしょうが、さすがに石を敷いた細い道では気が引けます。

と、そこに若いお兄さんが通りかかりました。
「すみません、子どもがトイレに行きたいのですが、どこかこの辺にありませんか?」
かつてフランスの植民地だったモロッコでは、皆フランス語が話せます。
「こちらへどうぞ。」と案内してくれたところは、なんとお兄さんの自宅!
お姉さんもいて、快くトイレを貸してくれました。

そのトイレは子どもがいつも行き慣れているのとはずいぶん違っていましたが、清潔でした。
私たちはお礼を言って、しばらくおしゃべりしました。
お姉さんはその合間にも、せっせとその辺を拭き掃除していて、いかにも働き者という感じ。
さようならをしてから、私たちはこれ以上迷子にならないよう町中に戻りました。

とても良い思い出ですが、この話には後日譚があります。

翌日商店街を歩いていると、なんとそのお姉さんにバッタリ。
私とお姉さんは偶然の出会いに感激し、「わーっ」っていうノリになって。
彼女は近くのお店で働いていて、「どうぞ入って。」と言います。
その笑顔は、ちょっと座っておしゃべりの続きをしましょうよと言っていました。
ところが夫は「いや、ちょっと行くとこがあるんで。」と、冷たい顔で無視。
えーっ?!
輝くようなお姉さんの笑顔は消え、失望の色に。
家族で行動していたので私は仕方なく子どもと夫の後を追います。

後で夫は腹立たしそうに
「何か売りつけようって魂胆に決まってる。」
夫は旅慣れているつもりでしょう。
でも、私も私なりに旅慣れているのです。
いつも地元の人といろんなものをシェアしながらひとりで旅をしてきたのです。
過信は危ないけれど、人を見る目がないわけでもありません。

一緒に旅をすると、価値観があぶりだされるよね。
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