私は、幼い頃から少し複雑な家庭環境のなかで育ちました。家の中では、大人の感情や空気が常に揺れ動いており、子どもながらに「今、何を考えているのか」「どう振る舞えば場が荒れないのか」を無意識に察する癖が身についていきました。誰かの表情や声の微妙な変化に敏感でいることは、当時の私にとって生きていくために必要な感覚だったのだと思います。 その一方で、自分自身の居場所はどこにもないように感じていました。心の中にある不安や寂しさを誰かに打ち明けることも、人に頼ることもできずいつも一人で抱え込んでいました。弱さを見せることよりも、静かに耐えることを選ぶうちにそれが当たり前になっていったのです。 20代に入り人生は大きく傾きました。友人から騙され、多額の借金を抱える事になり好きな仕事も辞めることとなり、返済に追われる日々を送ることになりました。心も時間も余裕がなくなり、人生のどん底にいるような感覚の中...