3週間かけたツールが、1分も時間を減らさなかった話|作る前に計るということ

3週間かけたツールが、1分も時間を減らさなかった話|作る前に計るということ

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ビジネス・マーケティング
自分で作った業務ツールで、一度だけ完全に空振りしたことがあります。しかも、その原因に気づくまで1か月かかりました。

3週間かけて、何も変わらなかった


毎週の集計に、2時間かかっていました。数字を集めて、並べて、表にして、共有する。金曜の夕方はいつもそれで埋まっていました。

まわりからも「あの集計、時間かかりますよね」と言われていました。だから作ることにしました。データを貼り付ければ、集計から表の作成まで自動で終わるツールです。夜と休みの日を使って、3週間かかりました。動いたときは、正直うれしかったです。

翌週の金曜、実際に使ってみました。
終わったのは、やっぱり2時間後でした。

計ってみたら、集計は15分だった


何がおかしいのか分からなかったので、次の週は工程を分けて時間を計りました。

・集まったデータを整える:1時間45分
・集計して表にする:15分

ツールが速くしたのは、下の15分のほうでした。2時間のうち1時間45分は、集計を始める前に消えていたわけです。

整えるというのは、こういう作業でした。ある人はA列に日付を入れ、ある人はB列に入れる。空欄のまま出す人もいれば「なし」と書く人もいる。半角と全角が混ざる。単位が入っている行と入っていない行がある。それを毎週、手で直していました。

誰かがサボっていたわけではありません。提出する形が決まっていなかっただけです。各自が前の担当から引き継いだファイルを、それぞれのやり方で使い続けていました。私はその状態を1年以上見ていたのに、「そういうもの」として横に置いていました。

「作れる」が先に来ていた


いま振り返ると、私は計る前に作り始めています。

言い訳をすると、そのころはツールを作るのが面白くて仕方がありませんでした。考えているより、手を動かしているほうが前に進んでいる気がしていた。「2時間かかっている」と聞いた瞬間、頭の中ではもう画面の絵が浮かんでいました。

計るのは地味です。そして、少し怖い作業でもあります。計った結果、「作らなくていい」と分かってしまうかもしれない。せっかく思いついた方法が、必要なかったと認めることになる。それでも、3週間かけたあとで気づくくらいなら、先に15分かけて計るべきでした。

もうひとつ言えば、私は困っている本人に聞いていませんでした。何に時間がかかっているかを一番知っているのは、毎週それをやっている人です。聞けば5分で分かったはずのことを、3週間かけて自分で回り道しました。

結局、配ったのは1枚のExcelだった


やったことは単純です。提出用のシートを1枚だけ作りました。入力する欄に色を付けて、記入例を1行入れて、配った。半日で終わりました。

配った翌日、「色がついているところだけ入れればいいんですね」と言われました。ルールを説明するより、入れる場所に色を付けるほうが早かったわけです。

翌週から、整える時間はほとんどゼロになりました。金曜の夕方は15分で終わるようになりました。

3週間かけたツールも、いまだに動いています。ただ、正直なところ、あれがなくても同じ結果になっていたと思います。減らせたのは15分の側で、効いたのは1枚のExcelのほうでした。

作るべきかどうかを決めるのは、作れるかどうかではありませんでした。時間がどこで消えているか、それだけでした。



同じことで困っている方へ


「ツールを作れば解決しそうだ」と思ったとき、先に計ってみてください。どの工程に何分かかっているのか。紙とストップウォッチで足ります。たいてい、思っていた場所とは違うところで時間が消えています。

そのうえで、作るべきかどうか判断がつかないこともあると思います。私は、業務の困りごとをうかがって「作るなら何を作るか」「作らないなら何を変えるか」を1枚にまとめる相談を出品しています。今回のように、作らないほうがよいという結論も、そのままお伝えします。


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