日本政策金融公庫の創業計画書で、いちばん手が止まりやすいのが「9 事業の見通し(月平均)」の欄です。
売上高・売上原価・経費・利益を「創業当初」と「1年後又は軌道に乗った後」の2つで書き、さらに「計算した根拠」まで書く必要があります。
この欄で大事なのは、数字そのものより「どうやってその数字になったか」が説明できることです。
ここでは、架空の小さな飲食店を例に、組み立て方を順番に書きます。
■ 1. 売上は「かけ算」で作る
売上は、なんとなくの金額ではなく、分解したかけ算で作ります。飲食店なら次の形が基本です。
席数 × 回転数 × 客単価 × 営業日数
例:20席のお店で、ランチ(1回転・950円)とディナー(0.8回転・3,200円)、月25日営業の場合
・ランチ:20席 × 1.0回転 × 950円 × 25日 = 475,000円
・ディナー:20席 × 0.8回転 × 3,200円 × 25日 = 1,280,000円
・満席時の合計:約175万円(テイクアウトがあれば足します)
この「満席時の売上」に、開業からの立ち上がりの割合をかけます。
開業直後から満席になるお店はほとんどありません。創業当初は5割前後、軌道に乗った後で8〜9割、のように控えめに置くと、面談で説明しやすくなります。
■ 2. 原価と経費は「割合」と「固定」に分ける
・売上に比例するもの(食材の原価、水道光熱費の一部、カード決済の手数料)
・売上に関係なく毎月かかるもの(家賃、人件費、広告費、通信費など)
この2つに分けておくと、「売上が2割減ったらどうなるか」「何人来れば黒字か」がすぐに計算できます。
■ 3. 個人で開業するなら、ご自身の給料は人件費に入れない
様式にも注記がありますが、個人営業の場合、事業主ご本人の分は人件費に含めません。
その代わり、利益の中から生活費と借入の返済を払えるかを、別に確かめておく必要があります。
「利益は出ているのに、生活費と返済を引くと毎月マイナス」という計画は、意外とよくあります。
■ 4. 返済が始まる月を忘れない
据置期間(利息だけ払う期間)を付けた場合、据置が終わった月から元金の返済が始まり、毎月の出ていくお金が急に増えます。
12か月の手元のお金の動きを月ごとに並べて、途中でマイナスにならないかを見ておくと安心です。
■ 5. 根拠の文章は、数字をそのまま文にする
根拠の欄は、難しい言葉はいりません。上のかけ算を、そのまま文章にすれば十分です。
例:「ランチ 20席×1.0回転×950円×営業25日、ディナー 20席×0.8回転×3,200円×営業25日。創業当初は満席時の50%、軌道に乗った後は90%で計算」
■ まとめ
・売上は「席数×回転×単価×日数」のようなかけ算で作る
・原価と経費は、割合のものと固定のものに分ける
・ご自身の給料は人件費に入れず、生活費と返済が払えるかを別に確かめる
・据置が終わった月からの返済まで、12か月で確かめる
・根拠は、かけ算をそのまま文章にする
この計算を毎回手でやるのは大変なので、私は業種ごとに、数字を入れると創業計画書の欄に写せる数字と根拠の文章ができるExcelを作りました。
飲食店・美容室・学習塾・整体院・ネイルサロン・パーソナルジムの6業種があります。よろしければご覧ください。
※この記事は計算の考え方の説明です。融資の審査結果を保証するものではありません。例の数字はすべて架空です。
業種別のExcel(各5,500円・税込)