Kindle出版でいちばん多くの人が止まる場所は、どこだと思いますか。
推測ではなく、実際の依頼内容を数えてみました。ココナラの「書籍出版支援」カテゴリに出された依頼138件の本文で、どの言葉が何回出てくるかを集計した結果です。
・EPUB … 38回
・表紙 … 34回
・Word … 25回
・入稿 … 16回
・目次、縦書き … 各15回
・リンク … 10回
EPUB(出版用データへの変換)が最も多く出てきます。つまり、原稿は書けたけれどデータ変換で止まっている人が、いちばん多いということです。
この記事では、Word原稿をKindle用に変換したとき、実際にどこが崩れるのかを具体的に書きます。
そもそも、なぜ崩れるのか
理由は一つです。Wordは「紙」を前提に、Kindleは「画面」を前提にしているからです。
Wordで作った原稿は、決まった大きさの紙に文字を並べたものです。1ページに何文字入るかが決まっています。
一方、Kindleの本にはページという固定の概念がありません。読者が文字サイズを変えれば、1ページの文字数は変わります。スマートフォンとタブレットでも変わります。これをリフロー型と呼びます。
紙のために作った指定が、画面では意味を失う。ここから崩れが生まれます。
崩れる場所は、だいたい決まっています
1. 空白スペースで作った位置調整
タイトルを中央に見せるために、スペースを何個も入れて位置を調整していませんか。
紙なら揃います。しかし電子書籍では、文字サイズが変わった瞬間にずれます。読者が文字を大きくすると、中央だったはずのタイトルが左に寄ります。
中央揃えは、スペースではなく中央揃えの機能で指定します。
2. 空行で作ったページ区切り
章の終わりで改行を10回、20回と入れて次のページに送っていませんか。
これも崩れます。文字サイズによって、次章の見出しがページの真ん中に来たり、空白ページが何枚も生まれたりします。
ページを変えたいときは、改ページという機能を使います。
3. 手で大きくした見出し
「第1章」という文字を選択して、フォントサイズを大きくする。これは見出しになっていません。ただの大きい本文です。
見出しとして扱われないと、目次が自動生成できません。電子書籍の目次はタップで飛べる必要があります。それができなくなります。
見出し1、見出し2というスタイル機能で指定してください。ここが、後の工程すべてに効いてきます。
4. 半角の記号
縦書きにする場合、半角の疑問符や感嘆符は横に倒れます。全角に統一してください。
英数字も同様です。半角の年号は縦書きだと横倒しになります。縦中横という指定をするか、全角にするかの判断が要ります。
5. 画像の配置
Wordで画像を「文字列の折り返し」設定にして、本文の横に回り込ませていませんか。
電子書籍にこの概念はありません。画像は本文の流れの中に、単独で配置されます。回り込みを前提にしたレイアウトは、そのまま崩れます。
6. 表
表は最も崩れやすい要素です。列が多い表は、スマートフォンの画面幅に収まりません。
3列を超える表は、箇条書きに置き換えられないかを先に検討したほうが確実です。
7. フォント指定
Wordで選んだフォントは、そのまま読者に表示されるとは限りません。読者の端末にそのフォントがなければ、別のものに置き換わります。
見た目をフォントで作り込んでも、再現されないと考えてください。
変換は一度では終わりません
ここまで直しても、変換して一発で完成することは、まずありません。
実際の流れはこうです。
1. 変換する
2. 実機で確認する(スマートフォン、タブレット、電子書籍端末)
3. 崩れを見つける
4. 元原稿を直す
5. 再変換する
6. 2に戻る
これを数回繰り返します。一度で終わる前提でスケジュールを組むと、遅れます。
特に見落としやすいのが、端末ごとの差です。パソコンのプレビューでは問題なくても、実機では崩れていることがあります。文字サイズを最大にして確認すると、隠れた問題が出てきます。
変換前にやると、あとが楽になること
順番が大事です。変換してから直すより、変換前に整えるほうが圧倒的に早いです。
・見出しをスタイル機能で設定し直す
・スペースと空行での位置調整を全部やめる
・半角の記号を全角に統一する
・画像の回り込みを解除する
・表を見直す
この5つを先に済ませておくと、変換後の手戻りが大きく減ります。
冒頭の数字に戻ります。138件の依頼のうち、EPUBが38回。これは「原稿は書けたのに、ここで止まった」人がそれだけいるということです。恥ずかしいことではなく、紙と画面の違いを知らなければ当然つまずく場所です。
この工程だけを外注する方もいますし、企画から出版まで丸ごとお引き受けすることもできます。「変換で止まっている」というご相談も歓迎です。
ご相談とお見積りは無料です。今どの段階で止まっているか、教えていただければ、そこからご提案します。
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