海外向けにカメラや時計、精密機器などを販売する場合、配送中の紛失や破損への備えを考える必要があります。
高額商品では、一件の配送事故によって大きな損失が発生する可能性があります。
ただし、配送会社の損害賠償制度、申告価額、貨物保険はそれぞれ異なる仕組みです。
今回は、高額商品を海外発送する前に確認しておきたい8つのポイントを紹介します。
1. 配送会社の補償の仕組みを確認する
国際配送では、運送会社の損害賠償、損害要償額や申告価額、貨物保険といった仕組みがあります。
損害賠償は、運送会社が規定に基づき損害に対して責任を負う仕組みです。
損害要償額や申告価額は、賠償の限度額などに関係する申告値です。
貨物保険は、契約で定められた対象事故について、保険条件に基づいて補償を受ける仕組みです。
どの制度でも、申告した金額が無条件で支払われるわけではありません。
2. EMSの損害要償額を確認する
日本郵便EMSでは、発送時に損害要償額を申し出る制度があります。
2026年10月15日に確認した公式案内では、2万円まで追加料金がなく、2万円を超える場合は超過する2万円またはその端数ごとに50円の追加料金が設定されています。
例えば、次のような追加料金です。
20,000円まで:0円
40,000円まで:50円
100,000円まで:200円
200,000円まで:450円
500,000円まで:1,200円
ただし、これは基本運賃とは別の料金です。
また、損害要償額を設定したからといって、その金額が必ず賠償されるわけではありません。
実際の事故については、対象条件や調査結果などが関係します。
3. DHL Expressの貨物保険を確認する
DHL Expressには、貨物保険のオプションがあります。
日本向けの公式案内では、保険料は2,500円または保険対象価額の1.2%の高い方とされています。
例えば、保険対象価額10万円の場合、1.2%は1,200円ですが、最低料金の2,500円が適用される計算です。
保険対象価額30万円の場合は、1.2%が3,600円なので、3,600円となります。
ただし、対象商品の種類、保険の適用範囲、免責条件などを確認する必要があります。
すべての商品や事故が補償対象になるとは限りません。
4. FedExの申告価額は保険と異なる
FedExでは、発送時の申告価額が運送上の責任限度額に関係します。
ただし、FedExの公式案内では、申告価額は保険ではないと説明されています。
申告価額を高く設定したからといって、事故の際にその金額が全額支払われるわけではありません。
また、商品や利用サービスによって、申告できる価額の上限や責任範囲が異なる場合があります。
必要に応じて、別途貨物保険を検討することもあります。
5. 補償料金を利益計算に含める
説明用に、次の販売条件を想定します。
販売価格:120,000円
仕入れ原価:80,000円
販売関連手数料:12,000円
国際送料:8,000円
梱包費:1,000円
この場合、補償関連の追加費用を差し引く前の残額は、
120,000 − 80,000 − 12,000 − 8,000 − 1,000 = 19,000円
となります。
仮に補償関連の追加費用が2,500円なら、
19,000 − 2,500 = 16,500円
です。
追加費用が6,000円なら、
19,000 − 6,000 = 13,000円
となります。
これらは費用の影響を説明する仮定例です。
各配送会社の実際の総送料を比較したものではありません。
6. 梱包と商品価値の証拠を残す
海外発送では、補償の仕組みだけでなく、商品の状態や包装条件も重要です。
高額商品を発送する際には、商品名、型番、シリアル番号、発送前の検品写真、梱包前後の写真、発送控え、追跡番号などを記録します。
また、商品価格を証明できる販売明細や仕入れ資料なども整理しておきましょう。
ただし、写真を保存していることだけで補償が保証されるわけではありません。
配送会社が定める梱包基準や申請条件も確認してください。
7. 補償対象外の商品や免責条件を確認する
配送会社の制度では、商品によって補償対象外となったり、責任限度額が制限されたりする場合があります。
そのため、追加料金だけを比較するのではなく、次の条件も確認します。
商品の種類
仕向国への配送可否
補償対象になる事故
免責事項
梱包基準
賠償や保険金請求の期限
必要書類
支払上限
安い追加料金であっても、必要な補償が受けられない条件なら、十分な備えにはなりません。
8. 配送事故と購入者対応は別に管理する
配送中に破損や紛失が発生した場合、配送会社への調査と、購入者への返金や再発送の対応が必要になることがあります。
Amazon、eBay、Shopeeなどでは、販売先や注文条件によって必要な対応が異なります。
配送会社の調査結果を待っている間でも、販売サイトへの回答期限を過ぎないよう注意してください。
また、補償請求中の金額と、実際に認められて受け取った金額を区別して記録することが重要です。
配送会社別の料金・補償を混同しないための確認表
【EMS】発送前の確認:発送時に申し出る損害要償額、仕向国の取扱い、
禁制品、追加料金注意点:原則2万円超から2万円ごとに50円。
最高200万円。
ただし実損・適用条件に基づく賠償であり、申告額の満額を保証しない
【DHL Express】発送前の確認:運送保険を付けるか、保険対象価額、
対象商品、免責条件注意点:日本向け公式案内では2,500円または保険対象価額の1.2%の高い方。
基本送料とは別
【FedEx】発送前の確認:申告価額、責任上限、貨物の種類、
第三者保険の要否注意点:FedExは保険を提供していないと公式に案内。
申告価額を保険と誤認しない
なお、上記の料金は2026年10月26日時点で確認した公表条件です。
料金は改定される可能性があるため、差出日・契約条件・仕向国ごとに再確認してください。
補償申請の際は、注文番号、販売明細、型番・シリアル、発送前の検品写真、梱包記録、追跡番号、購入者との連絡、損害の写真、配送会社への照会日と回答をまとめます。
賠償申請の締切と販売サイトの購入者対応期限は別に管理してください。
まとめ
海外へ高額商品を発送する場合は、商品の価値や販売価格だけでなく、配送中の事故に備えた補償条件を確認する必要があります。
EMSの損害要償額、DHL Expressの貨物保険、FedExの申告価額は、それぞれ異なる仕組みです。
追加料金の安さだけで判断せず、補償対象、免責条件、必要書類、申立期限まで確認しましょう。
発送前に補償条件を整理しておくことが、配送事故時の損失管理につながります。
公式情報(2026年10月26日確認)
日本郵便「EMSの損害賠償制度」:https://www.post.japanpost.jp/service/send/oversea/list/delivery/ems/damage.html
DHL Express「荷物の補償」:https://mydhl.express.dhl/jp/ja/shipment/shipment-protection-options.html
FedEx「フェデックスはどのような保険を提供していますか?」:https://www.fedex.com/ja-jp/customer-support/faq/invoices-and-payments/fees-and-charges/what-insurances-fedex-provide.html
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※補償の成立、保険金額、事故調査結果を保証するサービスではありません。
※本文は一般的な実務情報であり、特定の事故に対する賠償や保険金の支払いを保証するものではありません。
※料金・販売条件・利益の計算例は、説明用の仮定を含みます。
発送時点の最新の公式情報をご確認ください。
補償額は支払保証ではなく条件と一緒に見る
以下は社内での確認方法の一例です。
例示の数量・金額は実績や公式条件ではありません。
損害要償額、運送保険、運送申告価額は同じ制度名ではありません。
申告した金額と、事故時に認められる賠償額を区別します。
判断に迷ったとき:料金だけを比べず、対象物、免責、梱包、申告期限の条件が未確認なら加入判断を保留します。
残すメモ:サービス/制度名/価額/追加料金/対象外/申告手順と期限
次の一手:発送する現物の価値と契約条件を確認し、事故時に必要な証拠も保存します。
※掲載画像はAI生成のイメージです。