自叙伝「それでも、生きてる(中学~高校期)」全三十話
第一話 「中学入学」
暖かな日差し、所々に咲く花、風にそよぐ枝葉、ここぞとばかりに活動を始める虫たち。そんな自然の躍動を感じ始める季節、それが、春…。のはずだ。
が、私はというと、躍動どころか緊張で生命活動が停止しそうである。緊張のあまり、入学当初のことをほとんど覚えていないのだが、一つだけはっきりと感じていたことは、
「先輩怖そう」
だった。当たり前と言えば当たり前だが、小学校とは雰囲気がまるで違っていた。先輩の一部には、髪を茶色に染めていたり、耳にピアスをしていたり、ズボンを腰の辺りで履いていたりと、
「大人になるってこういうことなのか」
と勘違いしそうになるくらい、上級生が大人に見えた。
先輩をジロジロ見るのは程々にして、これから苦楽を共にするであろう同学年に目を移すと、情報通り、クラスのおよそ八割は別学区の小学校の卒業生で、当然、すでに打ち解けている様子だった。少数派の我々は緊張した面持ちで、多数派に入れてもらうべく奮闘した。入学当初から孤立するわけにはいかない。何事も最初が肝心である。最初から浮いてしまっては、イジメの対象になってしまうかもしれない。とにかく暗い奴と思われてはダメだ。小学校で培った、持ち前のお調子者キャラでいこう。と同時に、扱い易い奴と思われてもダメだ。時にはクールに装い、なめられないようにしなくては。
結果、数日後には、何事もなく多数派に仲間入りすることが出来た。
緊張していたのはみんな一緒なのだ。だから打ち解けるのも早い。さっさと打ち解けてしまった方が得なのだ。なにせ、中学生ともなると、教科も難しそうな名前が増え、授業も教科ごとに先生が変わり、生徒
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