前回、原稿ができてから出版まで10の工程があると書きました。これを読んで「自分でやるのは難しそうだ」と感じた方もいると思います。
では、誰かに頼むとして、何を確認してから頼めばいいのか。
この記事はその判断材料です。私自身が代行を請け負っている立場ですが、ここでは「うちに頼んでください」ではなく、どこに頼むにしても確認すべきことを書きます。あとで困らないためです。
1. KDPアカウントは、誰の名義で作るのか
これがいちばん重要です。
Kindle出版では、KDPというAmazonのアカウントに本を登録します。このアカウントが、あなたの本の管理権限そのものです。
KDPの公式ヘルプには、こう書かれています。
「KDP アカウントの名前は、身分証明書(名前、書かれている言語)と完全に一致している必要があります」
「申請者は、一度に 1 つのアカウントのみを保持することができます」
つまり、アカウントは本人の身分証明書と一致した名義で作るものであり、1人1つです。
ここを確認せずに進めると、こうなります。
・印税の受取口座が、自分のものでない
・価格を変えたいとき、自分で操作できない
・内容を修正したいとき、毎回誰かに依頼する必要がある
・その相手と連絡が取れなくなったら、自分の本を触れなくなる
本は出して終わりではありません。価格改定、内容の修正、カテゴリの見直しと、出したあとも触り続けます。そのたびに他人を経由する状態は、長い目で見て不自由です。
「アカウントはこちらで作ります」と言われたら、なぜそうするのか、名義は誰になるのかを確認してください。
2. 納品物に「元データ」が含まれるか
出版が完了したとき、手元に何が残るかです。
EPUB(出版用データ)だけを渡されると、次に修正したいとき困ります。EPUBは編集しづらい形式だからです。
確認したいのは、編集可能な元データが含まれるかどうかです。
・原稿のワードファイル
・表紙の元データ(画像ファイルだけでなく、編集できる形式か)
・図解の元データ
これがあれば、次回以降は自分で手を入れられます。なければ、修正のたびに依頼することになります。
見積りを取る段階で「納品物を具体的に教えてください」と聞けば分かります。
3. 何が定額で、何が別料金か
料金表に書かれた金額が、最終的な支払額とは限りません。
よくある追加項目です。
・執筆の文字数が増えた場合
・表紙の修正回数を超えた場合
・図解の点数を増やす場合
・紙の本(ペーパーバック)も出す場合
・販売ページの画像を作る場合
どれも悪いことではありません。作業が増えれば料金が増えるのは当然です。問題は、あとから知ることです。
先に「この金額に含まれるものを全部教えてください」と聞き、含まれないものも聞いておく。これだけで、あとの行き違いがなくなります。
4. 修正は何回まで、いつまでか
制作物には修正が発生します。確認すべきは2つです。
回数は、プラン内で何回まで対応してもらえるか。無制限をうたう場合、どこかに別の制約があることが多いので、その中身を聞いてください。
期間は、納品後、いつまで対応してもらえるか。出版してから「ここを直したい」と気づくことは、実際よくあります。
5. AIを使うのか、使うならどう申告するのか
近年は制作にAIを使う場合があります。私も使っています。
大事なのは、使うかどうかではなく、正しく扱っているかです。
Amazonは、AI生成コンテンツについて申告を求めています。表紙画像にAIを使った場合、KDPの登録画面で申告する項目があります。ここを知らずに出すと、規約上の問題になりかねません。
確認したいのは次の2点点です。
・AIをどの工程に使うのか(下書き、表紙、図解など)
・Amazonへの申告をどう扱うのか
「AIは使いません」と言い切る場合も、それはそれで一つの方針です。逆に「使います」という場合は、申告まで含めて理解しているかが判断材料になります。
5つを聞くだけで、判断できます
まとめます。見積りを依頼するとき、この5つを聞いてください。
1. KDPアカウントは誰の名義で作るのか
2. 納品物に編集可能な元データは含まれるか
3. この金額に含まれるもの、含まれないものは何か
4. 修正は何回まで、いつまで対応してもらえるか
5. AIをどう使い、Amazonへの申告をどう扱うか
答えにくそうな質問ではありません。きちんとやっている相手なら、どれも即答できる内容です。逆に、言葉を濁されたり、話をそらされたりしたら、そこが後で問題になる箇所だと考えていいと思います。
参考までに、私の場合はこうしています。
・アカウントはお客様ご本人名義でご用意いただきます(こちらでの代行作成は行いません)。登録手順書をお渡しし、メッセージでサポートします
・納品物を出品ページに明記しています。あわせて、お渡しできないものも書いています
・料金は定額。含まれるもの・オプションを、依頼前にすべてお伝えします
・AIは下書きや素材づくりに使い、企画・編集・最終チェックは人が行います
この5つを他社にも同じように聞いてみて、納得できたところに頼むのがいちばんです。
ご相談とお見積りは無料です。「この5つを聞きたい」というご連絡だけでも、お気軽にどうぞ。
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