子どもや部下に「なんで?」と詰めてしまう人へ。親やリーダーこそ知っておきたい『事実質問』の力

子どもや部下に「なんで?」と詰めてしまう人へ。親やリーダーこそ知っておきたい『事実質問』の力

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コラム
これまでご紹介してきた『「良い質問」を40年磨き続けた対話のプロがたどり着いた「なぜ」と聞かない質問術』(中田豊一・著)の読書メモ。今回は、いよいよ最終章となる「第4章」の学びをお届けします。

※第一章・第二章・第三章についての詳しいお話は、ぜひ過去の記事をご覧くださいね。

はじめに

まず、改めて「思い込み質問」と「事実質問」の違いをおさらいしておきます。

思い込み質問: 「なぜ?」「どうして?」と相手の解釈や理由を問うもの。相手に「深く考えさせる」ため、言い訳や感想を引き出しやすく、会話のねじれやプレッシャーにつながりやすいのが特徴です。

事実質問: 「いつ?」「誰が?」「何を?」など、答えがひとつしかない客観的な事実を問うもの。
事実質問には、「相手に考えさせるのではなく、過去の事実を思い出させる」という大きな特徴があるとのことです。思い込みを切り離して「事実」だけを正確に思い出すことで、認知の歪みが整い、会話のストレスを減らしながら最速で本当の問題へとアプローチできる効果があるそうです。

この第4章では、そうした事実質問がすべてを解決するということ、そして大原則である「解決はしてはいけない、させるもの」という姿勢のもとで、質問者が思い込みを取り去り事実を整理するための具体的ステップが書かれていました。相手が気づくまでにはタイムラグがあるため、手出しをせず事実を整理することが大切なのだそうです。

1、問題・課題を定義する

問題とは、「こうありたいという姿」と「実際の姿」の距離の差のことだそうです。 この距離がはっきりしないと解決できないとのこと。受験でも、今の自分の成績と目標の成績の差が分かっていないと対策が立てられないのと同じで、問題の解決とは、まずこの「距離(ギャップ)」を明らかにすることなのだそうです。

2、当事者が誰なのか確認する

悩みの当事者が誰なのかを確かめ、二次情報を一次情報に変換していく作業が大切なのだそうです。 たとえば「娘がお腹を痛がっています」というのは、聞く側にとっては二次情報になります。ここで「いつから痛いのですか?」と聞くと二次情報のままになってしまいますが、「いつから痛いと言い始めましたか?」と問うことで、正確な一次情報に変換できるそうです。

3、事実を見つめ、現実を浮き彫りにする

事実質問による分析と解決の公式として、以下の9つの問いかけや意識が紹介されていました。

① 相手の回答を自分の言葉で言い直すのは厳禁

要約したり整理したりしてはいけないそうです。質問に答える側が忖度したり思い込みで話し始めたりすることにつながるため、相手から出てきた言葉や表現をそのまま使うことが鉄則とのことでした。

② 問題を語り始めたら「いつ」から聞き始める

「一番最近は?」と過去へ遡るパターンと、「一番最初は?」と時間に沿って聞いていくパターンがあるそうです。目的はあくまで事実のみを正確に思い出し、認知の歪みを整理することにあるとのこと。

③ 「そもそも解決したいの?」と聞きたくなったら、「これまでに何か対処した?」と聞く

本気度を確かめたり、自己認識を深める効果がある質問だそうです。ほとんど何もしていなければ、そもそも重大な悩みでない可能性があるとのこと。悩みであることがはっきりしたら、「その対処方法はどこでどのように知ったか」「その対処方法をして想定と違っていたことはあったか」「他に対処方法はあったか」などと聞いて深掘りしていくそうです。

④ 「どうしていいかわからない」と言われたら「他の誰かに聞いてみた?」と聞く

情報源探しや情報収集についての経験を聞くことで、前向きに対処することを促すための質問だそうです。解決することに前のめりにならず、「昔も同じような問題あった?」「周りの人で同じような問題を対処した人はいる?」などと聞き、悩みに至った経緯を思い出してもらうのも良いとのこと。

⑤ 「本当に問題なの?」と聞きたくなったら「誰がどう困ったの?」と聞く

明確に答えられない場合は、気になってはいるものの困ってはいない状態である可能性があるそうです。

⑥ 「いったいなぜその選択をしたの?」と聞きたくなったら「他にどんな選択肢があったの?」と聞く

「他にどんな選択肢があったの?」と聞くと、思わぬ背景やエピソードを聞くことができるそうです。

⑦ 「〇〇が足りない」と言われたら「いくつ足りないの?」と聞く

口癖のように言っている場合はすぐに答えられないこともあるそうですが、そうだとしても相手になんらかの心境の変化をもたらすことができるとのこと。さらに突っ込んで聞く場合は「それが足りないことをどう知ったの?」「その答えの根拠はなんですか?」と尋ねるそうです。

⑧ 「できない」と言われたら「それをやるのは誰が決めたの?」と聞く

霧隠れしていた本質的な質問を浮かび上がらせる強力な質問なのだそうです。

⑨ 「分かっているのにどうしてやらないの?」と言いたくなったら微笑みながらしばらく相手の目を見つめる

ここまで聞いて事実や問題がはっきりしているのに……と感じたら詰めるのではなく、微笑んで見つめるべきとのことでした。

4、解決のために、信じて待つ

ひなが卵の中から出てくるように、相手を信じて待つことが大切なのだそうです。適切な時期に適切な刺激を与えることがポイントとのこと。

変化はいつでも「内側から」起こるものだと言います。自分で発見すると忘れず、気づきの喜びに満たされ、その喜びをエネルギーにして行動変化のための第一歩を踏み出せるのだそうです。

おわりに

誰かが悩んでいる姿を見ると、私たちはつい「なんとかして解決してあげたい」「アドバイスをしてあげたい」と焦ってしまいがちです。子育ての場面などでも、子どもが困っているとつい「なんで?」と詰めたり、親が先回りして解決したくなったりしますよね。

ですが、本当に相手のためになるのは、こちらが答えを提示することではなく、事実質問を通して「相手が自分で整理し、自分の力で気づくための余白」を作ってあげることなのかもしれません。子どもに対しても事実を一緒に確かめるアプローチは、自分で考える力を育む素晴らしいヒントになると感じました。

「解決しようとせず、ただ思い込みを取り去り事実を整理して差し出す」

この本を通して学んだ「問いかける姿勢」は、大人同士の人間関係はもちろん、子育てや自分自身の心と向き合ううえでも、とても温かく力強い指針になってくれそうです。

全四回にわたってお届けした『「なぜ」と聞かない質問術』の読書メモ。みなさんの日常のやりとりや、自分との対話のヒントになれば嬉しく思います。
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