いじめの証拠に、何が必要なのか

いじめの証拠に、何が必要なのか

記事
コラム
【はじめに】

これは、私が実際に経験した第三者調査委員会の対応であり、すべての委員会に当てはまるわけではありません。今後、裁判などを想定されている方にとっては、客観的な証拠はご自身の身を守るためにも大変重要であり、事実を整理するためにも日々の記録は不可欠です。
あくまで「こういう第三者調査委員会もあった」という一つの情報提供として、そして「たとえ証拠がどんなにつぶされても、いじめの事実を守り抜く道はある」という希望の記録として、この体験を綴ります。


【証拠とは】

ある事実が存在するかどうかを判断するための根拠やあかしとなるもののこと(コトバンク)

①人証(にんしょう):人の供述による証拠
②物証(ぶっしょう):物的資料
③書証(しょしょう):文章による証拠、診断書、メールやLINEの画面など
④直接証拠:証明すべき事実を直接示す証拠(例:犯行の目撃証言)
⑤関節証拠(状況証拠):直接の結論ではないが、そこから事実を推認させ 
 る証拠(例:現場に残された指紋)

さて、問題です。
実際にいじめ重大事態の第3者調査委員会にとっての証拠は①から⑤の中で優先されたものはどれだと思いますか?

※とある、第3者調査委員会の見解にすぎません。
第3者調査委員会のメンバーは、教育委員会が選定した5名。
【弁護士2名、小児科医1名、児童学の専門分野の有識者2名】


正解は、①人証(学校側の供述)のみでした。

【 物証・書証・直接証拠・間接証拠が認められなかった現実】
② 物証(服やあざ): 被害の深刻さや加害側の記憶違いを理由に「証拠不十分」とされた。

③ 書証(診断書): 精神科や整形外科の正規の診断書であっても、「いじめと不登校の因果関係なし」と評価された。

④ 直接証拠(目撃証言): 少人数であることを理由に退けられ、子どもの証言そのものが最初から軽視された。

⑤ 間接的証拠(時系列の記録): 複数の暴言や暴力の記録、学校への度重なる相談も、主犯側の「記憶にない」という一言で覆されなかった。

唯一認められた「人証」も、被害側のものではなく、学校側の供述や不自然な対応の積み重ねでした。学校や教育委員会、そして調査委員会の間で食い違う説明に、証拠や事実よりも別のものが優先されているという深い絶望を味わいました。

【なぜ「いじめ」は認定されたのか?】
これほどまでに客観的な証拠が認められなかったにもかかわらず、なぜ「いじめは確かにあった」という事実だけは残ったのか。

それは、文部科学省の「いじめ防止対策推進法」に基づく基本的な方針、および「いじめの定義」があったからです。


「いじめ」とは、児童生徒に対して、当該児童生徒が在籍する学校の学校外その他当該児童生徒と一定の人間関係にある他の児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているものをいう。

【第3者調査委員会自らが残した「録音」という動かぬ記録】

調査委員のメンバーとの初回の顔合わせの際、私たちは「いじめの定義」に準じ、すでに子どもが心身の苦痛を感じている以上、ここで行うのは「いじめの有無の調査」ではなく、「いじめを前提とした事実確認の調査委員会である」という点を確認しました。

その時、第3者調査委員会は、自分たちの記録のために自らその場を録音していました。その録音データが残る中、彼らははっきりと「はい」と回答したのです。
この瞬間、調査委員会自らが残した「録音」という揺るがぬ記録によって、調査前から『いじめ』の存在が正式に認められていました。



本質は複雑な物的証拠の有無ではなく、「被害児童が苦痛を感じたかどうか」の一点でした。
どんなに証拠がつぶされようとも、この揺るがぬ基本方針と、委員会自らが残した録音があったからこそ、「いじめ」を証明するのにこれ以上の複雑な証拠は本当はいらなかったのです。


【証拠とは】
被害児童の保護者としては、一体何があったのか、
何故止めることができなかったのか、
どうして被害児童だけが学校に通えなくなるのか、
原因を追究するには…

証拠って何なの?

大きな組織の中では、証拠が証拠でなくなることもときにはあるのです。


同時に、証拠を確実に証拠とさせるロジックもみつけることができました。


【実践:私たちが動いたこと】

今回、私は、その手法が通用するのか実際に実践しました。

学校から繰り返されていた、私たちをクレーマー化する挑発的な態度を完全に抑制することができました。

弁護士相談やネット情報では、破損された文具等は加害児童側に請求する必要があるとされています。しかし、私たちは事実整理を行い、学校が本来果たすべき義務を怠っていた点に重点を置き、学校に請求を出しました(※第三者調査委員会が介入する前に徴収しました)。

また、教育委員会の他責や後延ばしに関しても、組織図から戦略を立てて、適所に杜撰な対応を報告することで、しっかりと是正することができました。

証拠を確実に証拠とするために、
証拠が乏しくても子どもの尊厳を守るために、

できることはあります。

【最後に】

ここまで読んで下さり、本当にありがとうございます。

私たちがかかわった調査委員会は特殊な例かもしれませんが、それでも「いじめ」を認めさせることができたのは、ご遺族の深い悲しみの中で紡いでくれた「いじめ防止対策推進法」があったからです。

この経験と現実が、今まさに同じ苦しみや重大事態に向き合っているどなたかの参考や、一筋の光となれば幸いです。
















サービス数100万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す