ふつふつと燃えるような情熱を持って、何かに夢中になっている子どもの姿は、本当に美しいものです。模型づくりや部活、趣味に時間を忘れて没頭する姿と同じように、受験勉強においても「言われなくても自分から机に向かう姿」を親としては期待してしまいますよね。
結果が出たときの達成感や、昨日まで解けなかった問題が解けたときの成長感は、何物にも替えがたい貴重な経験です。
今回は、子どもたちが勉強や受験に向き合うときの「モチベーション(やる気)」の正体について、少し心理学的な視点から紐解いていきたいと思います。
1. 子どもががんばる「2つの理由」
人が何かに向かってがんばるとき、そこには大きく分けて2つの理由(動機づけ)が存在します。
① 外発的動機づけ(外からの報酬をめざす力)
「テストで良い点を取ったらお小遣い」「志望校に合格したらスマホを買ってもらう」「先生や親に褒められたい」「周りからすごいと思われたい」といった、外から与えられる報酬や賞賛を目的にがんばる力です。
受験勉強でも、「合格という結果」や「周囲からの承認」は、大きな推進力になります。
② 内発的モティベーション(内側から湧き出る楽しさ)
これに対して、「新しい知識を知るのがおもしろい」「難しい問題をとことん解くプロセス自体が好きだ」「昨日の自分より成長している実感がある」といった、自分の内側からわき起こるワクワクや達成感です。
「勉強そのものが楽しい」「もっと知りたい」という状態がこれにあたります。
2. 受験勉強でありがちな「本音」と「落とし穴」
受験生のお子さんに「どうしてがんばれるの?」と聞いたとき、こんな言葉が返ってくることはありませんか?
「志望校に合格して、みんなに見返したいから」
「親が『合格したら〇〇を買う』って言ってくれたから」
「先生や親に怒られたくない・褒められたいから」
これらはすべて、外発的モティベーションに基づく頑張りです。もちろん、受験というプレッシャーの多い場において、これらは強力な起爆剤になります。
しかし、外発的動機づけ「だけ」に頼ることには、大きな危険性が潜んでいます。
「ご褒美がないとやらない」「褒められないとサボる」ようになってしまったり、思うような結果が出なかったときに一気に心が折れてしまったりするリスクがあるのです。また、過度なプレッシャーは、かえって子どもの学習意欲を奪う原因にもなり得ます。
3. 「内発的」な火を灯すために、親ができること
では、どうすれば子どもが自ら進んで机に向かうようになるのでしょうか。
それは、結果という「外からのご褒美」だけに頼るのではなく、「勉強の中にある面白さ」や「昨日の自分よりできるようになったという成長感(内発的報酬)」を、子ども自身が味わえる環境をつくることです。
具体的には、日常の関わり方で次のようなアプローチが効果的です。
① 「結果」だけでなく「プロセスや工夫」にスポットライトを当てる
【NGな関わり方】:「なんで今回のテストは80点だったの? 90点取ったらゲーム買ってあげたのに」と、点数や報酬だけで評価する。
【OKな関わり方】:「前回苦戦していた苦手分野の解き方を、自分で工夫して粘り強く解き明かせたプロセスがすごくカッコよかったね」と、子どもの努力や工夫のプロセスそのものを言語化して褒める。
② 「やらされている勉強」から「自分で決める勉強」へシフトさせる
【NGな関わり方】:「早く机に向かいなさい!」「今日はこの問題集を何ページやりなさい」と親がスケジュールをすべて管理する。
【OKな関わり方】:「今日の夜と明日の朝、どっちの時間帯の方が集中してこの単元を進められそう?」と、スケジュールや勉強の順番を子ども自身に選ばせる(自分でコントロールしている感覚=有能感を育む)。
③ 「知る楽しさ」や「昨日の自分との比較」を楽しむ
【NGな関わり方】:「クラスの〇〇くんは偏差値がもっと上らしいよ」「もっと順位を上げなさい」と他者と比較する。
【OKな関わり方】:「先週は解けなかったこの問題が、今日は自力でスラスラ解けるようになってるね!すごい成長だね」と、過去の自分と比較して成長した実感を本人に気づかせる。
外発的な励まし(応援や適度な目標設定)をスパイスにしつつ、子ども自身の心の中に「知る喜び」や「できる喜び」という内発的な火が灯ったとき、受験生は見違えるほどの強い粘り強さを発揮します。
受験という大きな挑戦を、ただ苦しいだけのものにしないために。
今、お子さんの「やる気」はどこから来ているのか、ちょっと見つめ直してみませんか?
最後に
お一人で抱え込まないでください。
今の現状にどう寄り添えばいいのか迷う......そんな時は、いつでも私にお話しを聞かせてください。
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