認知行動療法ってどんなもの?

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コラム
私が主に学んできたカウンセリング技法は、"認知行動療法"というものです。

言葉だけを見るとなんだか難しそうに見えるかもしれませんが、認知療法・認知行動療法とは、何か問題を抱えた時に、その人が本来持っている"心の力"を取り戻し、更に強くすることで自分自身で困難を乗り越える力を育てる方法として、今最も注目を集めている精神療法です。

アメリカの精神科医アーロン・ベックが1960年代に提唱したものが基となっており、うつ病や不安障害、統合失調症などの精神疾患の治療にも効果的とされ、日本では2010年から、うつ病治療のひとつとして保険診療にもなっています。

勿論、精神疾患だけでなく、日常の人間関係のストレス対処や、パートナーシップ、教育現場の問題など、様々な場面で有効な技法です。

また、1度その方法をしっかりと身につけることが出来れば、問題を抱える度にカウンセラーに頼らずとも、自分自身のセルフワークで自分を癒すことも可能になっていくはずです。

今回はこの認知行動療法について、少しお話させて頂こうと思います(*^_^*)


認知療法・認知行動療法とは、「出来事-考え-感情-行動」の相互関係に注目した方法です。

私達の"気持ち(感情)"や"行動"は、その時に頭に浮かんだ"考え(認知)"によって影響されます。

現実の受け取り方や、ものの見方を"認知"といいますが、この認知に働きかけることで心のストレスを軽くしていく方法が認知療法・認知行動療法です。

認知には、何かの出来事があった時に瞬間的に浮かぶ考えやイメージがあり、これは"自動思考"と呼ばれています。

そして、生まれた自動思考によって通常、私達の感情(気持ち)は選択されるのです。

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この自動思考には、人それぞれに個性……つまり、"考え方の癖"というものがあります。

同じ体験をしても、人によって全く異なる感情を抱く場合があるのは、このためなんですね。

ひとつの出来事についても、それをどのように捉え、考えるかで、その時に感じる気分や、身体の反応も随分違ってきます。

例を挙げると……例えば、自分との会話中に相手があくびをしたとします。

この時「相手は最近忙しくて、疲れが溜まっているのかな」と考えられれば、差し当たり気分を害するようなことはないはずですが、「私の話が退屈なのかな」と考えてしまうと、不安になったり、あるいは相手に対して怒りを覚えたり、なんてことも起こりえますよね。

ストレスに対して強い心を育てるためには、まず自分自身の"自動思考の癖"に気付いて、それに働きかけることが、とても役に立ちます。


また特に、ストレスが溜まってネガティブ状態になっている時には、私達の認知は歪みを生じやすく、「自分・周囲・将来」の3つに対して、悲観的な捉え方を持ちやすくなってしまいます。

「自分はダメな人間だ」と自分を過度に責めてしまったり、周囲の人の気持ちを深読みしすぎて疑心暗鬼や被害妄想に陥ったり、将来への希望を失ってしまったりするのです。

このような時こそ少し立ち止まり、問題を見つめ直し、新たな違った考えを探ることで、解決の糸口が見えてきます。


認知療法・認知行動療法では、辛くなった時に頭に浮かぶ自動思考を、現実に沿った柔軟な、"バランスの良い新しい考え"に変えていくことで、その時々に感じるストレスを和らげる方法を学びます。

ここで問題にしているのは"あなた"ではなく、あなたの"考え"です。

他人や過去や事実は変えられませんが、自分の考えは変えていくことが出来ます。

そして、自由な思考を身につけ、ストレスを和らげていくことで、もっと自分らしく生きられるよう、サポートしてゆくことが、認知行動療法の目的なのです。


「理屈はわかるけど、それで本当に問題が解決出来るの?」とお思いの方もいらっしゃると思います。

問題を解決するのは、あくまでご自分自身ではありますが、考え方のサポートをするのがカウンセラーの役割です。

個別のお悩み相談も承っておりますので、自分ひとりでは解決が難しいと感じるお悩みごとがありましたら、どうぞお気軽にご相談下さいませ。


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