看護師、ケアマネジャー、そして保健師——。
これまで職種や仕事内容は変わってきましたが、私の軸にあるのはいつも**「人の気持ちに寄り添う仕事」**だということです。
長年、医療や介護・福祉の現場に携わってきた中で、私自身が感じた「寄り添うことの難しさ」と、そこから得た気づきについて今日はお話ししたいと思います。
1. 看護師・デイサービス時代:病気だけでなく「生活」を見る大切さ
25年前の看護師時代は、とにかく毎日の業務に追われる日々でした。
検査、投薬、バイタルチェック、清拭……。振り返ると、入院中の患者さんやご家族の声にじっくり耳を傾ける余裕がなかったように思います。本来は、病気と向き合う不安や心に寄り添う看護こそが必要だったはずでした。
その後、デイサービスへ転職。そこで待っていたのは病院とは違う**「段差だらけの自宅生活」や「複雑な家族関係」**という現実でした。
「話を聞く時間ができたことで利用者の心に寄り添えた」と思ったら、一方の主張を鵜呑みにしていただけだった
介護者の気持ちを置き去りにした支援は、本当の意味で成り立たない
病院の外に出て初めて、在宅介護のリアルとトータル支援の必要性に気づかされ、私はケアマネジャーを目指すことになります。
2. ケアマネジャー時代:「本人」と「家族」の板挟みになる葛藤
ケアマネになってからは、また新たな壁にぶつかりました。
「家族の気持ち」に寄り添いすぎた結果、ご本人との間で板挟みになってしまったのです。
「デイサービスに行きたがらない本人」 VS 「限界でどうしても行かせたい家族」
介護生活を成り立たせるためにはご家族の意向も無視できず、一緒になってご本人を説得する日々。「これは本当に本人の気持ちに寄り添えているのだろうか?」と、自分の支援に対して葛藤し続ける毎日でした。
3. 保健師の現在:多様化する社会課題と「介入のさじ加減」
そして現在の仕事は保健師です。最初の相談窓口として、日々新しいご相談に対応しています。
ケアマネまでは「依頼・契約」があってからの支援でしたが、保健師が向き合う相談はさらに多様で一筋縄ではいきません。
本人には内緒で介護保険を申請したい
認知症の疑いがある家族に、さりげなく受診を勧めてほしい
高齢者虐待、困窮、8050問題、ゴミ屋敷など
テレビのニュースで見るような複雑な家族問題が、すぐ身近にたくさんあることに最初は大きな衝撃を受けました。
ご家族それぞれの思いがある中で、「どこまで踏み込んでいいのか」「誰にどう伝えるべきか」。家族問題に首を突っ込みすぎることはできませんが、ある程度フラグを立てて主導権を握らないと家庭が回らない。その**「さじ加減」**の難しさと日々向き合っています。
おわりに:どんな価値観も、まずは「同じ高さ」で考える
長年この仕事をしてきて、私には到底理解できない価値観を持った方ともたくさん出会ってきました。
けれど、「理解できないから」と切り捨てるのではなく、**「理解しようと努めること」「相手と同じ高さ・同じ立場に立って考えること」**が私の習慣になっています。
神経をすり減らしたり、エネルギーを吸い取られたりして大変なこともたくさんあります。
それでも私は、この仕事に強い誇りを持っていますし、日々やりがいを感じながら楽しく向き合えています。
寄り添い方や対象は変わっても、「人に寄り添う」情熱はこれからも変わりません。
もし今、介護やご家族のことで一人で抱え込んでいるお悩みがあれば、いつでも気軽にお話し聞かせてくださいね。