彼との出会いは、とあるクリスマスイブ。
私たちは煌びやかな街並みには興味なく、親交を深めようと徹底的に科学・宇宙・スピリチュアル・エネルギー・世界政治について深く話をした。
聞けば、ネットで気になる人たちがいれば、迷わず会いに行くとか。勇気と好奇心が強い青年だった。
親交を深める中で、封印した「波動セッション」について話した。反作用が強いが確かに人生を変えてしまう波動セッションは、完全体では提供していなかった。提供者はみな、私にこのセッションを切望して、覚悟を持って挑むのだが・・・
人生を大きく変えるまで至らず、多少の軌道修正のみで終わるばかりだった。加えて、短期間で人生を大きく変える為、人間関係・住まい・仕事など周りが目まぐるしく変化してしまう。反作用が強いので封印していた。
彼の探求心はすさまじく、私が経験してきた技術の仕組みをとことん知り尽そうとした。この会話過程で質問に答えていくうちに、封印した波動セッションの話をしてしまったわけだ。
私は封印した波動セッションには良い記憶がない。なぜなら、俺は大丈夫と言っている人ほど後になって人のせいにする人が後を絶えなかったからだ。
何度も断り続けた。
しかし、彼は何度も訴え続け、食い下がらなかった。
あまりに熱を込めて訴えるので、理由を尋ねると・・・
「学歴も、職場も、収入も安定してはいるが・・・このままでは、無人島へ行ってしまうくらいしかない。発狂しそうだ。普通の教師よりも学力を身につけても、新しい知識は手に入らない」
若いころの好奇心が過ぎるところが、私に似ていた。技術が安定して手に入れることができた途端、何も得られないという状況に耐え切れず、職場を変えていたことがある。
生きているだけで、沢山の情報を手に入れることができる状況なのに、情報に飢えていた。
この行き過ぎた好奇心は身の破壊となるが、使いこなせば人の役にも立つことがある。私は再び『反作用』を覚悟して、封印していた「波動セッション」を執り行った。
『反作用』については詳しくは言わないが。
予想通り、彼の環境すべて、周りが目まぐるしく変わっていき、彼自身もまた目まぐるしく変わった。彼が何か起こるたびに話を聞いて、対処を共に考えた。
彼の話を聞きながら、心の中で思っていた。
「どうせ私はいつでも死んでもいい身の上だし、ここで倒れてもかまわない。今度は命だけではなく、自己の消滅そのものを懸けて徹底的に行えばいい」
苦悩を乗り越えるたびに、たくさんの良いことも起こった。
彼が触れないようにしていたものの中から、会ったことのないタイプの素晴しい才能の人、知り合ったことのないタイプの人からの応援、新しくも楽しい生活様式。
彼の望んだように、自己成長を自覚できるに値する刺激的な毎日だった。
落ち着いたころ、セッション中によくした質問を改めてした。
「こんな大変なことが起こったけど、今と前ではどっちがいい?」
彼の答えはいつもこうだった。
「今の方がいい。あんな状態耐えられなかった」
人は悔いのない人生の中でこそ、輝くものだと思う。私もセッションではこれを心掛けて行っている。
思い切り、まして消滅をかけるくらいでないと。私の身についた異様な才能がどのように役立つかわからなかったなと思う。
特殊な設定を組んだ「波動セッション」は、今ではより人間らしく、ゆるやかだが確かに届くセッションとなった。
私もまた、彼と出会い成長を自覚せざるを得ない。