自然界にはアルミニウムの単体は存在せず、ボーキサイトから酸化アルミニウム(アルミナ)を製錬し、さらに溶融塩電解する、という手続きを踏みます。
溶融塩電解(融解塩電解)とは、水溶液環境で行わない電気分解のことです。どうして水があるとダメなのでしょうか?
受験生のみなさんはイオン化傾向の順を覚えていると思います。語呂合わせなんかで。
その中でアルミニウムは水素よりずっとイオン化傾向が大きかったですね。
水中には水分子が電離した水素イオンが少しあります。
アルミニウムイオンと水素イオンがあったら、イオン化傾向の順から水素イオンの方が優先的に電子を受け取ります。
つまり、水溶液環境下では、水素イオンがジャマをするので、電気分解によるアルミニウムの生成はうまくいかないのです。
イオン化傾向の大きい金属の単体を得るには溶融塩電解するしかありません。
電池が発明されて電流を自在にできるようになるまで、人類はイオン化傾向の大きい金属の単体を見たことがありませんでした。
溶融塩電解を行うには、多量のエネルギーを要します。
それと関係してある社会現象があります。何か分かりますか?
リサイクルです。アルミ缶が回収されていますね。
新たにアルミニウムを電気分解するより、リサイクルした方がずっと安くつくのです。
かつて入試に、電気分解するのと、リサイクルでは、どのくらい効率が違うか割合を求めよ、という問題がありました。
アルミニウムの溶融塩電解についてでした。