物件を決める前に、払える家賃の上限を出す

物件を決める前に、払える家賃の上限を出す

記事
ビジネス・マーケティング
店舗の開業で失敗するとき、その原因は開業した後ではなく、契約書にハンコを押した時点で決まっていることがよくあります。

家賃は、一度決めると変えられません。売上が落ちても、客足が鈍っても、毎月同じ額が出ていきます。仕入れや人件費のように、状況に応じて絞ることができない費用です。

だからこそ、物件を見に行く前に上限額を出しておく必要があります。

■ 目安になる比率

飲食店では、FL比率という考え方が使われます。Food(食材費)とLabor(人件費)の合計が売上に占める割合です。ここに Rent(家賃)を足したものがFLR比率で、一般に70%以下が適正、85%を超えると危険水準とされています。

内訳の目安(レストランの例)は次のとおりです。

・食材費 30〜35%
・人件費 25〜30%
・家賃 10〜15%

業態によって幅があり、目安は次のように整理されています。

・カフェ 60〜76%
・居酒屋 63〜77%
・ラーメン店 65〜75%
・ファストフード 70〜80%

立地や業態で変わるので、この数字がそのまま正解になるわけではありません。ただ、判断の物差しとしては十分に使えます。

■ 上限家賃の出し方

順番はこうです。売上から逆算します。

◆ 1. 現実的な売上を先に置く

席数 × 回転数 × 客単価 × 営業日数。ここで強気の数字を入れると、以降の計算が全部ゆるくなります。

いちばん良いのは、候補物件の近くで似た業態の店を実際に数えることです。ピーク時とアイドルタイムの両方を見てください。

◆ 2. 家賃の上限を10%で置いてみる

月商が300万円なら、家賃の上限は30万円。月商200万円なら20万円です。

15%まで許容できる業態もありますが、創業時は売上が計画に届かないことが前提なので、まず10%で線を引いて、そこから議論したほうが安全です。

◆ 3. 返済額を足して確かめる

ここを飛ばす方が多いです。

家賃10%に収まっていても、借入の返済が乗ります。毎月の返済額を家賃と同じ扱いで固定費に足して、それでも利益が残るかを見てください。

売上が計画の8割になったときにどうなるかも、必ず計算します。8割で赤字なら、その物件は選ばないほうがいいです。

■ 家賃以外に出ていくお金

物件で必要になるのは家賃だけではありません。契約時にまとまった現金が出ます。

・保証金・敷金(家賃の6〜10ヶ月ぶんになることがあります)
・礼金
・仲介手数料
・前家賃
・保証会社の費用
・火災保険

さらに、内装工事が終わって開店するまでの期間も家賃は発生します。契約から開店まで2ヶ月かかるなら、売上ゼロで2ヶ月ぶんの家賃を払います。このぶんを資金計画に入れ忘れる方が非常に多いです。

■ 居抜き物件で気をつけること

初期費用が抑えられるのは大きな利点ですが、残された設備が使えるかどうかは別の話です。

・厨房機器の年式と、動くかどうか
・空調の能力が席数に合っているか
・電気容量とガス容量が、やりたい業態に足りるか
・前の店がなぜ閉めたのか

最後の項目が特に重要です。立地が理由で閉めた店の後に入ると、同じ結果になります。

■ 順番の話

不動産会社から良い物件を紹介されると、「早く決めないと他に取られる」と言われることがあります。

実際にそうなることもあります。ただ、上限額を出さないまま契約した家賃は、その後何年も効いてきます。

物件を探しはじめる前に、上限額を紙に書いておく。それだけで、迷ったときの判断が早くなります。

■ 今日できること

想定している月商を1つ書いて、その10%を計算してみてください。いま見ている物件の家賃が、その額を超えていませんか。

超えているなら、売上をもっと取れる根拠があるのか、それとも家賃のほうを見直すのか。どちらかを決める必要があります。

———

事業計画書の添削や、創業融資のご相談も承っております。プロフィールから、出品中のサービスをご覧いただけます。

※ 融資の可否を保証するものではありません。個別の状況によって答えが変わる部分が多いため、気になる点があればメッセージでお尋ねください。
サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す