認知の歪みを生み出す源！？ “ネガティブスキーマ”って何？

認知行動療法について学びを深めていくと、"スキーマ"という言葉に出会います。

心理学にさほど興味がない方には、あまり馴染みのない言葉かもしれませんが、実は私達の思考(認知)は普段からこのスキーマによって、非常に大きな影響を受けているのです。

そして、人間関係や恋愛でのトラブルの大半は、自分の中に潜むネガティブなスキーマが原因だったりします。

認知行動療法の最終的な目的は、"うまくいかないパターン"を生み出している"ネガティブスキーマ"を自ら知ることによって、深い部分からしっかりと、問題の根本的な解決を図ることなのです。

これによって、本来抱えていた問題のみならず、これからの人生がガラッと変わってしまう、といっても過言ではありません！(笑)

今回は、このネガティブスキーマについて、少しお話してみようと思います(*^_^*)

そもそも"スキーマ"というのは、人の考えや行動に影響を与えるテンプレートのようなもの……その人の中で「これはこういうもの」と一般化された知識から、思考パターンを作り出すフィルターのようなものです。

……と、書いてもイマイチわかりづらいですよね(^_^;)

"心の法則"とも訳されますが、人の考えや行動にはその人なりのパターンがあり、これは過去の経験やトラウマ、人間関係、成功・失敗体験などによって作られていきます。

人には学習能力があるので、例えば、電車に乗る時には切符を買って改札を通って……ということを、初めての時はイチから順を追わなければ出来なくても、何度か繰り返すうちに慣れてきて、いつの間にか深く考えることなく、こなせるようになったりしますよね。

思考も同じで、成長の過程で学習してきたことを元に「こういう時にはこうなんだ」というようなパターンを、ちゃっかり身につけていくのです。

勿論、この仕組みがあるから私達は、既に学習したことの上に新しい知識を積み重ね、成長していくことが出来るのですが……中には、ネガティブな心の法則が、パターンとして根付いてしまっている場合もあります。

特に、睡眠不足や空腹時、疲労が溜まっていたり栄養不足の時、女性の生理前など、体調不良の場合や、心がネガティブ状態の時には、マイナスの心の法則が優勢になってしまい、柔軟な思考や行動を妨げやすいのです。

例を挙げると、元気な時には自分について「時には失敗もするけれど、人並みの実力はある」と評価できるのに、ネガティブ状態の時にはマイナスの心の法則により「私って失敗ばかりして、本当にダメな人間」と思い込んでしまったり。

そして実はこの心の法則(スキーマ)が、前回お話した"自動思考"の形成に大きく影響してくるのです！(自動思考について詳しくは『認知行動療法ってどんなもの？』参照)

例えば「相手からなかなかメールの返信が来ない」というような出来事があった場合に、「私は愛されない」というネガティブスキーマを抱えているとしたら、その人の自動思考はどんなものになり、その結果どんな気持ちになると思いますか？

一例ですが、

出来事「相手からなかなかメールの返信が来ない」

↓

ネガティブスキーマ【私は愛されない】

↓

自動思考「何か気に触ることを書いて、嫌われてしまったのでは？」(認知の歪み)

↓

感情「悲しい(T_T)」

……という具合に、"認知の歪み"を生み出して、更なるネガティブループにハマってしまう可能性があります。

もしかしたら、相手は体調が悪かったり、とても忙しかったり、あるいは大切なメールだから丁寧に返そうと思っていて、返信がすぐに出来ない状況なだけかもしれません。

しかしネガティブスキーマが働いていると、そういった冷静な思考が邪魔をされてしまうのです。

ひとつひとつの出来事はささやかなことでも、こうした積み重ねが悪循環になると、人間関係やパートナーシップにうまくいかないパターンをもたらしていきます。

自分のネガティブスキーマに気付くことが出来れば、マイナスの自動思考から早く脱出し、前向きな思考を立て直すことが出来るようになり、感情も穏やかに保てるようになります。

人それぞれに、抱えている心の法則(スキーマ)は様々です。

元気な時には問題にならなくても、元気がない時に自分がどんな思考に陥りやすいか、また、恋愛においてのみ、対人関係においてのみなど、特定の状況や条件によって発現するスキーマもあるので「自分の場合はどうかな？」と考えてみるのもいいかもしれませんね。

とはいえ、なかなか自分で見つけることが難しいのが、心の問題の奥深いところでもあります。

個別のお悩み相談も承っておりますので、自分ひとりでは解決が難しいと感じるお悩みごとがありましたら、どうぞお気軽にご相談下さいませ。