住宅を探していて「この物件なら進めたい」と思ったとき、不動産会社から「購入申込書を書いてください」と案内されることがあります。
書類の名称は「購入申込書」「買付証明書」「買受申込書」などさまざまです。
初めて住宅を購入する方にとっては、
「これを書いたら売買契約になるの?」
「価格交渉はここに書くの?」
「住宅ローンの金額がまだ確定していなくてもよい?」
「あとから条件を変えることはできる?」
と分かりにくい書類でもあります。
購入申込書は、売主側へ「この条件で購入を希望しています」と伝えるために使われる書類です。
今回は、購入申込書を書く前に整理しておきたいことと、不動産会社へ確認したいポイントを、不動産取引実務の目線から解説します。
■購入申込書とは?
購入申込書は、購入希望者が売主側へ購入意思と希望条件を伝えるために使われる書類です。
一般的には、
・購入希望価格
・手付金の予定額
・住宅ローンの利用予定
・借入予定額
・契約希望日
・決済、引渡し希望日
・その他の希望条件
などを記載します。
ただし、書式や記載項目は不動産会社によって異なります。
「とりあえず物件を押さえるための紙」と考えるのではなく、自分がどのような条件で購入を希望しているのかを売主側へ伝える書類として確認した方が分かりやすいでしょう。
■購入申込書を出したら売買契約になる?
購入申込書と売買契約書は別の書類です。
実際の取引では、購入申込書を提出したあと、売主と条件を調整し、重要事項説明や売買契約書の内容を確認してから正式な売買契約へ進むケースが一般的です。
ただし、「購入申込書だから何を書いてもよい」と考えるものでもありません。
購入希望価格や引渡し時期など、売主が契約条件を検討するための材料として使われるためです。
また、申込書によっては、
・申込みの有効期限
・売主が承諾した場合の扱い
・申込金の扱い
・申込みを取り下げる場合の記載
などが設けられていることがあります。
意味が分からない項目がある場合は、署名する前に不動産会社へ確認しておくと安心です。
■最初に確認したいのは「購入希望価格」
例えば、販売価格4,980万円の中古住宅に対して、4,850万円で購入したいと考えたとします。
購入申込書には、販売価格ではなく4,850万円を「購入希望価格」として記載することがあります。
いわゆる価格交渉です。
ここで考えておきたいのは、
「いくらなら買えるか」
だけではなく、
「その金額で売主が承諾した場合、本当に契約へ進む予定なのか」
という点です。
価格交渉だけ先に行い、その後になって資金計画や希望条件を検討するより、
・購入希望価格
・自己資金
・住宅ローン
・契約時期
・引渡し時期
を一度整理してから申し込んだ方が、その後の話を進めやすくなります。
■住宅ローンの予定も整理しておく
住宅ローンを利用する場合、購入申込書に、
・住宅ローン利用の有無
・借入予定額
・利用予定金融機関
・事前審査の状況
などを記載する場合があります。
例えば、
購入希望価格 4,850万円
自己資金 850万円
住宅ローン予定額 4,000万円
という形です。
この時点で金融機関が最終決定していないこともあります。
その場合でも、
・事前審査を受けているのか
・これから申し込むのか
・借入予定額はいくらなのか
を整理しておくと、不動産会社にも現在の状況を伝えやすくなります。
特に人気物件などでは、購入希望者が複数になることもあります。
その場合、売主側が購入条件を検討するうえで、資金計画の状況が確認されることがあります。
■「手付金」と「申込金」は同じとは限らない
購入申込書に「手付金予定額」を記載する欄が設けられている場合があります。
手付金は、一般的には売買契約を締結する際に買主から売主へ支払い、売買代金の一部に充当される金銭です。
一方、契約前の申込み段階で「申込金」「申込証拠金」などの名称で金銭を預けるケースもあります。
名称が似ていても、意味や扱いが同じとは限りません。
金銭を支払う場合は、
・何のためのお金なのか
・誰が預かるのか
・売買契約時にはどのように扱われるのか
・契約に至らなかった場合はどうなるのか
・預り証は発行されるのか
を確認しておきたいところです。
金額だけではなく、そのお金の位置付けを見ることが大切です。
■契約希望日と引渡し希望日は別に考える
購入申込書には、「契約希望日」や「引渡し希望日」を記載することがあります。
ここは意外と重要です。
例えば、買主が、
「できれば1か月後には引っ越したい」
と考えていても、売主が現在居住中で、買替え先を探している場合があります。
その場合、希望どおりの引渡し時期にならないこともあります。
反対に、すでに空室で、売主が早めの決済を希望しているケースもあります。
不動産売買では、価格だけではなく、
・いつ契約するか
・いつ残代金を支払うか
・いつ物件を引き渡すか
も重要な取引条件です。
申込みをする段階で、自分の希望日程も整理しておくとよいでしょう。
■希望条件がある場合は早めに伝える
中古住宅の購入では、価格以外にも希望条件があることがあります。
例えば、
・エアコンを残してほしい
・不要な家具を撤去してほしい
・境界について確認してから契約したい
・住宅ローンの利用を前提としたい
・一定の時期までに引渡しを受けたい
といった内容です。
こうした希望がある場合は、どの段階で売主へ伝えるのかを不動産会社と確認します。
ただし、購入申込書に記載した希望が、そのまま売買契約の条件として確定するわけではありません。
申込み後に売主と条件を調整し、最終的に合意した内容を売買契約書や特約事項などで確認していくことになります。
そのため、
「申込書に書いたから大丈夫」
ではなく、
「契約書ではどのように記載されているか」
まで確認することが大切です。
■一番早く申し込めば購入できるとは限らない
購入希望者が複数いる物件では、
「一番最初に購入申込書を出した人が購入できるのでは?」
と思う方もいるかもしれません。
しかし、実際には申込みの順番だけで決まるとは限りません。
売主側では、
・購入希望価格
・住宅ローン利用の状況
・契約できる時期
・決済できる時期
・引渡し条件
・その他の希望条件
などを含めて検討することがあります。
例えば、
Aさん
販売価格どおりで申込み
住宅ローン事前審査済み
2か月後に決済希望
Bさん
100万円の価格交渉あり
住宅ローン事前審査前
1か月後に決済希望
というように、購入希望者によって条件は異なります。
どの条件を重視するかは売主側の事情によっても変わります。
購入申込みが複数ある場合は、
「現在の申込み状況はどうなっていますか?」
「売主へはどのように申込みを伝えますか?」
と確認すると状況を把握しやすくなります。
■価格交渉だけに意識を向けすぎない
購入申込書を書くときに、最も気になりやすいのが価格です。
もちろん購入価格は重要です。
ただし、不動産売買では価格以外にも確認する事項があります。
例えば、
・契約日はいつか
・手付金はいくらか
・住宅ローン特約をどうするか
・引渡し日はいつか
・設備をどのような状態で引き渡すか
・残置物はどうするか
などです。
価格交渉がまとまったからといって、その他の条件も自動的に自分の希望どおりになるわけではありません。
申込み段階では「売主へ希望を伝える条件」と「契約までに確認する条件」を分けて整理すると分かりやすくなります。
■購入申込みから売買契約までに確認するもの
購入申込みが売主に受け入れられ、契約へ進むことになったら、今度は実際の契約内容を確認します。
物件によって異なりますが、一般的には、
・重要事項説明書
・売買契約書
・特約事項
・登記事項証明書
・付帯設備表
・物件状況報告書
・マンションの場合は管理関係資料
などを確認します。
購入申込書は取引の入口です。
購入申込書に記載した内容と、最終的な売買契約書の条件が同じとは限りません。
契約前には、改めて書面の内容を確認する必要があります。
■具体例で考えてみる
販売価格4,980万円の中古戸建てを購入するとします。
購入申込みの内容が、
・購入希望価格 4,850万円
・自己資金 850万円
・住宅ローン予定額 4,000万円
・住宅ローン事前審査 承認済み
・契約希望日 1週間以内
・決済、引渡し希望 約2か月後
・売主側で一部の残置物撤去を希望
だったとします。
この場合、売主が確認するのは4,850万円という価格だけではありません。
「いつ契約できるのか」
「資金計画はどの程度進んでいるのか」
「いつ引き渡せばよいのか」
「残置物を撤去する条件を受けられるのか」
なども含めて条件を調整します。
購入申込書は、単に「買いたい」と伝える書類ではなく、売買契約へ向けた条件整理の入口と考えると分かりやすいでしょう。
■不動産会社へ確認するときの質問例
購入申込書を書く前に分からないことがあれば、次のように質問できます。
・この購入申込書は、どのような目的で使う書類ですか?
・購入希望価格は、この金額で売主へ提示されますか?
・現在、ほかに購入申込みは入っていますか?
・申込みはどのような順番、方法で売主へ伝えられますか?
・住宅ローンの事前審査は申込み前に必要ですか?
・手付金はいくらを予定していますか?
・申込金を支払う場合、そのお金はどのような扱いになりますか?
・契約希望日と引渡し希望日は、この日程で調整可能ですか?
・こちらの希望条件は、売主へどのように伝えますか?
・売主が申込みを受け入れた場合、その後はどのような流れになりますか?
・重要事項説明書と売買契約書は、契約前に確認できますか?
不動産会社へ質問するときは、
「この物件、大丈夫ですか?」
と大きく聞くよりも、項目ごとに具体的に確認した方が、判断材料を整理しやすくなります。
■まとめ
購入申込書は、住宅購入の意思と希望条件を売主側へ伝えるために使われる書類です。
書く前に整理したいのは、
・購入希望価格
・自己資金
・住宅ローンの利用予定
・手付金の予定
・契約希望日
・決済、引渡し希望日
・その他の購入条件
です。
そして、購入申込みが進んだあとは、重要事項説明書や売買契約書などを確認し、最終的な契約条件を整理していきます。
「自分の契約ではどうなっているのか分からない」
「不動産会社へ何を確認すればよいか整理したい」
「契約前に第三者の視点でも確認したい」
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契約前に資料の内容を整理し、不動産会社へ追加で確認したい事項を明確にするためのサポートとしてご利用いただけます。