目視チェックを丁寧にする前に、目視を減らす。

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経費明細が120行。前回、同じ伝票番号を二度支払うところだったので、今月は一行ずつ慎重に見ようと決めた。気持ちは分かります。でも、目を凝らす量を増やすことが、いちばん強い対策とは限りません。

人が得意なのは、出てきた例外の背景を考えることです。一方、同じ条件を何十行にも繰り返し当てる作業は、Excelに任せやすい。伝票番号の重複、必須項目の空欄、基準額超え、請求日と支払日の逆転は、先に条件を決めれば候補をまとめて出せます。人が全行を同じ力で見る必要はありません。

ただし、機械的に抽出した候補を、そのまま「誤り」と呼ばないことも大切です。同じ伝票番号でも、分割支払いかもしれません。高額でも、承認済みの設備費かもしれません。抽出は判断の代わりではなく、判断すべき行を絞るためにあります。

進め方は簡単です。元データを残す。正常な条件を一文ずつ書く。条件から外れた行に印を付ける。印のある行だけ、証憑や担当者への確認が要るか判断する。最後に、どの条件を使ったか記録する。翌月も同じ方法を繰り返せれば、注意力の調子に左右されにくくなります。

もし抽出結果がゼロ件でも、それだけで安心しないようにします。条件が間違っていれば、本来の例外も出てきません。意図的に空欄や重複を含む練習行で、判定が働くか試す。あるいは元一覧の件数と、抽出前後の件数を比べる。機械に任せる部分も、最初に人が確認する必要があります。仕組みを信じるための点検までが、目視を減らす仕事です。

抽出条件は、毎月同じ基準で使える形にしておきます。たとえば「担当者が空欄」「同じ請求IDが二行以上」「日付が対象月の外」と列ごとに判定し、いずれかに該当する行だけを見る。今月ゼロ件でも条件は消さず、翌月も使います。人が見る行を減らすほど、見つかった一件を丁寧に調べる時間が残ります。

今日のルールは、目視を頑張る前に「機械的に絞れる行はないか」を探すこと。人の目は、例外の意味を考えるために残します。

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