「今さらギターなんて…」って言わないで

「今さらギターなんて…」って言わないで

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音声・音楽

ギターを始めるのは、どんな年代の人?

ギター講師をしていると、いろいろな年代の方と出会います。僕のレッスンでは、生徒さんの年代に大きく2つのグループがあります。
まずは、小学校高学年から中学生くらいの子どもたち。ちょうど音楽に興味を持ち始める時期ですよね。好きなアーティストができたり、友達がピアノやギターを弾いている姿を見て刺激を受けたり。
「自分も何か楽器を弾いてみたい!」
そんな気持ちでギターを始める子が多いように感じます。
そして、もう一つの大きなグループがあります。実は、50代から60代の方たちなんです。

ずっと心のどこかにあった音楽

50〜60代の生徒さんがギターを始めるきっかけは、本当にさまざまです。
学生時代にバンドをやっていたけれど、就職や結婚、子育てなど、生活の変化とともに楽器から遠ざかってしまった方。あるいは、若い頃からずっとギターに憧れていたけれど、仕事や家庭の事情で、なかなか始める機会がなかった方。
そんな方たちが、仕事や家庭が少し落ち着いてきたタイミングで、
「もう一度、ギターを弾いてみようかな」
「今なら、ずっとやりたかったことを始められるかもしれない」
と、レッスンに来てくださいます。
何十年も離れていた楽器を、もう一度手に取る。何十年も憧れていた楽器に、初めて触れる。なんだか、それだけで素敵なことだと思いませんか?

「この歳からでも、指は動きますか?」

もちろん、最初は不安もあります。
「今から始めても弾けるようになりますか?」
「若い頃と違って、指が動かないんじゃないかと思って……」
そんな質問をいただくことも少なくありません。
確かに、年齢によって体の動かしやすさや、新しい動作への慣れ方には違いがあります。でも、だからといって「もう遅い」ということにはなりません。ギターは、誰かと速さを競うための楽器ではないからです。
それに、実際にレッスンを始めてみると、僕の方が驚かされることも多いんです。

大人の生徒さんの方が、夢中になることもある

50〜60代の生徒さんは、とにかく意欲的な方が多いんです。もちろん個人差はありますが、若い生徒さん以上に夢中になって練習に取り組む姿を見せてくださることもあります。
「昔、この曲をバンドでやってたんですよ」
「このギターソロ、ずっと弾いてみたかったんです」
そんな話をするときの表情が、本当に楽しそうなんです。きっと、長い間「いつかやってみたい」と思っていたことに、ようやく取り組める喜びがあるんでしょう。
誰かに言われたから練習するのではなく、自分が弾きたいから弾く。そのエネルギーには、講師である僕自身も刺激を受けています。

技術だけでは説明できない「音の説得力」

そして、もう一つ驚かされることがあります。
それは、演奏の説得力です。
レッスンを始めたばかりなので、もちろん難しいフレーズはまだ弾けません。指も思うようには動かないし、コードチェンジで止まってしまうこともあります。でも、簡単なフレーズを弾いてもらったときに、
「なんだかいいなあ」
と感じることがあるんです。
決して技術的に完璧な演奏ではありません。それでも、音の間の取り方や、一つひとつの音の出し方に、その人らしさが表れているように感じることがあります。
考えてみれば、音楽は指の運動だけでできているわけではありません。
これまで聴いてきた音楽。嬉しかったことや、悔しかったこと。さまざまな人と出会い、積み重ねてきた経験。そうしたものが、音楽の感じ方や表現にも影響しているのかもしれません。
若い頃には弾けなかった速いフレーズがある一方で、今だからこそ出せる音もある。僕は、そんなふうに感じています。

音楽に、スタートの期限はない

「もっと若い頃に始めていればよかった」
そんな言葉を聞くこともあります。確かに、早く始めれば、それだけ長く練習する時間を持てたかもしれません。でも、だからといって、今から始めることの価値が小さくなるわけではありません。
むしろ、今までの人生で好きになった音楽を、自分の手で演奏できるようになる。それは、若い頃とはまた違った楽しさがあるはずです。
20代には20代の、60代には60代の音楽があります。同じ曲を弾いても、感じ方や表現が違っていいんです。誰かと同じように弾く必要もありません。自分が今、弾いてみたいと思う曲に挑戦すればいい。
それだけで、ギターを始める理由としては十分だと思います。

生徒さんが教えてくれたこと

長くレッスンを続けていると、ギターの上達にはいろいろな形があることに気づかされます。
指が速く動くようになること。
難しいコードを押さえられるようになること。
もちろん、そうした技術的な成長も大切です。でも、それだけが音楽の楽しさではありません。
長年好きだった曲を、初めて自分の手で弾けたとき。
何十年ぶりかにギターを抱えて、昔の感覚を少し思い出したとき。
そんな瞬間に見せてくださる生徒さんの嬉しそうな表情を見ると、僕まで幸せな気持ちになります。そして、人生経験を重ねた生徒さんの演奏から、僕自身が音楽の面白さを教わることもたくさんあります。
だから、もし今、
「この歳になって、今さらギターなんて……」
と思っている方がいたら、ぜひこう伝えたいです。
「今さらギター」じゃなくて、「今だから弾けるギター」があるんです。
始めるのが遅かったなんて、気にする必要はありません。今の自分だからこそ楽しめる音楽が、きっとあります。
その一歩を、一緒に楽しんでいけたら嬉しいです。

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