教養としての日本仏教⑤:鎌倉仏教~臨済宗と曹洞宗
禅宗:禅(ディヤーナ)は八正道の正定、六波羅蜜の禅定に由来し、老荘思想と結びついて、「空」の直接体験を求めるもので、浄土宗と共に中国で誕生した中国的仏教です。中国の有名な禅書『無門関』によれば、「拈華微笑(ねんげみしょう)」の故事として、釈迦が霊鷲山(りょうじゅせん)にいて花を拈(ひね)って大衆に示すと、皆、何を意味するのか分からず黙然としていましたが、ただ摩訶迦葉(まかかしょう、マハーカッサパ)のみが破顔して微笑したので、 釈迦は「吾に、正しき法眼の蔵にして涅槃の妙心(正法眼蔵・涅槃妙心)、実相・無相・微妙の法門有り。文字を立てず教外に別伝し(不立文字・教外別伝)、摩訶迦葉に付嘱す」と言ったとして、禅宗の由来を示しています。第28祖菩提達磨(ぼだいだるま、ボーディダルマ)によって中国に伝わったとされます。そして、達磨を初祖とする中国禅宗では、第五祖弘忍に神秀・慧能という優れた2人の弟子がおり、神秀から修行・努力を重ねて次第に悟りを得ていく「漸悟」の北宗禅が生まれ、慧能から瞬時に悟りを得る「頓悟」の南宗禅が生まれ、慧能が第六祖を継いで、中国禅宗の主流となります。日本では栄西が臨済宗を伝え、道元が曹洞宗を伝えますが、臨済禅では悟りのヒントとなる「公案」を使い、言葉や思考の果てに言葉や思考を超えた悟りを得ようとするので、「超論理」の禅であり、曹洞禅ではひたすら座禅に徹し、言葉ならぬ言葉、思考ならぬ思考によって悟りに至ろうとするので、「非論理」の禅であると言えるでしょう。
不立文字(ふりゅうもんじ)・教外別伝(きょうげべつでん):仏教の真の精髄は言葉によって表現し得るものではないので
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