天津飯が教えてくれた、「自分のために作る」ということ
占い師・理科準備室の博の、あたたかいレシピの話仕事でくたくたの日は、家でご飯を作るのがしんどい。そんなとき、最近の私の定番は天津飯だ。以前の私は、「天津飯なんて、中華屋さんで食べればいいじゃない」と思っていた。あのふわふわの卵に、野菜たっぷりの餡。どう考えても手間がかかりそうで、自分で作ろうなんて思わなかった。喫茶店を手伝っていた頃、友達がお昼のまかないに天津飯を作ってくれることがあった。白いご飯の上にふわりとのった卵。その上には、その日の残り野菜――きのこ、はくさい、にんじん、時々ピーマン。優しい餡がとろりとからんで、卵の中には小さなかにかまも隠れていた。驚くほどあたたかい味だった。その友達が喫茶店を閉めるとき、「はくちゃん、自分の食べるものは、自分で作らなきゃだめだよ」と一冊の大学ノートを渡してくれた。中には、毎日作ってくれていたまかない料理が、かわいいイラストと一緒に書き込まれていた。久しぶりにキッチンに立ち、ノートを開いて天津飯に挑戦してみた。すると――思っていたより行程が少ない。20分もかからずに出来上がってしまった。味はもちろん、彼女のレシピのおかげで大成功。一緒に食べた息子が「ママ、おいしい!やればできるんだね」と言った瞬間、“今までどれだけ微妙なものを作っていたのか”と思わず笑ってしまった。私は、新しいことを前にするとすぐ身構えてしまう癖がある。「難しそう」「大変そう」と決めつけてしまう。でも天津飯は教えてくれた。やってみると案外、すぐできることは多いのだ、と。それ以来、しんどい日ほど天津飯を作るようになった。残り野菜と卵とかにかまさえあればいい。鍋の中で餡がと
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