「まさか、うちの子が……」
学校から帰ってきた子の服が、背中まで土だらけでボロボロにされていたとき。
暑い日なのに急に長ズボンを履きたがるので、不審に思い確認すると、小さな体に痛々しい青あざを見つけたとき。
親の胸がどれほど張り裂けそうになるか、私には痛いほど分かります。
はじめまして。「子どものハラスメント研究所」の研究員です。
私は看護師として15年間勤務し、後半の4年間は職員のメンタルヘルスケアや相談業務、講師を務めてきました。普段は子どもの笑顔を見ているだけで幸せを感じる、ごく普通の親です。
しかし、我が子はこれまで、転居先の異なる都道府県の学校で2度、深刻ないじめの被害に遭いました。
確かな証拠があっても、学校と第三者委員会は「因果関係なし」と結論づけた
1人目の子のとき、私はあまりにも冷酷な「現実」を突きつけられました。
加害児童が「覚えていない」「知らない」と言えば、学校は「記憶にないならこれ以上は追及できない」と幕引きを図る。
いじめ重大事態として第三者調査委員会を立ち上げて弁護士をたてても、待っていたのは信じがたい調査結果でした。
体には蹴られた青あざがあり、服もボロボロにされ、1年以上も学校に行けなくなっていたにもかかわらず――
下された結論は「いじめと不登校の因果関係は認められない」。
納得がいかず再調査を求めても門前払いを食らい、調査結果を公表するなら被害者側の見解も併記してほしいという願いすら、「プライバシー保護」を口実に闇の中に葬られました。
必死に証拠を集め、動き回ったのに、何も守れなかった。
あのときの悔しさと無力感は、今でも忘れることができません。
年月が経ち、2人目の子が小学校に入学した直後、再び同じ悪夢が起きました。2人とも被害に遭ったのは小学校低学年でした。
文部科学省の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」を見ても、いじめの認知件数は小学校2年生をピークに、学年が上がるにつれて減少していく傾向が毎年はっきりと示されています。
このデータについて、文部科学省は以下のような見解を示しています。
高学年は1人1台端末(タブレット)でのアンケートや健康観察アプリを活用し、いじめの気配を早期に吸い上げて未然防止・早期解決ができている。
一方で低学年は端末の操作や言語化がまだ未熟なため、トラブルが目に見える形(顕在化)になってから大人が把握することが多い。
確かにICT端末の普及による成果はあるでしょう。しかし、当事者の親として現場に立ってきた私には、この分析に拭えない「ズレ」を感じています。
低学年で件数が跳ね上がる本質は、単に「端末が使えないから」ではありません。
加害の「加減」を知らない低年齢の特性
善悪の境界や力加減が未熟なため、動画やごっこ遊びの延長のまま、周囲の目を盗む巧妙さもなく、突き飛ばして青あざを作ったり物を破損したりといった「あからさまな身体的・直接的暴力」として現れます。
親の関与の濃さと、見逃さない観察眼
着替えや入浴、毎日の持ち物チェックなど、低学年は親が密に関わっています。だからこそ、傷や服の汚れといった異変に親がいち早く気づき、学校へ声を上げます。
つまり、低学年は「親の目が届き、被害が身体や物に直結しているからこそ、学校側も認知せざるを得ない」というのが現場の実感です。
そして、どれだけ目に見える確かな被害があっても、学校側は「対応した実績」だけを作り、都合の悪い事実を曖昧にしていく構造を持っています。
感情をぶつけるのをやめ、「論理的な枠組み」で立ち向かった2人目の経験
私は1人目の痛恨の失敗から、対応を根本から変えました。
込み上げる怒りや涙を一度横に置き、「誰が見ても反論できない論理的な枠組み」を初動から構築したのです。
第三者委員会が立ち上がったとき、結論を歪められないための記録の残し方
学校独自のマニュアルや保身の論理を崩すための対話設計
「今やるべきこと」と「待つべきこと」を整理し、親自身の心をすり減らさないペース配分
感情論ではなく、相手の土俵や組織の力学を先回りして動いた結果、事態を誤った方向へ導かせず、正当な対応へと結びつけることができました。
「論理的な道筋」と「傷ついた心のケア」、どちらも置き去りにしないために
ただ、感情を押し殺して一人で論理的に戦い続ける日々は、想像を絶する孤独でした。
張り詰めていた緊張が切れた瞬間、置き去りにしていた悔しさや切なさが溢れ出し、気づいたら涙が流れていたこともありました。
そのとき強く痛感したのです。「今、何をするべきか」を客観的に示す羅針盤と、傷ついた親の心に寄り添う伴走者。その両方が絶対に必要だ、と。
学校や教育委員会の理不尽な壁に直面し、暗闇の中で立ちすくんでいる親御さんが、今この瞬間もたくさんいらっしゃるはずです。
私が流した悔し涙と、二度の経験から導き出した知見は、同じ苦しみの中にいる親御さんの力になるためにあったのだと思っています。
「子どものハラスメント研究所」では、私の実体験とメンタルケアの知見をもとに、親御さんが孤立せず、子どもの尊厳と未来を守り抜くためのサポートを発信していきます。
あなたは、一人で抱え込まなくて大丈夫です。
暗闇の中を歩くための確かな足元を、一緒に見つけていきましょう。
是非、お悩みをお聞かせください。