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「おでん」の思い出

中秋から翌年の初夏までの半年間、私は必ず「おでん」を作る。 それは「おでん」が好きで、非常に役に立つ料理だからである。 「おでん」をしっかり作っておけば、昼食でも夕飯でも副菜として十分使えるのである。主菜に焼き魚や刺身類を考えそこに「おでん」が添えられておれば、大概格好はつく。 もちろん「おでん」の具は毎日同じだと飽きるから、「練り物中心」「大根と昆布中心」「牛スジ中心」「タコ中心」といった具合に、メイン素材を日替わりにしてそれなりに飽きない様にはする。 「おでんの出汁」がシッカリできていれば、中に入れる具はよほどのことが無い限り、たいがい何とか調和して、美味しく食べられるのである。 その私が「おでん」を好きになったのにはキッカケがあった。 小学生の通学路の途中に在った小さくてあまり清潔とは言えない魚屋さんが、作っていた自家製「こんにゃくの煮物」がとても旨かったのだ。 晩秋の通学時に手袋やマフラーがそろそろ必要に成る、といったころ合いにその魚屋では朝から店先にドラム缶を置き廃材を焚き、大きな鍋に「鮪のアラ」を主たる素材として醤油で出汁を造り、1丁を1/4ぐらいのサイズに切った大きめのこんにゃくを串に刺して、鍋の中に大量の串をグツグツと煮ておくのだ。また鍋の中には大きくぶ厚い大根を輪切りにして、一緒に煮ていた。           朝学校に行く頃は未だ煮始めたばかりなので、殆ど存在自体を気にも留めないのであるが、15時ごろの下校時に成ると店の何mも先から、醤油味の好く効いた旨味たっぷりの匂いが漂っているのだ。 その濃いめの醤油味の赤黒い鍋の中から、熱々で「大き目のコンニャク」や「
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