通帳を開いたら、220,000円の入金が1件。
請求書を見ると、その取引先に出しているのは99,000円と121,000円の2枚。足せば220,000円。合っています。
でもExcelで金額を突き合わせると、220,000円に一致する請求書は1枚もありません。照合式は「該当なし」を返します。
この「1回の入金が、複数の請求ぶんだった」——合算入金は、入金消込がいちばん止まりやすいところです。金額のズレでも名義のズレでもなく、1対1という前提そのものが崩れているからです。
この記事では、合算入金をどう見分けるか、Excelで自分でやるならどこまでできるか、そして何件を超えると手作業が現実的でなくなるかを書きます。
■ なぜ照合が止まるのか
消込の作業は、たいてい「請求1件 = 入金1件」を前提に組み立てられています。VLOOKUPでもXLOOKUPでも、条件付き書式でも、探しているのは「同じ金額の相手」です。
ところが実際の入金には、この前提から外れるものが混ざります。
・合算入金:取引先が月末にまとめて振り込んだ(1入金 = 複数請求)
・一部入金:請求の一部だけが先に入った(1請求 = 複数入金)
・手数料差引:振込手数料が引かれて端数が合わない
・過入金:前回の不足分などが上乗せされている
このうち合算入金がやっかいなのは、どの請求とどの請求の組み合わせなのかを、金額から逆算しないと分からない点です。他の3つは「1対1だが金額がずれている」ですが、合算入金だけは対応関係そのものを探す作業になります。
■ 自分で確認できるポイント
入金額に一致する請求が見つからないとき、次の順番で見ると当たりがつきます。
1. その取引先の未消込請求を、まず全部足してみる
いちばん多いのがこれです。「未消込のものを全部まとめて払った」というケース。組み合わせを考える前に、まず合計を試すと一発で決まることがよくあります。
2. 差額が振込手数料の額に近いか
合計してもぴったり合わないとき、差額を見てください。330円・440円・550円・660円あたりなら、手数料が引かれた合算入金の可能性があります。差額が数百円のときは、組み合わせ探しより先にここを疑うほうが早いです。
3. 入金日と締めの関係
月末締め翌月末払いの取引先なら、1回の入金に前月ぶんが複数入っていても不思議ではありません。逆に、入金日が請求日より前なら、それは別の取引(前受金など)の可能性があります。
4. 名義が取引先名と違っていないか
振込名義が代表者名や親会社名になっていると、そもそも取引先で絞り込む段階で外れます。金額の話に入る前に、名義側の候補を広げておく必要があります。
■ Excel/CSVで整理する方法
現実的な手順を書きます。
手順1:未消込だけを残す
請求一覧に「消込済」列を作り、消し込めたものにフラグを立てます。判断の対象は未消込の行だけにします。
手順2:取引先ごとの未消込合計を出す
=SUMIFS($C$2:$C$500, $B$2:$B$500, B2, $E$2:$E$500, "")
(C列=請求金額、B列=取引先名、E列=消込済フラグ。フラグが空=未消込)
この値が入金額と一致すれば、その取引先の未消込がまるごとまとめて入金されたケースです。合算入金の中でいちばん多いパターンなので、ここで多くが片づきます。
手順3:合わないものだけ、2件の組み合わせを見る
まるごと合計では合わないとき、はじめて組み合わせを探します。未消込を金額順に並べ、上から2件ずつ足して入金額と比べていく。数式で総当たりを組むこともできますが、この段階まで来るものは件数が少ないはずなので、並べ替えて目で追うほうが速く、間違いにも気づきやすいです。
手順4:確定できないものは「要確認」にする
ここが一番大事です。組み合わせの候補が2通り以上あるとき、金額が合うからといってどちらかに決めてはいけません。
たとえば未消込が 50,000円 / 50,000円 / 100,000円 の3件で、150,000円の入金があったとします。どちらの50,000円と100,000円の組み合わせでも金額は合いますが、どちらの50,000円なのかは金額からは決まりません。ここで片方に決めてしまうと、翌月に「払ったはずの請求が未入金になっている」という形で問題が出てきます。
合うものは合わせる。決まらないものは決めない。「要確認」という置き場所を作っておくことが、後戻りを防ぎます。
■ 手作業が重くなる境界
どこまで自分でやれるか。組み合わせの数で考えると見当がつきます。
ある取引先の未消込がn件のとき、2件の組み合わせは n×(n−1)÷2 通りです。
・未消込3件 → 3通り(目で足せる)
・未消込5件 → 10通り(まだ追える)
・未消込10件 → 45通り(かなりつらい)
・未消込15件 → 105通り(現実的でない)
しかも3件の合算まで考えると、10件で120通りに増えます。
経験的な目安として、取引先1社あたりの未消込が5件を超え、かつ合算入金が混ざりはじめたあたりから、手作業は「時間がかかる」ではなく「再現性がなくなる」領域に入ります。同じデータを翌月もう一度照合したとき、前回と違う結論になる——これが一番こわい状態です。
月全体で言えば、未消込が20件を超えたあたりから、合計・組み合わせ・手数料差額・名義ゆれが同時に絡みはじめ、Excelの画面上で全体を把握しきれなくなります。
■ 自分で処理するか、任せるか
判断の分かれ目は、件数そのものより「毎月やるかどうか」だと思います。
自分でやったほうがいいケース
・取引先が10社前後で、未消込が月に数件しか出ない
・合算入金がほとんどなく、あっても「まるごと合計」で片づく
・手順3までを一度作ってしまえば、翌月も同じ形で使える
任せることを考えてよいケース
・毎月、月初の何時間かがこの作業で埋まっている
・振込名義がカナで届き、請求書は漢字の会社名で、突き合わせに毎回時間がかかる
・合算入金・手数料差引・過入金が同じ月に混ざる
・前回どう判断したかを思い出すところから始めている
■ この作業を代行しています
上に書いた手順を、こちらで実行してお返しするサービスを出品しています。
請求データと入金データ(Excel/CSV)をお送りいただくと、振込名義の表記ゆれを整理したうえで1件ずつ照合し、一致/未入金/金額差異/過入金/要確認に分けたExcelでお返しします。合算入金も検出します。この記事に書いたとおり、名義が結び付かないものは金額が合っていても消し込まず、「要確認」として理由を添えて残します。
料金は5,000円、お届けは2日、1回のご依頼で請求200行×入金200行までが対象です。銀行口座へのログイン、記帳代行、税務に関する判断は行いません。データの照合と整理だけをお引き受けします。
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