もしも白雪姫に出てくる魔女がほんの少し臆病だったなら
むかーし。むかし。
貴方が思っているよりも少し昔。
とっても美しいけど心のみにくいおきさきがいました。
彼女の名前は、クイーン・グリムヒルド。
そんなクイーンには、コンプレックスがありました。
誰がどう見ても美しいのに、まだ足りない。
まだ足りない……
まだ足りない!
整形技術なんてないこの世界、お化粧でしか気を紛らわすことしかできませんでした。
そんなクイーンのかすかな楽しみ。
それは……
「カガミよカガミ。
この世で一番醜いのはだれ?」
クイーンは、怖くて「美しいのは誰?」なんて聞けません。
嘘でも自分以外の女の名前が出た日には……
自分が自分でいられなくなる。
そんな気がしました。
そんな気持ちを察してかカガミは毎日言います。
「あなたが一番美しいです」
「そうかい」
でも、クイーンの心は満たされません。
「でも……」
カガミ言葉を続けます。
「あなたの娘、スノウ・ホワイトは醜いです」
クイーンは、スノウとどう接していいかわかりませんでした。
なぜなら、クイーンは、スノウにとっては二度めのお母さん。
懐くこともなく極端に嫌うわけでもなく。
一定の距離を取ろうとスノウはクイーンを避けていました。
クイーンは、スノウを初めて見たときの第一印象は、かわいらしいい子でした。
クイーンと王の間には子どもができませんでした。
自分に娘がいたのなら……
可愛い服を着せて一緒に料理を作って……
そんなささやかな思いもありましたが、スノウはファッションに興味はありません。
なぜなら、自分が綺麗にならなくても、男は嫌というほどよってく
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