「野球を頑張るお子さまを応援する保護者の皆さまへ。」
子どもが試合に出られない時、つらいのは本人だけではありません。
毎日練習している姿を見ているからこそ、親も悔しくなり、「何とかしてあげたい」と思います。しかし、励ますつもりでかけた言葉が、子どもをさらに追い詰めることがあります。
私自身にも、忘れられない経験があります。
【息子の「本当は試合に出たい」という言葉】
私の息子は、ある強豪高校の野球部に所属し、3年生の時には控えの投手でした。
甲子園に出場した際の選手紹介では、「チーム一番のムードメーカー」と紹介されていました。試合に出られなくても腐らず、チームのために自分ができることを考えていたのだと思います。
しかし甲子園を前にして自宅へ帰ってきた時、息子が私にこう言いました。
「お父さん、俺、本当は試合に出たいんや」
その言葉を聞いた瞬間、私は涙が出そうになりました。
私は息子に、「予選で負けて高校野球を終えた選手もいる。お前にはまだ甲子園があるんだから、腐らずに練習しよう」と声をかけ、一緒に練習しました。
当時の私は、何とか前を向かせたい一心でした。しかし今振り返ると、励ます前にまず、「そうか。本当は試合に出たいんやな」と、息子の気持ちをそのまま受け止めることも大切だったと思います。
この経験と長年の少年野球指導を通じて、試合に出られない子どもに対して、親が避けたい言葉が3つあると感じています。
【言ってはいけない言葉①】
「なんで試合に出られないの?」
親としては理由を知りたいだけかもしれません。しかし、本人が一番それを考えています。
答えが分からないまま聞かれると、「自分は認められていない」「自分の力が足りない」と、責められているように感じることがあります。
「今日はどんな気持ちだった?」と、まず本人の気持ちを聞いてあげてください。
【言ってはいけない言葉②】
「もっと監督にアピールしないと」
これも励ましのつもりで出やすい言葉です。
しかし、子どもなりに懸命に練習し、声を出し、アピールしている場合があります。それでも試合に出られないから苦しんでいるのです。
すぐに解決策を示すより、「今、自分ではどんなことを頑張ろうと思っている?」と聞く方が、子ども自身の考えを引き出せます。
【言ってはいけない言葉③】
「あの子より、お前の方が上手いのに」
一見すると、子どもを評価している言葉に聞こえます。しかし、チームメートとの比較や、監督の選手起用への批判につながります。
子どもはチームの中で生活しています。仲間や指導者への不信感を親が強めると、居場所まで失いかねません。
他の選手と比べず、「試合に出られなくても、努力している姿を見ているよ」と伝えることが大切です。
【親ができる一番の支え】
子どもが試合に出られない時、親がすぐに答えを出す必要はありません。
まずは、悔しい気持ちや苦しい気持ちを否定せずに聞くことです。
「本当は試合に出たいんやな」
「今、一番つらいのは何?」
「お父さん、お母さんにできることはある?」
このような言葉なら、子どもは自分の気持ちを話しやすくなります。
試合に出ることだけが、子どもの成長ではありません。息子が控えという立場でも腐らず、ムードメーカーとしてチームを支えた経験は、その後の人生にも残る大切な力になったと思います。
親も悩んで当然です。
誰かを批判するためではなく、お子さまにとって何が一番よいかを一緒に考えていきましょう。
「どんな言葉をかければよいか分からない」という時は、どんな小さなお悩みでも安心してご相談ください。