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ネコバスって何ですか

馴染みのバーが混むことは珍しく、落ち着いた時間を過ごすことができる。そして、マスターとの僅かな会話が心地良い。私は、いつもカウンターの左端に座ることにしている。このバーは、もともとは別のビルで密かに営業されていたが、そのビルが解体されることになり今の位置に移転した。かつての店では左端の席が狭かったので、私はその席を率先して使うよう心掛けていた。今の店の位置は目立つ場所にあり、一見さんを時々みかけることもある。おそらく観光客だろう。その日、私は居酒屋で女将と二人きりになり互いの子どもや孫の話をしていた。女将の子どもはトトロが好きだという。トトロとは『となりのトトロ』のことだろうが、私はスタジオジブリの作品を余り見ないので、トトロがどういうものかを理解できていなかった。子どもが好きだというのだから可愛いキャラクターだろうと考えていた。 かつて娘と一緒に『火垂るの墓』という映画を見た。とても悲しく悔しい気持ちになった。そして、なぜ、この映画を子どもに見せているのだろうと感じながら、涙があふれた。単なるアニメと思った映画から強いメッセージが感じられ、大人向けの物語だった。スタジオジブリの作品には熱い思いが詰め込められている。そういう作品は、娘が少し大人に近づいてから見るようにしようと考え、それ以降はディズニー作品を多く見たと思う。 女将が私に「ちょっと顔を上げてみて。ほら、やっぱり、ネコバスに似ているよ。少し斜めからみたら、そっくりだよ。」と言い、私のボトル名をネコバスと書き換えた。私は、ネコバスが何かも分からないままバーへ向かった。 バーのカウンターはほぼ埋まり右から2番目だけが空い
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鈴木敏夫展と読書嫌い克服法

ジブリが好きなので、「鈴木敏夫とジブリ展」を見てきました。鈴木敏夫さんが今までに手掛けた作品や、鈴木さんの生い立ち等が詳しくわかる他、等身大(?)のトトロや「千と千尋の神隠し」のキャラクターたちと写真が撮れたり、作品の舞台が一部再現されているところがあったり、楽しく過ごせました。ただ、文字やパネルの展示部分が多いので、子どもよりは大人向けです。とはいえ、せっかくならトトロやカオナシを子どもにも見せてあげたくなっちゃいますよね。ジレンマです。ジブリパークにも期待していますが、また「借りぐらしのアリエッティ×種田陽平展」のような、大人も子どもも楽しめる展示をやってくれないかなぁ。あの時は、小人サイズになったつもりで舞台美術の中を歩けるようになっていて、とても楽しかったです。ジブリは作品世界のすみずみまでこだわりを持って仕上げられていて、とても好きなんです。この作品世界は、鈴木敏夫さんはもちろん、宮崎駿さんや高畑勲さんという天才たちが、その想像力をもって作り上げたものなので、素晴らしいんですよね。ところが、読書では文章しか書いておらず、挿絵があったとしてもわずかなので、物語の世界を自分で想像しなくてはなりません。ストーリーや登場人物たちがどのように動いているのかも、文字を読んで自分の頭の中に作り出さなければなりません。これが難なくできる人にとっては、本は映画やアニメ等と同じ娯楽になります。しかしこの作業が苦手だと、文字の意味を追うのに一生懸命になってしまって、登場人物に感情移入することはおろか、ストーリーを追う事も難しくなってしまうんですね。これでは読書が面白くなくて当然です。ではど
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『君たちはどう生きるか』を観て ※ネタバレなし

先日、スタジオジブリ 宮﨑(崎)駿監督最新作「君たちはどう生きるか」を公開初日に観てきました。本作は、宣伝なしでの興行であるにも関わらずジブリ最大のヒット作である「千と千尋の神隠し」の初動の興行収入を既に上回っているということで注目度の高さが窺えます。まず、わたしにとってジブリ作品は2、3歳の頃から慣れ親しんでいるとても大切なものです。特に、「となりのトトロ」はVHSが擦り切れるほど繰り返し夢中になって観ていたと母親から聞かされました。初めて劇場で観たのは高畑勲監督の「平成狸合戦ぽんぽこ」。これは、ニュータウン開発計画によって住む場所を追われそうになる狸たちが、人間の計画を阻止しようとするファンタジー作品で狸側、人間側の両者の視点で描かれます。当初は、子供だったので内容はほとんど覚えていなかったのですが子供ながらに「人間は勝手だな、本当に動物が話せるとしたらこんなふうに思っているのかもしれない」「人間はこの地球上で決して偉い存在ではないのだ」と直感的に感じていたと思います。それ以来、ジブリは新作が公開されるたびに劇場に足を運んで鑑賞してきました。さて、本題ですが、最新作の「君たちはどう生きるか」の公開を最初に知ったのは1年以上前だったと思います。ジブリの公式SNSアカウントに、突然ポスターの画像があがりました。それは、そのまま公式ポスターになり、内容は一切明かされぬまま7月14日の公開日をむかえました。宣伝業界に携わっていた身としてはこの戦略に驚いた....ということは実はなくて、ただただ、宮崎監督が9年もの時をかけて作品を完成させてくれたことにとても感動しました。見に行く前か
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コピーライティングの力

1980年代、コピーライターブームが起きました。 糸井重里さんが書いた、西武百貨店の「おいしい生活」はあまりにも有名で、広告コピー1行で100万円!などと言われていた時代です。以来、時は変わっても、「コピーの力」が商品やサービスの販売促進、集客に大きな影響を与えていることに変わりはありません。 しかし現在、広告やPR業界にいる若い人から見ると、「なんでコピー1行に100万円?」と思うかもしれませんね。 私は以前、広告会社にいた時に、新入社員にコピーライティングの講座を開いたことがあります。 その時の教材の一つが、やはり糸井重里さんの作品。スタジオジブリ宮崎駿監督の名作「もののけ姫」の宣伝キャッチコピーである「生きろ」でした。 その話を聞いた新入社員の一人が「こんなの誰でも思いつきますよね?」と言ったのです。 確かに、言葉としてはごく普通です。 しかし、糸井さんは映画の脚本や絵コンテを何度も読み返し、さらに古代ローマの戦闘の物語をたくさん読み、その絵画もたくさん見たそうです。 そしてそこから、人が死ぬことの恐ろしさ、残された人の悲しみなどを、たくさん吸収し、そこから絞り出された言葉が「生きろ」だったのです。 ・・・・・・・・ 広告界のバイブルとも言われている名著「アイデアのちから」(チップ・ハース+ダン・ハース共著)の中に、こう書かれています。 「優れたアイデアというのは、ゼロから考えることではない。すでにあるパーツの中から最適なものをチョイスする、もしくは組み合わせることである」 有名なところでは、スティーブ・ジョブズが生み出した「iPhone」 これは「すでにあった携帯電話」
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