先日ご紹介した『「良い質問」を40年磨き続けた対話のプロがたどり着いた「なぜ」と聞かない質問術』(中田豊一・著)の読書メモ。今回は、さらに深掘りした「第三章」の学びをお届けします。
※第一章や第二章についての詳しいお話は、ぜひ過去の記事をご覧くださいね。
はじめに:事実質問と思い込み質問の違い・効果
まず、これまでの復習として「思い込み質問」と「事実質問」の違いについて整理しておきます。
思い込み質問:「なぜ?」「どうして?」と理由や解釈を問うもの。相手に「考えさせる」ため、言い訳や感想を引き出しやすく、会話のねじれやプレッシャーに繋がりやすい質問です。
事実質問:「いつ?」「どこで?」「何をした?」など、ひとつしか答えがない客観的な事実を問うもの。
事実質問には、「相手に考えさせるのではなく、思い出させる」という特徴があります。そのため会話のストレスが少なく、相手の思い込みをほぐしながら、最速で客観的な事実を引き出せるという大きな効果があります。
しかし、単発で事実質問が作れたとしても、それを自然な会話として「繋げていく」ことができなければ、対話は続きません。
第三章では、この「事実質問の繋げ方(始め方から終わり方まで)」について、具体的なステップが書かれていました。
事実質問をスムーズに繋げる5つのステップ
ステップ1:最初は何から入ってもいい
「常に事実質問をしなければいけない」と自分を縛る必要はないそうです。 万が一「思い込み質問」をしてしまっても、「次は事実質問にしよう」と心がければ問題ないとのことでした。
最初は相手の素敵なところや良い点、相手が好きそうなことを質問するのが聞きやすいそうです。そのためにも普段から相手を観察し、リアクションを見ながら話題を深掘りするか見極めるのが大切だといいます。
ステップ2:相手の答えの上に次の質問を重ねる
質問を繋げて、事実を数珠繋ぎにしていくイメージです。 そのためには、まず相手の話をよく聴くことが欠かせないそうです。話をしっかり聴いていれば、自然と次の質問が見えてくるとのこと。
ここで「へー。ところで」と突然話題を飛ばしてしまうと、会話が広がりづらく、信頼感も高まらないそうです。相手が答えてくれた内容をしっかり掘り下げて質問することがポイントだと言います。
ステップ3:止まったら、分岐点に戻って再開する
相手の返答から「これ以上掘り下げられないな」と行き詰まったら、会話の分岐点まで戻って再開すればよいそうです。 どこが分岐点だったかを覚えておくために、話を聞く中で印象に残った言葉をおうむ返ししておくと、後から自分も思い出しやすくなるとのことでした。
ステップ4:答えやすい質問をする
正確すぎる数字や、昔の細かすぎる出来事などは、相手にとっても答えづらいものです。 尋問のような空気にならないためには、「相手が思い出しやすい=答えやすい質問」を重ねることが大切だそうです。
また、いくら事実質問だからといって相手が嫌がることを聞けば、事実関係がこじれてしまう原因にもなるとのこと。答えやすい問いを重ねることで、お互いの信頼関係が築かれていくそうです。「自分だったら答えやすいか」に置き換えて考えてみるのが良いのだとか。
ステップ5:終わり方は考えなくていい
対話は予想通りに進まないことが多いため、あらかじめ終わり方を考えておく必要はないそうです。
おわりに
日常の会話においては、ただ楽しく話すだけでも十分に素敵です。
ただ、もし会話が迷走してきたなと感じたら、事実質問に切り替えて「地上戦」に引き戻してみる。 そして、「完璧にやろうとせず、相手の答えに寄り添いながら問いを重ねていく」という意識を持つこと。
完璧な着地点を目指すのではなく、相手の話に耳を傾けながらひとつひとつ問いを繋げていく姿勢こそが、心地よい対話を生むのだと深く納得しました。
第三章を通して、質問の技術だけでなく「相手と向き合う姿勢」そのものを学べた気がします。日々のコミュニケーションの中で、少しずつ試していきたいですね。