元データをきれいにしすぎると、異常が見えなくなる。
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複数の部署から届いた売上明細を一つにまとめた。日付の書き方をそろえ、空欄を埋め、商品コードも統一する。見やすい表ができました。ただ、どの値をどう直したか残していないと、きれいになった分だけ元の問題が見えなくなります。
たとえば商品コード「P08」を「P-08」に直したとします。正しい対応かもしれませんが、別商品を指す可能性もゼロではありません。空欄の担当者を前行の値で埋めた場合も、その行が本当に同じ担当だったかは別の確認です。加工後の表だけでは、どこが事実でどこが補完か分かりません。
仕事の数字室では、元データを保存し、作業用の列を分けます。「元コード」「変換後コード」「変換理由」のように並べると、処理の結果が追えます。空欄もすぐにゼロへ置き換えません。未入力と金額ゼロは意味が違うからです。まず空欄の件数と場所を数え、その後で必要な補完を判断します。
もちろん、実務では整形が必要です。見やすくすることをやめるのではなく、元の姿を残したまま整えるのです。そうすれば集計結果に違和感が出ても、加工前へ戻って理由を確かめられます。
数字を使う人にも、加工した箇所を短く伝えます。「商品コードの表記違いを3件統一、担当者空欄2件は未補完」。それだけで、集計表に含まれる前提が見えます。特に空欄を推測で埋めたなら、確定した値と同じ顔で渡さないことが大切です。見栄えのよい表ほど、見えなくなった不確実性を別に示す必要があります。
たとえば翌月も同じ表記揺れが出るなら、毎回手で直すより、入力時の選択肢やマスタの登録方法を見直す方が効きます。元の異常を記録していると、何を仕組みで防ぐべきかが見えてきます。
作業が終わったら、変換前と変換後の行数・金額を比べます。表記をそろえるだけなら、原則として件数や総額は変わらないはずです。もし変わるなら、重複行を削除した、金額の形式変換に失敗したなど、別の処理が混ざっています。見た目が整ったことと、データの意味が保たれたことを分けて確認します。
今日のルールは、元データには上書きせず、変換結果を別列に置くこと。異常があった事実まで消さない表が、後の確認を助けます。