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【小説】BARD――世界は囁く(前編)

 それは今日のことか、昨日のことか、明日のことでありましょうか。  とある小さな村に、バードという名の娘が暮らしておりました。  バードは、風や木や虫たち、その他様々なものと話をすることができる娘でした。川の楽しそうな笑い声、土の優しい子守唄、星たちとの秘密の内緒話。他の村人たちが知らないことを、世界の神々の囁き声から知ることができました。  時には神様たちの話を皆に伝えることによって、村人たちを助けることもありました。バードと村人たちは、周りの生き物たちと支えあいながら、毎日を過ごしていたのでした。  ある時、村に一番近い街から、由緒ある家柄の若い男がやってきました。  その若者は珍しいものを集めることが生きがいでした。東に妖しげな仮面ありと聞けば、使いの者にこれを手に入れさせ、西に未知なる島影ありと聞けば、船を出して航海に出かけるのでした。そんな若者が一風変わった娘がいると聞けば、目をつけないはずがございません。そういった訳でございまして、この村に自ら足を運んできたのでございました。  到着してさっそく出会った村人に、若者は娘の居場所を尋ねました。  村人は、不思議な娘バードが住んでいる家の前まで、若者を案内致しました。道の途中でたくさんの村人に会いましたが、彼らは村の外に出たことがない者ばかりでありましたから、大勢の使いの者を引き連れ、色鮮やかな衣を纏う余所者の男を、物珍しげな目で眺めるのでございました。  バードは小さな木造りの家のなかに座っておりました。若者は尋ねます、神々の声を聞くことができる者がいると、風の噂より聞いてやってきた。お前がその娘であろうかと。  バー
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おとぎ話は棚ぼたと玉の輿ばかり

前から考えていることですが、おとぎ話は良くないですね。 何が良くないかというと、たとえば日本のおとぎ話の場合、主人公が - おじいさんやおばあさんが多いようですが - 正直だというだけで、沢山宝物をもらったりします。 しかし、分不相応なお金を持つと大抵の場合、ろくなことになりません。 親戚縁者や近所の人たちからねたまれるでしょうし、人間関係が悪くなるでしょう。 大体、こんな話を読んだ子供は棚からぼた餅を期待するようになる可能性があります。 普段からまじめに働き、正直に暮らしていればいつか報われるとはいうのは、庶民のはかない願望なのでしょうが、現実はそんな甘くないということをきちんと教えたほうがいいんじゃないかな。 ついでに書くと、最近人気の桃太郎の話も酷いもんです。 桃太郎は鬼を虐殺した上に宝物を略奪するんですよ。 どんなに鬼が悪いことをしていようと、問答無用で殺したり、財産も自分のものにしていいわけがない。 今、こんなことをやったら凶悪な強盗殺人罪です。 それに、良く考えると、子供、雉、猿、犬なんてのに簡単にやられたことを考えると、鬼は弱すぎるし、大した悪人とは思えません。 宝物もちゃんとしたやり方で溜めたんじゃないかな。 そう考えると本当に酷い話です。 次は西洋のおとぎ話です。 これも良くない。 もちろんいろいろな話があり、内容もバラエティに富んでいるでしょう。 しかし、有名なものには共通している点があるような気がします。 主人公は美人で優しいのですが、それ以上の大した長所はないというところですね。 それで困った状況にいるところに白馬の王子さまが現れて、彼女を救い、二人は結
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ところでオオカミさんって…

最近は自分のチャンネルのお報せをこちらでよくさせていただいているんですが、一応月曜日には、私の記憶に基づく台本なしの物語、金曜日には好きなお話の朗読というテンポで更新しています。そこで今日アップしたのが赤ずきんちゃんなのですが…話していて思ったのが、何でオオカミさんってことごとく丸呑みからのおなかチョキンの目に合っちゃうんだろうかと…。なんだかデジャブを感じて思い起こせば、「オオカミと七匹の子ヤギ」も同じ目に合っているようなで、なんだか不憫になってきたのは私だけでしょうか。子羊ごっくん、おなかをチョッキンって…しかもどちらも裁ちばさみ…文化ごとに嫌われる生き物がいるようですが、どちらもヨーロッパ発祥の物語、オオカミさんはヨーロッパで相当、人から恨みを買っていたんでしょうね。。。そう考えると日本にも、今は絶滅してしまったけれどニホンオオカミがいたはずですが、日本の昔話のメジャーなもので狼が出てくるのは思い浮かばないのですが、日本の場合はうまく棲み分けられていたのかな?なんて疑問が出てきたり。子供向けと思われがちな童話やおとぎ話も、色々気付かされること考えさせられることがまだまだありますね。
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大人になって聴く童話

最近は月曜日にはおとぎ話のお話を、金曜日には朗読を、といったテンポで投稿させていただいているのですが、今夜は「はだかの王様」アップしました!小さい頃にお話を聞いた頃は、「わー王様、恥ずかしー!わっはっは」という印象が強かったのですが、大人になるとそこにプライドの戦いやら、ずる賢さやら、小さい頃には対して気に留めなかったことが気になったりと印象や注目する場所が少し変わってきた気がします。そうやっていろんなメッセージがいろんな世代に伝わるから、長く語り続けられているのかな、とおもったり、こうやって視線が変化するのっていいことなのかどうなのかっと思ったり、色々お話しながら考えさせられました。といろいろ言っていますが寝落ちにぴったりな長さなので、気楽にご視聴頂けたら嬉しいです!
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今夜はあの懐かしい童話を☆

覚えていますか?「オオカミと7匹の子ヤギ」。とーっても久しぶりにお話してみました。小さな頃はコヒツジと同じ目線で、「狼が来ちゃうよー」とドキドキしながら聴いていた思い出がありますが、大人になってお話してみるとその思いと同時に他にも気になることが出てきたり、本当に昔話、おとぎ話って面白いです。そもそも何でこのヒツジ一家って母子家庭なんだろう、とか、小さい頃はただただ言いづらかった「7匹」って幸運の数だから7なのかなとか。いろんなお話をしてストックしてありますが、それぞれにおとなになっても新たな発見がある童話って本当に面白くて不思議です。ぜひぜひ眠りのお供にでも聴いてみてください。
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【小説】melting of snow ‐六花の伝承‐

はじめに 本書は、北方に存在する、とある地域の説話、口承文芸を後世に残すべく制作されたものである。この地域は、一年の大半を雪と氷に覆われている。その様子から、隣接した地域より「雪原の民」「氷の地」などと呼ばれることもある。  その異名に違わず、ここでは「雪」「氷」に関する説話が多く散見されている。雪や氷には(その性質の良し悪しにかかわらず)精霊、妖精が宿っていると信じられ、彼らの存在を口承によって伝え続けてきた。また、単に精霊、妖精と言われる時には、雪(氷)の精霊のことを指すほど、魔力をもつ生物のなかでは身近なものであった。  しかし現代では、様々な要因からこの重要な文化の継承者、いわゆるシャーマンと呼ばれる者が不足している。後継者選抜の厳格さ、少子化による地域語話者の減少や、シャーマンの素質を持つ人の発見が、年々困難になりつつあるのである。  また、伝承者側の高齢化もひとつの課題となっている。現在この地域で確認されている伝承者の最年少年齢は七十八歳。このままでは、地域の貴重な文化遺産が途絶えてしまうだろう。  このことに危機感を覚えた筆者を含め数名の有志によって、十年前よりこの地域で口承されている物語を収集し、書き記すことを始めた。  説話を保持するシャーマンたちの中には、その文芸の性質上か、声で継承していくことに意味があるとし、物語を文字、文章として残すことに抵抗感を示す厳格な者も少なくはない。それでも幾人かのシャーマンたちが、名を伏せることを条件に彼らの話を文章として書き記すことを同意してくれた。この場を借りて彼らに感謝を申し上げる。  前口上はこれくらいにしておいて、こ
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