せん妄という地獄
母が緊急入院をして、精密検査をした辺りから母の様態は日に日に悪くなりました。
精密検査では、リンパ節転移、肺、肝臓、腸にあちこちにガンが広がっていきました。
今の時代は、本人に残酷にもすべて告知されてしまうので、気丈であった母もかなり落ち込んでいました。
先生には、治療をすると体が今以上に辛くなってしまうため、ゆっくり休むことがいいのでは?と...
その言葉は、つまり、亡くなるその日まで手の施しようがないという意味を表していました。
その頃から、母の様子が少しずつおかしくなっていきました。
今まで、私たちの事まで気を使ってくれていた母が、気持ちと体に余裕がなくなったせいで、看護師や家族に横柄な態度をとるようになりました。
特に、私には何でも言いやすかったのか、身の周りの世話をとにかく細かく要求するようになりました。
そのころ、腸に転移していたため腸閉塞を起こしていました。なので、便が出なくてイライラしていました。
母は、この病院がちょっと怪しいから、見張っておきなさい!とか
もしかしたら、お母さん妊娠しているから、ここで産めるか看護師さんに相談してほしいとか
部屋の角からキツネさんが見ているから怖い。部屋を変えてほしいとか...
せん妄という症状の特徴です。
過度なストレスや栄養失調などの悪条件が重なると、このような症状ができることがあるようです。
母の体は、158cmで60㎏。腹水が溜まり68㎏まで増えていました。緊急入院をして1か月くらいベットで寝たきりだったので、起き上がることもままならない状態だったのに、母は「トイレに行く!」といって、自力でトイレに行くことに執着してい
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