〜アパート経営でよく使われる「一括借上げ」の本質をわかりやすく解説〜
前回の記事では、サブリース契約の家賃改定について整理しました。
ところで、この サブリースという言葉自体を初めて聞く方 も多いと思います。
アパート経営の相談でも「そもそもサブリースとは何ですか?」という質問は非常に多くあります。
そこで今日は、サブリースという仕組みをわかりやすく基礎から解説します。
■ サブリースとは何か
サブリースとは、 オーナー → サブリース会社 → 入居者 という “二重の賃貸関係” を作る仕組みです。
オーナーはサブリース会社に建物を貸す
サブリース会社は入居者に転貸する
オーナーはサブリース会社から家賃を受け取る
この構造が「一括借上げ」と呼ばれるものです。
■ なぜアパート経営でよく使われるのか
アパート経営の相談では、建築プラス一括借上げをセットで提案する全国規模の大手企業 がよく登場します。
読者の皆さんが「ああ、あの会社ね」と自然に連想するタイプの企業です。
この方式は、
空室リスクを減らしたい
管理を任せたい
長期の家賃保証を受けたい
というニーズに合致するため、アパート経営で広く使われています。
■ サブリースの法律構造(なぜ借主が強いのか)
サブリース会社は法律上 “借主” です。
そして、この「借主が強い」という構造には明確な理由があります。
借地借家法は、戦後の住宅不足を背景に、弱い立場に置かれやすい借主を保護するために制定された法律 だからです。
そのため、制度設計そのものが「借主保護」を中心に組み立てられています。
具体的には、
借主の権利が強い
貸主の解約には正当事由が必要
借主は賃料減額請求ができる
という仕組みになっています。
この立法趣旨がそのままサブリースにも適用されるため、サブリース会社(=借主)は強く保護され、オーナー(=貸主)は弱い立場になりやすいのです。
つまり、 サブリースの構造的な “弱点” は、契約の問題ではなく、法律構造そのものに起因している ということです。
そのため、 家賃減額・解約拒否・修繕費負担の偏り などが起こりやすいのです。
■ 「長期収支シミュレーション」に影響する重要ポイント
サブリース契約は、契約内容によってオーナーの収支が大きく変わります。
ここでは、特に長期収支シミュレーションに影響する論点を整理します。
1. 原状回復義務について負担なしの契約
サブリース会社は「転貸人」なので、原状回復は原則オーナー負担です。しかし、ここで重要なのは 原状回復には2種類ある という点です。
✔ 原状回復には「過失」と「経年劣化」がある
法律上、原状回復の負担区分は次のように整理されます。
転借人(入居者)の過失による損傷 → 借主負担(=サブリース会社負担) 例:壁の穴、設備の破損、汚損など
通常損耗・経年劣化 → 貸主負担(=オーナー負担) 例:クロスの自然な黄ばみ、床の摩耗・劣化、設備の寿命など
つまり、「原状回復=全部オーナー負担」ではなく、法律上は、負担区分が決まっている ということです。
✔ では、サブリース契約で何が変わるのか
サブリース契約では、さらに踏み込んで
原状回復はサブリース会社負担
入居者退去時の修繕もサブリース会社負担
と契約で定めることが可能です。
これを入れると、本来オーナーが負担するはずの 経年劣化部分までサブリース会社が負担する ことになります。
その結果、長期のキャッシュフローは大きく改善します。
もしこれが、サブリース契約ではなく、管理委託契約であれば、経年劣化の原状回復はすべてオーナー負担になるため、 この差は長期のキャッシュフローに大きく影響します。
2. 大規模修繕について負担なしの契約
大規模修繕は、本来オーナー負担ですが、最近はサブリース会社が負担する契約も増えています。
具体例:
外壁・屋根・共用部の修繕はサブリース会社負担
設備交換はサブリース会社負担
これが入ると、修繕積立金の負担が大幅に軽くなるため、長期収支シミュレーションの安定性が強化されます。
3. 一括借上げの内容(誤解されやすいポイント)
一括借上げには、
空室保証
滞納保証
管理委託
入居者対応
修繕対応
などが含まれますが、 どこまで含まれるかはサブリース会社によって大きく違います。
ここを誤解すると、「思っていた内容と違う」というトラブルにつながります。
4. 権利報酬(管理報酬割合)の話 …ここが “本質”
サブリース会社の収益は、入居者へ賃貸する家賃(転貸家賃)と、オーナーへ支払う家賃(賃料保証)の“差額” で成り立っています。
この差額が、いわゆる 権利報酬(管理報酬割合) と呼ばれる部分で、契約内容によって 15%〜20%程度 になることが一般的です。
一見すると、この権利報酬が高いのでオーナーのキャッシュフローを圧迫するように思われます。
実際、一般的な解説でも
「権利報酬が高いほど、オーナーのキャッシュフローは悪化する」
と説明されることが多いです。
しかし、実務では 必ずしもそうとは限りません。
なぜなら…
✔ 権利報酬(管理報酬割合)が高くても、オーナーのキャッシュフローが改善するケースがある
その代表例が、先ほど列挙した
原状回復費をサブリース会社が負担する契約
大規模修繕をサブリース会社が負担する契約
これらの契約です。
管理委託契約の場合、これらの費用は すべてオーナー負担 になります。
しかし、サブリース契約では、契約内容によっては サブリース会社が負担する ことがあります。
つまり、
「権利報酬(管理報酬割合)が高い=オーナーが損」 という単純な構造ではなく、「どの費用を誰が負担するか」まで含めて総合的に試算しないと、キャッシュフローが有利になるのか、不利になるのかがわかりません。
ここが、 長期収支シミュレーションを作成する最大の意義 になります。
この論点は、管理委託契約とサブリース契約の長期収支を比較検討すれば “数字として判断できる” ので、非常に重要です。
このシミュレーション比較については、また別な記事で詳しく解説します。
■ ココナラでは「サブリース事業の長期収支シミュレーション」に対応しています
サブリースは 「家賃が下がったらどうなる?」「修繕費がどれくらいかかる?」「30年後の収支は?」 といった 長期の数字を見ないと判断できない契約 です。
私が提供しているココナラでは、サブリース契約の長期収支シミュレーション にも対応しています。
数字で判断したい方は、ぜひご利用ください。
▼サービスページ