絞り込み条件を変更する
検索条件を絞り込む

すべてのカテゴリ

2 件中 1 - 2 件表示
カバー画像

迷惑なんじゃなくて……悔しい

凪は、昇降口の陰に身を潜めるように座り込んでいた。校舎を満たす放課後のざわめきが、今日はやけに遠い。(なんで……私なんかに……)三条の告白。――「俺は凪を泣かせたりしない。守りたいと思ってる」クラスがどよめき、スマホを構える子すらいた。その数秒後から噂は一気に燃え上がり、三条のファンの女子たちは一斉に凪を睨みつけた。「なんでよりによって“あの子”なの?」「地味な癖に調子乗ってない?」「三条くんの好感度下げないでくれる?」全部、聞こえていた。笑い声も、ため息も、嫉妬の視線も――ぜんぶ、凪の胸に突き刺さる。(もう……どこにいたらいいのかわからない)俯いた視界に、涙が一滴落ちた。その瞬間、影が差し込んだ。「……凪」凪は、びくっと肩を震わせる。聞き慣れた声。だけど、いつもよりずっと深くて、揺らいでいた。悠真が立っていた。「探した。どこにもいなくて……」凪は慌てて涙を拭った。「……ごめん……なんか、いろいろ迷惑かけて……」「迷惑なんて思ったこと、一度もない」悠真は凪の前にしゃがみ込み、目線を合わせた。その瞳は、まっすぐで、苦しそうで、でも優しい。「俺が……守れなかったから、泣かせた。 だから、迷惑なんじゃなくて……悔しい」凪の胸が痛む。でも、同時に少しだけほどけていく。「……悠真のせいじゃ……」「俺は嫌だ」凪の言葉を遮るように、悠真は言った。「凪がひとりで抱えて泣くの、もう見たくない。 噂にも、女子の嫌味にも、三条にも…… 全部に怯えてる凪を見るのが……俺は、いちばん嫌なんだ」声が震えている。「俺が言わなきゃいけなかったんだ。 “凪は俺にとって大事な人だから、勝手に傷つけるな”って」凪は
0
カバー画像

虹シリーズ4部作:1 虹の橋

この話は、「虹」というひとりの人間の一生の1部分を、4つ切りとって描いた短編集です。恋愛も時々で変化していきます。虹の成長とともに、愛情の変化についても楽しんでいただけたら幸いです。「ドングリ、ドングリ わーい、いっぱい!」いつも遊び場は裏山にある神社。小高い丘のてっぺんにあって、景色が最高にいい。今日は大好きな隣の家のお兄ちゃん・ユウちゃんのお誕生日にあげるドングリをたくさん集めているんだ。ユウちゃんは1歳年上の6歳。今ユウちゃんは小学校に行っているので、私よりも帰りが遅い。私のパパとママはいつも夜遅くまで働いているので、私はいつもユウちゃんのママに預けられている。だからユウちゃんは本当のお兄ちゃんのようだ。実際にユウちゃんはとても優しい。ユウちゃんママもとても優しくて、私はほとんどの時間をユウちゃんの家で過ごしている。幼稚園が早く終わるので、ユウちゃんが帰ってくるまでの間が待ち遠しい。でも今日は、あまり早く帰ってきてほしくない。ユウちゃんの誕生日プレゼントのドングリをたくさん集めて、びっくりさせるんだ。神社にはドングリの木がたくさん植えてあって、ドングリはたくさん落ちている。「ドングリ、ドングリ」ビニール袋いっぱいになるくらい、たくさんドングリ集めるんだ。「わあーあっち、いっぱい!」いつもは行かない裏山の奥、神社にあるドングリよりも粒が大きい。「わあー、おっきー、嬉しい」ユウちゃんはきっと喜んでくれる。そう思ったら、やる気がでて、どんどん取ってさらに奥へ。人が足を踏み入れないその場所は、枯れ葉がたくさん落ちていた。「あっ!」その枯れ葉に足がすべって、そのままコロコロ。山の奥
0
2 件中 1 - 2