恐怖で体が震えるという経験をしたことがある人は少なくありません。
例えば、昔大勢の前で失敗した人が人前に立つだけで緊張する。犬にかまれた経験がある人が犬を見ると身構える。あるいは過去につらい人間関係を経験した人が、似たようなタイプの人を見るだけで落ち着かなくなる。
頭では「もう大丈夫」「今回は違う」とわかっているのに、体が勝手に反応してしまうのです。
これは意志が弱いからでも、気の持ちようが足りないからでもありません。
人の脳には危険を避けようとする働きがあります。一度強い恐怖やショックを経験すると、その時の状況や雰囲気を記憶します。そして後になって似た状況に出会うと、「また危険かもしれない」と判断して体を守ろうとします。
その結果として、心臓が速くなる、手に汗をかく、体が固まる、震えるなどの反応が起こります。
つまり体はあなたを苦しめようとしているのではなく、守ろうとしているのです。
ではどうすればよいのでしょうか。
まず大切なのは、「震えてはいけない」と思わないことです。
震えを無理に止めようとすると、かえって意識が震えに向かい、余計に強く感じることがあります。
まずは「今、私は怖いと感じているんだな」「体が警戒しているんだな」と認めてあげましょう。
次に、過去と現在を分けて考えることです。
過去に起きた出来事と、今起きている出来事は同じではありません。
体は似た状況に反応していても、実際には違う人、違う場所、違う条件かもしれません。
そして少しずつ安全な経験を積み重ねることです。
恐怖を感じる場面を無理に避け続けると、脳は「やはり危険だった」と学習してしまいます。反対に、小さな成功体験を重ねることで、「意外と大丈夫だった」という新しい記憶を作ることができます。
体が震える時、それは弱さの証拠ではありません。
自分を責めるのではなく、「今まで守ってくれてありがとう」と体に声をかけてみるのも良いかもしれません。頭をなでながら「そうだよね、これは誰でお怖いよね。」と自分に声をかけてあげてください。そうすることで、少しずつ過去の恐怖は現在の安心へと書き換わっていくのです。