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「親切に教えました」ではダメ? ~「~てくれる」をなぜ使うのか?~

 今日は「あげる・もらう・くれる」という授受表現の中で特に「くれる」を日本人がなぜ使うのかというテーマでお話ししていきます。  ある時、おばあさんが重い荷物を持って歩いていました。それを見た親切な男性が「お荷物、お持ちしますよ」とおばあさんに声をかけました。おばあさんはその男性に感謝して「まあ、ありがとうございます」と答えました。おばあさんは、その時のことを何と言うでしょうか。「A.親切な人が私の荷物を持ちました」「B.親切な人が私の荷物を持ってくれました」日本語のネイティブスピーカーなら、必ず「B.持ってくれました」を使うでしょう。「持ちました」でも事実としては同じことを表していますが、なぜ「持ってくれました」と言うのでしょうか。それは、おばあさんが感謝しているからです。  もしおばあさんが、「自分で持てるのに若い人が勝手に持って行った」とか、「若い人がお年寄りの荷物を持つのは当然のことだから私が感謝する必要はない」と思っていたら、「持ってくれました」と言わずに「持ちました」と言うでしょう。つまり、日本語では同じ事実でも、話す人が感謝すべきことだと思っているか、感謝するようなことじゃないと思っているかによって、動詞の形を使い分けているということになります。このように言うと、ある人は疑問に思うかもしれません。「先生、ちょっと待ってください。さっきは親切な人がって言っているんだから、感謝している意味になるでしょう。」と。  「親切に」とか「私のために」などの表現をつけても、動詞の後に「~てくれる」がくっついていないと、やはり日本語では感謝している意味が表せません。英語などの他の言
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名詞修飾節の二つのタイプ~日本語教師に必要な知識と分析力~

 名詞修飾節というのは、「奥さんが作ったお弁当」「雨が激しく降る音」のように「お弁当」や「音」という名詞を前の文が説明している構造のことです。この名詞修飾は、修飾される名詞とそれを修飾する前の文の関係によって、「内の関係」と「外の関係」という二つのタイプに分けられることがよく知られています。  日本語教育能力検定試験で出題された以下の問題を考えながら、この二つのタイプの違いについて考えていきましょう。(令和3年度日本語教育能力検定試験 試験1-問題3Dより一部抜粋) 問題:「内の関係」の名詞修飾節の例として最も適当なものを、次の1~4の中から一つ選べ。 1. お菓子を買ったおつりを置いてきてしまった。 2. 昨日駅前の宝石店に泥棒が入った事件が起こった。 3. 彼は子どもに算数を教えるアルバイトをしている。 4. 最近大学で広まっている噂はまったくのでたらめだ。  1~4の下線部はいずれも名詞修飾節だが、「内の関係」のタイプとして適当なものは一つしかないということになります。 ではまず、「内の関係」と「外の関係」の区別の仕方を押さえておきましょう。太字の部分はいずれも名詞修飾節です。 (例1)A.素敵な時計ですね。     B.これは誕生日に娘にもらった時計なんですよ。 (例2)A.山本さんが離婚した話、聞きましたか。     B.ええ。そうなんですか。知りませんでした。  例1の修飾する文「誕生日に娘にもらった」と修飾される名詞の「時計」の関係を考えると、「誕生日に娘に時計をもらった」の「時計を」の部分が文の外に出てきて名詞修飾節になっていることがわかります。つまり、修飾する
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「この」or「その」?~母語話者は説明できないけど使い分けている

 下の二人の人の会話を見てください。 チャンさんの「この」の使い方、違和感がありませんか? 【チャンさんは、木村さんがかけているサングラスを指さして言った】   チャンさん:木村さん、このサングラス、すてきですね。        どこで買ったんですか。   木村さん :これですか?ありがとうございます。        兄にもらったんですよ。 チャンさんは木村さんが身につけているサングラスを少し離れたところから指さして言っている場面です。この場合、日本語母語話者なら「そのサングラス、すてきですね」と言うのではないでしょうか。では、なぜ「このサングラス」が間違いで、「そのサングラス」が正しいのか。日本語を外国語として勉強している人に聞かれたら、説明できるでしょうか。 「この」「その」「あの」、「これ」「それ」「あれ」、「ここ」「そこ」「あそこ」など、「こ・そ・あ」で始まるこれらの言葉は「指示詞」と言われるものです。 指示詞の使い方はいくつかに分類して説明する必要がありますが、上の会話のように、目の前の物を指して言う場合は、「現場指示」の用法ということになります。   ① 現場指示用法(目の前の物を指して言う場合)   ② 文脈指示用法(文脈の中にでてきたものを指す場合、   相手や自分の発話の中に出てきた言葉や文章の中に出てきた   言葉を指す場合がある) そして、「現場指示」の中には、話し手(上の例ではチャンさん)と聞き手(木村さん)が同じ領域に属していると見るか、異なる領域に属していると見るかによって、また使い方が変わってくるのですが、上の例の場合、サングラスは木村さんが身につ
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