絞り込み条件を変更する
検索条件を絞り込む

すべてのカテゴリ

1 件中 1 - 1 件表示
カバー画像

[小説]第4話 追われる者たち

自宅兼研究室の扉が、静かに閉まった。 外は夕暮れに差しかかっており、窓越しに見える空は淡い橙色に染まっている。シドニーの街並みが、夕日に照らされて美しく輝いていた。 だが、その美しさを味わう余裕は、誰にもなかった。 研究室の中央に立ったスコット・ジョンソンは、腕を組み、低く唸るように言った。 「……さて、どうするかな」 その声には、医師として数多くの修羅場をくぐり抜けてきた男の重みと、父親としての焦りが混じっていた。 私は、周囲の機材を見渡しながら答える。 「やみくもに探している時間は、ないと思います」 自分でも驚くほど、冷静な声だった。 だが、内部では常に計算が走り続けている。 リサ・ブラウニー博士の容態は不安定。原因不明。時間制限あり。 これらの条件を考慮すると、効率的な行動が必要だ。 「そうだな」 スコットは短く応じた。 彼は、窓の外を見た。夕日が、ゆっくりと沈んでいく。 その横で、トムが少し考え込むように視線を落とし、やがて顔を上げた。 「……サラさんに、話をしてみたらどうだろ」 「サラさん……?」 私は、その名前を知らなかった。 データベースを検索したが、該当する人物は見つからない。 スコットが説明する。 「サラ・キャンベルだ。この街の有力者の一人で、リサの友人でもある」 「有力者……」 私は、その単語を記憶した。 スコットは続けた。 「彼女は、独自のネットワークを持っている。情報も、資源も、人脈も」 「もし誰かが助けになるとしたら、彼女だ」 その言葉に、私は即座に反応した。 「サラ・キャンベルに、会いに行きましょう」 トムが頷き、スコットも同意する。 「東の港に、倉
0
1 件中 1 - 1