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モノトーンの景色に色を戻すとき

ある日突然、世界の色が消えてしまうような出来事が起きました。家族に大きな病気が見つかったと知った瞬間、目の前の景色がモノトーンに変わっていく感覚がありました。まるで映画のワンシーンのように。けれど、これは現実。足が震え、体が思うように動かなくなり、思考も止まってしまったかのようでした。どんなに強くあろうとしても、心が折れそうになる瞬間は、誰にだって訪れるのかもしれません。それから数日間、空は晴れていても心にはずっと雲がかかっているようで、食事も喉を通らず、何を見ても何を聞いても、どこか遠くの世界の出来事のように感じていました。そんな中で、不思議と心がしゃきっとする時間がありました。それは、仕事をしているときと、パンをこねているとき。カードを前に誰かと向き合っているときや、粉をまぜて発酵を待っている時間だけは、頭が静かになり、目の前のことに集中できたのです。「今」に意識を向けられる時間が、どれほど心の支えになるかを、そのとき初めて実感しました。パンを焼き上げる香ばしい香りが部屋に広がると、ほんの少しですが、現実に足がついたような気持ちになれました。そんなある日、ふと、手元にあるタロットカードを手に取ってみました。職業として長年関わってきたタロット。でもこのときばかりは、まるで自分自身を救ってもらうように、カードをめくったのです。そして、目の前に現れたのは…カップの5。このカードには、倒れたカップを見つめて落ち込む人物が描かれています。でも、その背後にはまだ倒れていないカップが、2つそっと残っているのです。「なくしたものだけに目を向けないで。 あなたの後ろには、まだ大切なものが残っ
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