マンション購入を検討する際、多くの方が気にするのは物件価格や住宅ローンの返済額ではないでしょうか。
しかし、ファイナンシャル・プランナーとして、もう一つ注目していただきたいのが、購入後に長期間支払い続ける管理費や修繕積立金です。
特に、大手デベロッパーが分譲する新築マンションでは、購入後の維持管理コストについて慎重に確認する必要があると考えています。
大手ブランドのマンションは、管理費も高くなりやすい
大手デベロッパーが分譲するマンションでは、系列の管理会社が管理業務を受託するケースが多く見られます。
大手管理会社には、専門知識や調整能力に優れたフロント担当者が多く、組織的な支援体制も整っています。
一方で、大きな組織を維持するための経費が必要であり、清掃や設備点検などの業務を外部業者へ再委託することで、中間経費も発生します。
その結果、管理委託費が高額になりやすいという側面があります。
もちろん、管理費の高さは管理会社だけで決まるものではありません。共用施設の充実度や管理員の勤務体制、建物の規模などによっても大きく変わります。
ただし、購入者としては、ブランドや物件価格だけでなく、管理サービスに見合った費用なのかを確認する必要があります。
管理費は住宅ローンを完済しても終わらない
例えば、管理費が月額5,000円違えば、年間では6万円、30年間では180万円の差になります。
これは、わずか1戸当たりの金額です。
しかも、住宅ローンとは違い、管理費は完済という概念がありません。
マンションを所有している限り、原則として支払い続ける費用です。
さらに、人件費や物価の上昇によって、将来的に管理費が値上げされることも考えられます。
**購入時には小さく見える月々の差額が、長期的には大きな家計負担になるのです。**
修繕積立金の値上げにも注意
管理費だけでなく、修繕積立金にも注意が必要です。
新築マンションでは、販売時の月額負担を抑えるため、当初の修繕積立金を低く設定し、段階的に引き上げる方式が採用されることがあります。
しかし、将来の値上げは、区分所有者の家計に直接影響します。
加えて、建築資材価格や人件費の上昇によって、当初の長期修繕計画よりも工事費が増加することもあります。
修繕積立金の不足が生じれば、さらなる値上げや一時金の徴収、工事内容の見直しなどが必要になる場合もあります。
**住宅ローンの返済額だけで購入予算を判断するのは危険です。**
修繕工事の発注方法も、将来の負担を左右する
マンションでは、築年数の経過に伴い、設備修繕や鉄部塗装、防水工事など、さまざまな工事が必要になります。
これらの工事を管理会社経由で発注する場合、専門業者への直接発注と比較して高額な見積金額になりやすい傾向があります。
管理会社が業者選定や手配、工事の調整などを担うため、その分の経費や利益が上乗せされるからです。
よく言えば、管理会社に業者手配や工事対応を任せるという「安心を買っている」面もあります。
しかし、高い費用を支払ったからといって、必ずしも工事品質が高くなるわけではありません。
そして、こうした工事費の増加は、管理組合の財政を圧迫し、将来の修繕積立金の負担にも影響します。
購入後に管理会社を変更するのは簡単ではない
管理会社は、管理組合の判断によって変更することができます。
しかし、新築マンションでは、売主のアフターサービスに関する連絡や不具合対応を系列管理会社が担うこともあり、実務上の関係が深くなりがちです。
また、管理会社を変更するには、管理組合内での合意形成や新たな委託先の選定、業務の引継ぎなどが必要になります。
そのため、購入後に管理委託費が高いと感じても、すぐに管理会社を変更できるとは限りません。
購入時点で管理会社や管理委託費の内容を確認しておくことが重要です。
FPとして伝えたいこと
大手ブランドのマンションを購入すること自体が悪いわけではありません。
しかし、知名度や設備の充実度、物件価格ばかりに注目し、購入後の維持管理コストを軽視してはいけません。
管理費や修繕積立金は、住宅ローンを完済した後も続きます。
マンション購入では、**「いくら借りられるか」だけでなく、「購入後、長期間にわたって無理なく住み続けられるか」**を考えていただきたいです。
FPとしては、住宅ローンの返済額に加えて、管理費・修繕積立金・固定資産税なども含めた住居費全体で、購入予算を判断することをおすすめします。
**大手ブランドという安心感だけでなく、そのブランドを維持するために、将来いくら支払うことになるのか。**
購入前に、ぜひ一度考えていただきたいと思います。