比較軸を増やすほど、分析は浅くなることがある。
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売上を月別、担当者別、商品別、顧客別、部門別に切ってみた。表もグラフも増えたのに、報告の結論は「さまざまな違いがありました」。こういう分析は、時間を掛けた割に判断が進みません。
比較軸を増やせば、何か発見できそうに思えます。しかし軸には、それぞれ答える問いがあります。月別なら時期による変化。商品別なら構成の違い。担当者別なら担当配分や取引の偏り。何を知りたいか決めずに全部並べると、目立つ数字を後から拾うだけになり、重要な差と偶然の揺れを区別しにくくなります。
例えば「来月の発注数を決めたい」なら、まず商品別の販売数量と在庫、直近の変化を見るべきでしょう。担当者別の売上は、発注数の判断には直接つながらないかもしれません。一方、「担当者の負荷を見直したい」なら、件数と担当者の組み合わせが中心です。同じ元データでも、問いによって最初の軸が変わります。
仕事の数字室では、比較表を一つ作るたびに「この表の結果がAなら何をし、Bなら何をするか」を考えます。どちらでも判断が変わらない表は、いま必要な優先順位が低い。軸を絞ることは、視野を狭めることではなく、行動に結び付く差を探すことです。
もう一つ気を付けたいのは、軸を細かくするほど一つの区分の件数が少なくなることです。商品、担当者、月、顧客を全部掛け合わせれば、たまたま一件だけの大きな数字が目立ちます。それを傾向と呼ぶ前に、区分ごとの件数を確認します。比較の単位を小さくするなら、偶然の影響も大きくなる。だから、必要なところだけ掘り下げ、元の全体へ戻って確かめます。
例えば「どの商品を来月重点的に扱うか」を決めたいなら、商品別の売上だけでなく、継続的に売れているかを月別に見るのは意味があります。一方で、その判断に顧客の郵便番号別集計まで必要かは別です。軸を足すたびに「この結果で選択が変わるか」を問い直す。変わらないなら、その表は後回しにできます。後で必要になれば、元データに戻って追加の表を作れます。最初の報告ですべてを並べる必要はありません。
今日のルールは、比較軸を増やす前に、判断が変わる条件を一つ書くこと。表の枚数より、問いとの距離を大切にします。