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ナツノ17歳(獅子座B型)の今日の短歌

~これは、私ではない誰かの今日を綴ったストーリー短歌です~演劇部の一番の大舞台は、秋の文化祭でのステージ発表。高校2年の私は、ひそかに主役の座を狙っている。私の夢は、いつかミュージカルスターになること。だからこそ、その第一歩として、高校2年の文化祭は、私が舞台の中央に立っていたいのだ。だからこそ、演劇部のあるこの高校を選んだのだから。演劇部と言えば文化部、だから運動部のみんなからは認めてもらえないが、実は結構、体力を使う。演じる役によっては、舞台を走り回ったり、転んだり体を使って表現しなくてはならない。ましてや舞台上で息が切れて、セリフが声にならないなんてこと、あってはいけない。だからこそ、運動部と同じように体を鍛えておく必要がある。秋の文化祭に向けて、私は今日から自主練を始めることにした。朝1時間早く起きて、家から近くの親水公園をぐるっと周る5キロほどのジョギングコース。こういう地道な努力が夢への近道になるのだから。さあ、行こう!私の本気を見せてやる!そんな私の今日の短歌
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ミヅキ19歳(うお座B型)

~これは、私ではない「誰か」の今日を綴ったストーリー短歌です~夏休み、大学の友達ハルナと渋谷に出かける約束をした。ハルナとは大学の寮で知り合って、お互い地方出身者ということで気が合い、いつもつるんでいる。夏休みはお互い、田舎に帰る日を合わせて、こちらにいる日はバイトがない限り,いつも一緒に遊びまわっている。ハルナは私にできないこと、いともたやすくやりこなす子。私は髪の毛を染めることもできないし、バイト代を無計画に使い込むこともできない。「まじめちゃん」って言って、ハルナは私を妹のように扱う。同い年なのに。私も、自分で嫌になるほど真面目。ルールや規則はちゃんと守るタイプ。だからこれまで、先生や親にすごく怒られたっていう経験もないし、大失敗して恥ずかしい思いをしたり、傷ついたりもしてこなかった。「それじゃ、楽しくないよ」とハルナは言って、いつも私を楽しいところへ連れて行ってくれる。今日の彼女のネイルはピカチュウみたいな黄色。 私はそんな色のネイルをしたことがない。 ネイルの色を変えれば、ひょっとしたら私も少しは冒険できるようになるのかな・・。 そんな私の今日の短歌
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マサノブ42歳(蠍座B型)の今日の短歌

~これは私ではない「誰か」の今日を綴ったストーリー短歌です~また今週が始まった。月曜の朝は、いつも憂鬱だ。特に今日は、先週末発生したトラブルの後処理が山のように私を待ち構えているはずだ。だるい月曜の朝が、いつもに増してだるい・・・。妻は朝から、息子をたたき起こし、娘を急かし、私の弁当を作り・・・まったくパワフルな女性だ。そのパワーにだいぶ自分の気力を奪われているんじゃないか、、、一時は本気でそう考えたこともあった。私の憂鬱さを知らない妻は、いつもどおり玄関で私にパワーを注入する。「はい、今日もしっかり頑張ってきてくださいね!」いつものこの言葉が、今日は一段と重い。頑張れと言われなくたって頑張らなきゃならない。それが一家の大黒柱というものだ。お弁当とごみ袋を持たされ外に出ると、いつもの場所にいつもの野良猫が座っている。黒白のはちわれ猫・・・実家で飼っていた猫にそっくりなその野良を、私はひそかに「はち」と呼んでかわいがっていた。「はち」はまったくマイペースな奴だ。私が「行ってくるよ」と声をかけても、たいていあくびで返事をしてくる。なんの群れにも属していない「はち」がうらやましいと思いつつ、ゴミを捨てて駅へ向かう。そんな私の背中を、「はち」はどんな気持ちでみているのだろうか・・・。そんな私の今日の短歌
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カズユキ62歳(牡羊座O型)の今日の短歌

これは、私ではない「誰か」の今日一日を綴ったストーリー短歌です~60歳で定年を迎え、私は40年務めた会社を退職した。これまでの人生のほとんどを、会社のために捧げてきたと言えば、大袈裟だと笑われるかもしれないが、実際、朝から晩までずっと仕事のことを考えてきたし、何かあれば24時間対応してきた。そんなある日、60歳定年を前に、再雇用の説明会に参加するよう、会社から促された。当然、自分にできることはまだまだたくさんあるし、必要とされているのだと思っていた。だけど、再雇用の条件は到底受け入れられる内容ではなかった・・・。今朝は出勤前に愛犬と散歩に行き、軽くシャワーを浴びた後、自分と妻のためにコーヒーを淹れた。今はそれが私の日課だ。そのあと妻がせわしく仕事に出かけるのを見送り、自分も出勤の準備をする。「今日はこのジーパンで行こう」定年後、久しぶりにジーパンを買った。普段用でもあり、仕事に着ていくこともある。60歳を過ぎた私を受け入れてくれた新しい職場は、みんながそれぞれの働きやすい格好で仕事をしている。私より30歳以上若い男性社員は、ネクタイなどしたことがないのだと言う。ネクタイをしなくても仕事はできるのだということを、60にして初めて知る。これからの人生、新しい時代に合った生き方を見つけて、自分もやりたいことを我慢せずやりつくしたいと心から思う。そんな私の今日の短歌
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トオル22歳(蟹座O型)の今日の短歌

〜これは、私ではない「誰か」の今日を綴ったストーリー短歌です〜大学3年生の秋、僕達は出会った出会いは運命的僕が気に入って、毎週のように通っていたブックカフェの、いちょう並木が見渡せる窓側の席で、僕らは偶然同じ本の上巻と下巻を読んでいた上巻を読んでいた僕は、下巻を読んでいる彼女が本の中間を過ぎたあたりのところで、涙ぐんでいるのを見てしまった。それは、きれいな涙だった・・・見惚れていた僕に気づいた彼女は、涙を拭いもせず「たぶんあなたも泣いちゃうと思うよ」と泣き笑いの表情で言った。僕らはそんな出会いをした。彼女と付き合って半年が過ぎた7月それぞれの希望した会社に就職した僕らは、以前のように頻繁に会うことができなくなっていたLINEの既読がつくのが遅くなったし、既読がついてからの返信もすぐに来なくなった。それは僕も同じ。お互いさまだったこうやって恋は終わっていくものなのだろうかそんなことを考えていた、静かに雨が降る初夏の夜・・・彼女が傘もささずに、僕の家の前に立っている僕には状況がつかめなかった目の前の彼女は、7月の雨に濡れ少し震えていたその目には、あのときのようなきれいな涙が光っていた僕は考える間もなく彼女を抱きしめる会えなかった時間も、返信の遅いLINEもそんなことはどうでもいい大切なのは、「僕は彼女が好きだ」という事実僕の背中に回された彼女の腕は、震えていたけれど温かかったそんな僕の今日の短歌
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