介護付き・住宅型・サ高住は何が違う?老人ホーム探しの前に知っておきたい「住まい」と「介護」の仕組み

介護付き・住宅型・サ高住は何が違う?老人ホーム探しの前に知っておきたい「住まい」と「介護」の仕組み

記事
学び
親の介護施設を探し始めると、いきなり似たような名前がたくさん出てきます。

「介護付き有料老人ホーム」

「住宅型有料老人ホーム」

「サービス付き高齢者向け住宅」

略して「サ高住」。

名前だけを見ると、どれも高齢者が住んで介護を受ける場所のように見えます。

ところが、制度上の位置づけや介護サービスの受け方はかなり違います。

2026年9月18日に厚生労働省が公表した「有料老人ホームの現状と課題について」では、介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅の違いが整理されています。

施設を比較する前に、まずこの違いを知っておくと、ホームページの見方がかなり変わります。

まず「有料老人ホーム」とは何なのか
厚生労働省資料では、有料老人ホームは、高齢者を入居させ、

食事の提供

介護の提供

洗濯や掃除などの家事

健康管理

のうち、いずれかのサービスを提供する施設と整理されています。

ここで少しややこしいのが、「有料老人ホーム」という大きな枠の中に、さらに「介護付き」と「住宅型」などがあることです。

つまり、

「有料老人ホーム=介護付き老人ホーム」

ではありません。

介護付き有料老人ホームは、ホームが介護サービスを提供する
「介護付き有料老人ホーム」は、介護保険法上の「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた有料老人ホームです。

厚生労働省資料では、介護保険サービスをホーム自身が提供し、介護報酬もホームへ包括的に支払われる仕組みとされています。

たとえば、食事、排泄、入浴などの日常生活上の介護や、機能訓練、療養上の世話などを、基本的には施設の職員が提供します。

人員配置についても介護保険法上の基準があり、要介護者については看護・介護職員を3対1の割合で配置することなどが定められています。 

かなり単純化すると、

「住まい」と「介護サービス」が一体になっている

のが介護付き有料老人ホームです。

そのため、施設を比較するときには、月額料金だけでなく、

介護職員や看護職員の配置

夜間の体制

医療機関との連携

看取りへの対応

認知症への対応

などを確認する意味が大きくなります。

住宅型有料老人ホームは、介護サービスを外から利用する
一方、「住宅型有料老人ホーム」は、特定施設入居者生活介護の指定を受けていない有料老人ホームです。

介護が必要になった場合は、必要に応じて訪問介護、訪問看護、デイサービスなどの居宅サービスを利用する形になります。

ここが介護付きとの大きな違いです。

介護付きでは、ホームが介護サービスを包括的に提供します。

住宅型では、「住まい」と「介護サービス」が別になっているのが基本です。

ただし、実際には両者の境界が見た目だけでは分かりにくいことがあります。

厚労省資料では、住宅型有料老人ホームの79.6%が、併設または隣接する介護サービス事業所があると回答しています。

建物の中やすぐ近くに訪問介護事業所などがあると、入居者から見れば「施設の職員から介護を受けている」ように感じることもあるでしょう。

しかし、制度上は「住まいのサービス」と「介護保険サービス」が別になっていることがあります。

そのため住宅型を比較するときは、

「介護が必要になったら、どの事業所からサービスを受けるのか」

「訪問介護や訪問看護はどこが提供するのか」

「施設と同じ法人なのか」

といったところまで確認したほうが分かりやすくなります。

「住宅型だから介護が軽い人向け」とは限らない
名前だけを見ると、

介護付き=介護が重い人

住宅型=比較的元気な人

というイメージを持つかもしれません。

ところが、厚労省資料の実態を見ると、それほど単純ではありません。

2025年度の調査では、要介護3~5の中重度者の割合は、

介護付き有料老人ホーム 約39%

住宅型有料老人ホーム 約56%

サービス付き高齢者向け住宅 約33%

でした。 

むしろ、この調査では住宅型有料老人ホームのほうが、中重度者の割合が高くなっています。

住宅型では2015年から2025年にかけて入居者の重度化も進み、要介護3以上の割合は48.9%から56.0%へ上昇しています。

つまり、

「住宅型だから軽度者向け」

「介護付きだから重度者向け」

と施設種別だけで判断するのは危険です。

実際にどんな人が入居しているのか、どこまで対応できるのかを施設ごとに見る必要があります。

サ高住は、そもそも「高齢者向けの住宅」
サービス付き高齢者向け住宅、いわゆる「サ高住」は、少し性格が違います。

基本的には「高齢者向けの賃貸住宅」です。

厚生労働省資料では、サ高住について、

原則25平方メートル以上の床面積

一定のバリアフリー基準

状況把握サービス

生活相談サービス

などが登録基準として示されています。 

つまり、サ高住で必ず提供されるサービスの中心は、

安否確認と生活相談

です。

介護そのものが必ずセットになっているわけではありません。

介護が必要になれば、訪問介護などの外部サービスを利用する形の住宅もあります。

この点では住宅型有料老人ホームと似ています。

サ高住なのに「有料老人ホーム」でもある?
さらに話をややこしくするのが、サ高住と有料老人ホームは完全に別物ではないことです。

サ高住の事業者が、

食事

介護

家事

健康管理

のいずれかを住宅事業の一部として提供していれば、そのサ高住は老人福祉法上の「有料老人ホーム」にも該当します。

厚生労働省資料では、サ高住の約96%が有料老人ホームにも該当するとされています。

つまり、

「サ高住」

と

「有料老人ホーム」

は必ずしも二者択一ではありません。

サ高住でありながら、有料老人ホームでもある施設がかなり多いということです。

さらに、サ高住の中には「特定施設」の指定を受け、介護付き有料老人ホームと同じ仕組みで介護サービスを提供するものまであります。

施設探しを始めたばかりの家族が混乱するのも無理はありません。

3種類を大まかに整理すると
かなり単純化すると、次のように考えると分かりやすいです。

種類基本的な考え方

介護付き有料老人ホームは、住まい+介護。 介護サービスは基本的にホームが提供

住宅型有料老人ホームは、高齢者向けの住まい。必要に応じて外部の介護サービスを利用

サービス付き高齢者向け住宅は、高齢者向け賃貸。住宅安否確認・生活相談が基本。介護は施設により異なる

ただし、これはあくまで制度を理解するための大まかな整理です。

実際の施設はもっと複雑です。

同じ「住宅型」でも、併設する訪問介護や訪問看護が充実している施設があります。

同じ「サ高住」でも、比較的元気な高齢者を中心としているところもあれば、介護や医療ニーズの高い人を多く受け入れているところもあります。

だから施設種別だけで「こちらが上」「こちらが安心」と決めることはできません。

月額料金の比較も、施設種別を知らないと難しい
料金を見るときにも、この違いは重要です。

厚労省資料の2025年調査では、月額費用の最多価格帯は、

介護付き 30万円以上

住宅型 10~12万円

サ高住(非特定) 12~14万円

となっています。

ただし、この「月額費用」には介護・医療サービスの自己負担分は含まれていません。

家賃、共益費、基本サービス費、食費・光熱水費などの合計です。

そのため、

住宅型が月額12万円

介護付きが月額20万円

だったとしても、単純に「住宅型のほうが8万円安い」とは言えません。

住宅型では、必要な介護サービスの利用状況によって別の自己負担が発生するからです。

料金を比べるときにも、「どの仕組みの施設なのか」を先に確認する必要があります。

施設名よりも「実際に何を提供するか」を見る
介護施設を探していると、

「介護付き」

「住宅型」

「サ高住」

という名前そのものに目が行きがちです。

もちろん施設種別は重要です。

ただ、本当に知りたいのはその先です。

誰が介護するのか。

夜間は誰がいるのか。

看護師はいついるのか。

訪問介護はどこが提供するのか。

医療が必要になった場合はどうなるのか。

認知症が進んでも住み続けられるのか。

介護度が上がったら料金はどう変わるのか。

施設種別は、こうしたことを調べるための「入口」と考えるくらいがちょうどいいと思います。

介護付きだから安心。

住宅型だから安い。

サ高住だから元気な人向け。

そう単純に分けるのではなく、制度の違いを理解したうえで、個々の施設の公開情報を比較する。

老人ホーム探しでは、この順番が大切です。


参考資料
厚生労働省
「有料老人ホームの現状と課題について」
有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会(第9回)参考資料3
2026年9月18日
サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す