映画『ウルフ・オブ・ウォールストリート』をご存じでしょうか。
レオナルド・ディカプリオ演じるジョーダン・ベルフォートが、電話一本で次々と株を売っていく。
あの営業シーンを見て、
「結局、口が上手い人だから売れるんでしょ?」
と思った人もいるかもしれません。
確かに映画の中の営業は、とにかく勢いがあります。
しかし、モデルとなった実在のジョーダン・ベルフォートは、自身の営業手法をストレートライン・システムとして体系化しています。
では、一体何をストレートラインつまり「一直線」にするのでしょうか。
1.商談にはスタートとゴールがある
ストレートラインを非常に単純化すると、商談のスタート地点から、目的地まで一本の線を引くという考え方です。
営業であれば、最終的な目的地は契約かもしれません。
商品によっては、
「次回の商談を決める」
「無料体験を申し込んでもらう」
「見積もりを依頼してもらう」
といった行動の場合もあるでしょう。
大切なのは、今この商談は何のために行われているのかを営業側が見失わないことです。
そして、営業あるいは集客のプロセスをスタートからゴールまで、一直線に結ぶように設計する事です。
とはいえ、お客さんの反応は千差万別であり、こちらの意図した通りの振る舞いをする訳ではありません。
またその振る舞いを誘導したり制御しようとすると、商談そのものが失敗する可能性が高まります。
プロセスを掌握する事は大切ですが、同時に顧客が何を感じどこで前に進めずにいるのか?
これを把握するために、顧客とのラポールを作り、勘所を抑えたヒアリングをしながら情報を集め、商談をStraight Line上で前へ進める。
「ストレートラインシステム」とは、その技術の集大成になります。
2.それでも、実際の商談は一直線には進まない
名前は「ストレートライン」ですが、実際のお客様との会話はそんなに綺麗には進みません。
商品の説明をしていたら、
「そういえば御社って何年くらいやってる会社なんですか?」
と会社の話になる。
価格を提示したら、「ちょっと高いですね。」と止まる。
良さそうだと思っていても、「まあ、一度考えます。」となる。
雑談からまったく違う話へ進んでしまうこともあります。
つまり実際の商談は、スタート → 商品説明 → 契約
と一直線には進まず、何度も横道へ逸れるのです。
だからストレートラインとは、一切話を逸らさず、台本通りに喋る営業手法ではありません。
逸れたときに、「なぜ今ここで止まったんだろう?」
と考え、必要なものを補いながら本線へ戻していく考え方です。
3.お客様を止める「3つのNOT」
ここでは分かりやすく、お客様が商談途中で止まる理由を3つのNOTに整理してみます。
Not interested→「興味がない」
そもそも商品の必要性を感じていない状態です。
どれだけ商品の特徴を説明しても、「自分には関係ないな。」
と思われていれば、話は前へ進みません。
Not trust→「信用できない」
商品は悪くなさそう。でも、「この営業マン、大丈夫かな?」
「この会社、本当に信用できるの?」という不安が残っている状態です。
この場合、商品の説明をさらに重ねても解決しないことがあります。
問題は商品ではなく、信用だからです。
Not now→「今じゃない」
商品にも納得している。営業マンも会社も信用できる。
それでも、「また今度でいいかな。」
となることがあります。
必要性は理解していても、今決断する理由がない状態です。
以前紹介したPASONAでいうNarrow downにも近い心理ですね。
このように考えると、お客様から出てくる「NO」は、すべて同じNOではありません。
4.NOを押し返すのが営業ではない
例えば、お客様から、「ちょっと考えます。」
と言われたとします。
ここで、「いや、絶対やった方がいいですよ!」「今日決めてください!」
と押し返す。
映画のイメージだけを見ると、ストレートラインはそんな強引な営業に見えるかもしれません。
しかし、それではお客様がなぜ止まったのかが分かっていません。
興味が足りないのか。
商品への理解が足りないのか。
営業マンを信用していないのか。
会社が不安なのか。
それとも単純に、今決断する理由がないのか。
原因によって、必要な対応はまったく違います。
だから重要なのは、NOを攻略することではなく、NOの正体を見つけること。
その原因を解消して、もう一度意思決定の線上へ戻していく。
これがStraight Lineを理解するうえで重要な考え方です。
5.営業マンが見ているのは「会話」だけではない
売れないとき、「商品の説明が下手だった。」
と考えてしまう人は多いかもしれません。
しかし、説明が原因とは限りません。
商品については十分理解しているけれど、営業マンを信用していないのかもしれない。
会社が聞いたことのない会社だから不安なのかもしれない。
あるいは、「良い商品だとは思うけど、今買うほどではない。」
と思っているだけかもしれません。
営業マンが見るべきなのは、自分が何を喋ったかだけではなく、お客様の確信が今どこまで進んでいるのか?なのです。
実際、ストレートラインでは、顧客の確信を高めるために異議を処理しながら繰り返し本線へ戻す「ルーピング」が重要な要素として扱われています。
6.では、何に「確信」すれば人は買うのでしょうか?
ここまで読むと、一つ疑問が出てきます。
では、お客様は一体、何をどこまで信用すれば「買おう」と決断するのでしょうか。
ジョーダン・ベルフォートは、その確信を非常に分かりやすく整理しています。
それが、Three 10s(3つの10)です。
商品。
会社。
そして営業担当者。
この3つへの確信がどの程度まで高まっているのか。
次回は、ストレートライン・システムの中心にある「3つの10」について見ていきます。
■おまけのAIプロンプト
営業プロセスにおいて、お客様はさまざまなシグナルを発します。
このシグナルをどう処理するか?がプロセスの成功率を大きく左右する場合があります。
みなさんはこのシグナルについて、上司や同僚に相談しますか?
あるいは顧客に意図を尋ねますか?
または、ご自身の経験知からこうゆう意図だと推察するかもしれません。
それらの精度を高めるツールとして、AIは有効です。
AIは“営業センスの答え”を持っているわけではありません。
ただ、大量の人間の会話や判断パターンから、平均的にあり得る仮説をいくつも出すことができます。
その仮説を叩き台にすれば、これまで「なんとなく」で処理していた営業の暗黙知を、言葉にして検証できるようになります。
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あなたは営業商談の分析コーチです。
以下の商談で、お客様の「発言・質問・リアクション」から読み取れるシグナルを分析してください。
【商品・サービス】
〇〇
【商談状況】
〇〇
【お客様の発言・質問・リアクション】
〇〇
次の順番で分析してください。
注目すべきシグナル
そこから考えられる顧客心理の仮説を3つ
「興味」「信用」「今決める理由」のどこに問題がありそうか
それぞれの仮説を確認するための質問
回答別に、次にどう商談を進めるべきか
顧客心理を断定せず、必ず「仮説」として扱ってください。
また、営業側に都合のいい解釈だけでなく、別の可能性も提示してください。
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