好きな曲だけ弾いていてもいいんです。

好きな曲だけ弾いていてもいいんです。

記事
音声・音楽

教則本の練習ってあんまり音楽っぽくない

ギターを習い始めると、教則本や基礎練習の中に、
「これって、何のために弾いているんだろう?」
と思うようなフレーズが出てくることがあります。僕自身、何度もそう感じました。いわゆる基礎トレーニングの中には、実際の曲ではあまり出てこないような指の動きもありますし、正直なところ、それほど音楽的に聞こえないものも少なくありません。
でも、それには理由があります。教則本に書かれている練習は、必ずしも「曲を演奏すること」だけを目的にしているわけではないからです。

基礎練習には別の目的がある

例えば、左手の指を一本ずつ動かす練習。これは「聴いて楽しむための音楽」ではなく、指の連動性や独立性を身につけるためのトレーニングです。
「薬指だけを動かしたいのに小指まで一緒についてきてしまう」
「人差し指を押さえたままだと、別の指を自由に動かせない」
ギターを始めたばかりの頃には、そんなことがよくあります。そこで、普段あまりやらない指の動きを繰り返して、少しずつ自由に動かせるようにしていくわけです。
そう考えると、基礎練習にはちゃんと意味があります。以前ここでも書きましたが、基礎力があることで、新しい曲に出会ったときに自分の力で考え、応用できるようになります。だから僕も、基礎練習そのものはとても大切だと思っています。

でも、それだけでは楽しめない

一方で、「基礎練習だけを毎日最低1時間続けてください」と言われたら、どうでしょうか。僕なら、間違いなくギターが嫌いになります。
ギターを始めた理由は、指を独立して動かせるようになるためではありません。
「好きなアーティストの曲を弾きたい」
「友達とバンドをやってみたい」
「気に入った曲を歌いながらギターを弾いてみたい」
人によって理由はさまざまですが、多くの場合、「弾いてみたい音楽」があるはずです。その気持ちを置き去りにして、トレーニングだけを続けるのは、やはり苦しいものです。

だから、好きな曲も弾きましょう

僕のレッスンでは、基本的なトレーニングと同時に、生徒さんが好きな曲もできるだけ取り上げるようにしています。
「この曲を弾けるようになりたい」
その気持ちが原動力になるからです。好きな曲なら、多少難しくても練習したくなるはず。
「昨日より少し上手くイントロが弾けるようになった」
「今日はどうにかサビまでたどり着けた」
そんな小さな変化でも、それが好きな曲であれば大きな喜びになります。
そして、その喜びが「もう少しギターを弾いてみよう」という気持ちにつながっていきます。

いきなり音源通りには弾けません

ただし、ここでも一つ気をつけたいことがあります。最初から、音源とまったく同じように弾こうとしないことです。プロのミュージシャンが演奏している楽曲には、それまで何年、何十年と積み重ねてきた技術が使われています。ギターを始めて数か月で、その演奏を完全に再現できないのは当たり前です。
でも、「音源通りに弾けないから、この曲はまだ自分には無理だ」と考えてしまったら、せっかく好きな曲なのに楽しめなくなってしまいます。
そこで僕は、まず「何となく似ていればOK」と考えるようにしています。

完全ではなく、「雰囲気」を目指す

以前ここで、「雰囲気コピー」という話を書きました。
特徴的なイントロ、印象的なコード進行、耳に残るリズムのキメ。
そのフレーズを聴いたときに、「あ、この曲だ」と感じるポイントをまず押さえましょう。細かなフレーズや難しい部分は、その人の現在のレベルに合わせて簡単にアレンジすることもあります。でも、それでいいんです。
一曲を最初から最後まで弾けること。
好きな曲を、自分なりの形で演奏できること。
その経験の方が、最初の段階ではずっと大切だと思っています。

「弾けた!」が次の練習につながる

基礎練習と好きな曲は、どちらか一方を選ぶものではありません。
基礎練習で身につけたことを、好きな曲の中で使ってみる。好きな曲を弾いていて難しいところが出てきたら、その部分に必要な基礎練習へ戻る。
この行き来ができるようになると、練習そのものに意味を感じられるようになります。
例えば、「この運指練習をやっていたのは、このフレーズを弾くためだったんだ」と気づく瞬間があります。
そうなると、退屈だった基礎練習も少し違って見えてきます。

生徒さんが教えてくれたこと

長くレッスンをしていて感じるのは、上達するためには「正しい練習方法」だけでは足りないということです。続けるためには、楽しさが必要です。
好きな曲に挑戦する、少しだけ弾けるようになる、嬉しくなって、またギターを手に取る。
その繰り返しの中で、知らず知らずに基礎力も身についていきます。
だから僕は、「まだあなたにはこの曲は早いですよ」と簡単には言いたくありません。今の技術で弾ける形を一緒に考えればいいからです。
完全を目指さず、まずはその曲の雰囲気を楽しめるところまで。そして、できることが増えてきたら、少しずつ本来の演奏に近づけていく。そんなふうに、好きな音楽を入口にしながら成長していけるレッスンをしていきたいと思っています。

音楽を楽しみながら、いつの間にかギターも上達する、そんなレッスンを提供しています。


サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す