強く揉むほど腰は硬くなる?もみほぐしの悪循環を置いて、陽光あふれる高原へ

強く揉むほど腰は硬くなる?もみほぐしの悪循環を置いて、陽光あふれる高原へ

記事
コラム
「陽光あふれる高原」から招待状が届いた、腰痛を繰り返すあなたへ。
旅に出る前に、まず置いていきたい荷物がひとつあります。


## 旅に出る前に、まず置いていくもの


それは、**「腰が痛くなったら、とにかく腰を揉んでもらう・揉みほぐす習慣」**です。

痛いところを直接ケアしたくなる気持ちはよく分かります。ですが、その「腰だけをケアする選択」の積み重ねが、本当の原因を見過ごしたままにしてしまっている可能性があります。


## なぜつらい部分をを揉むだけではいけないのか


その硬さには、実はちゃんと意味があります。

運動制御の観点で見ると、本来お腹や背骨を支えるべきインナーマッスル(深層の筋肉)がうまく働けていないとき、体は無意識に表面の筋肉を硬くして、その代わりを務めさせようとします。つまり腰の硬さは、弱くなった部分を守るための「代償」として起きている可能性があるのです。表面だけを揉んでほぐしても、奥の筋肉が働けていないという根本は変わらないため、支えを失った体はまたすぐに同じように硬くなろうとします。

さらに、強い圧で無理やりほぐすことには、もうひとつの側面もあります。筋肉や筋膜などの軟部組織は、強い刺激を受けると微細な損傷が起こり、それを修復しようとする過程で、かえって組織が硬く、厚みを増してしまうことがあります。「硬いところを強く揉む→一時的にゆるむ→組織が修復される過程でまた硬くなる」というサイクルを繰り返すうちに、以前よりも硬さが根強くなってしまうことがあるのです。


## 荷物確認、一緒にしてみませんか


「腰だけをケアする習慣」の他にも、あなたの旅行カバンを重くしているものがあるかもしれません。

座りっぱなしの時間の長さ、反り腰気味の姿勢、体幹を使う機会の少なさ——。人によって、隠れた荷物はさまざまです。

あなた専用の「旅のしおり(ロードマップ)」を作りながら、一緒に荷物を確認してみませんか。


→ ロードマップ作成はこちら

― Dóna Salus ―




【今回のキーワード】
「もみほぐしのリスク」









【参考】
論文タイトル: Motor Control Changes in Low Back Pain: Divergence in Presentations and Mechanisms(腰痛におけるモーターコントロールの変化:症状とメカニズムの多様性)
著者: Jaap H. van Dieën ほか(2019年発表)
概要: 腰痛に伴う体の動かし方や筋肉の制御の変化は「全員に同じように起こる」わけではなく、患者によって正反対の反応を示すことがあります。この多様性を理解し、タイプ別(表現型)に評価・アプローチしていくことが、今後の腰痛治療において重要であると論じられています。
Tightタイプへの言及→痛みや痛みの恐怖を減らすなど、Tightな制御の必要性を減らす介入、および/または筋肉の過剰な同時収縮を減らす介入
Looseタイプへの言及→筋肉の同時収縮/興奮性を高めることを目的とした介入=いわゆる安定化運動

論文タイトル: "A Comprehensive Review of Pain Interference on Postural Control: From Experimental to Chronic Pain"
(姿勢制御に対する痛みの干渉に関する包括的レビュー:実験的痛みから慢性痛まで)
著者: Viseux, F. ほか (2022年 / Medicina)
内容: 痛みが姿勢制御(バランス)をどう狂わせるかについてまとめたレビュー論文ですが、ここでもvan Dieënらのモデルが引用されています。
 慢性腰痛の治療において、患者がTight controlに陥っているのか、Loose controlに陥っているのかを見極めることが「個別化医療(パーソナライズド・ケア)」の鍵になると結論付けています。つまり、Tightな人にはリラクゼーションや恐怖心の払拭を、Looseな人には体幹の安定化エクササイズを提供するといった、相反するアプローチの使い分けの重要性を強調しています。

論文タイトル:Targeted Therapy for Skeletal Muscle Fibrosis: Regulation of Myostatin, TGF-β, MMP, and TIMP to Maintain Extracellular Matrix Homeostasis(骨格筋線維化に対する標的治療:細胞外マトリックスの恒常性維持に向けたミオスタチン、TGF-β、MMP、TIMPの制御)
著者:Nurrani Mustika Dewi, Anna Meiliana, Irma Ruslina Defi, Riezki Amalia, Cynthia Retna Sartika, Andi Wijaya, Melisa Intan Barliana
掲載誌:Biologics(2025年発行)
内容:重度や慢性的な筋肉の損傷後に起こる「線維化(組織が硬くなり再生を阻害する現象)」を防ぎ、治癒を促すための治療戦略をまとめたレビュー論文です。筋肉を硬くする原因となる分子(TGF-βやミオスタチンなど)の働きを抑え、細胞外マトリックス(ECM)のバランスを保つことの重要性を解説しています。臨床応用にはまだ課題(人間での効果のばらつきや症状の複雑さなど)があるものの、これらの治療法を単独、あるいは組み合わせて行う多角的なアプローチが、今後の筋肉の線維化治療において非常に有望であると結論づけています。


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