「陽光あふれる高原」から招待状が届いた、冷えやすいあなた。
体を内側から温める旅に出る前に、まず駅のロッカーに置いていきたい荷物がひとつあります。
旅に出る前に、まず置いていくもの
それは、「冷えたらとにかく重ね着やカイロで対処する」という習慣です。
冷えて辛い時に、外から温める工夫はもちろんどれも大切なことです。ですが、それだけに頼り続ける「外側から温める選択」の積み重ねは、体そのものの発熱力(自家発電機)を鍛える機会を遠ざけてしまっています。
なぜ「外から温めるだけ」では根本解決にならないのか
重ね着や使い捨てカイロは、外から熱を足す「受動的な温め」です。一時的に皮膚の表面は温かくなりますが、これだけでは筋肉がお休みモードのままなので、体は自分で熱を作り出すことができません。
生理学的に、私たちが生み出す熱の多くは「筋肉を動かすこと(能動的な熱産生)」で作られます。さらに、動く筋肉は「ポンプ」のように収縮し、作られた温かい血液を手足の毛細血管の隅々まで力強く押し流してくれます。
つまり、外側からの対処だけで「動かない習慣」を続けてしまうと、熱を作る自家発電機も、血流を届けるポンプも育っていきません。その結果、どれだけ着込んでも「根本的な冷えやすさ」がずっとそのまま残ってしまうのです。
荷物確認、一緒にしてみませんか
「重ね着で対処する習慣」の他にも、あなたの旅行カバンを重くしているものがあるかもしれません。
湯船に浸からずシャワーで済ませる癖、エスカレーターばかりを選んで階段を避ける癖、熱を作るエネルギー源となる朝食を抜く習慣——。人によって、隠し持っている荷物はさまざまです。
あなた専用の「旅のしおり(ロードマップ)」を作りながら、専属コンダクターの私と一緒に荷物を確認してみませんか。
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― Dóna Salus ―
【今回のキーワード】
「受動的加温と体温」
【参考】
論文タイトル: Relationship between body composition indices and changes in body temperature due to hot pack use(ホットパック使用による体温変化と体組成指標の関係)
掲載誌: BMC Sports Science, Medicine and Rehabilitation (2022年)
内容と結果:健康な男性の肩、腰、膝裏などにホットパックを当て、皮膚表面の温度と深部体温(鼓膜温度)の変化を測定しました。結果として、「ホットパックを当てた周辺の皮膚温度は有意に上昇したものの、深部体温には一切変化が見られなかった」ことが確認されました。
論文タイトル: Comparison of Muscle Temperature Increases Produced by Moist Hot Pack and ThermoStim Probe(モイストホットパックとThermoStimプローブによる筋肉温度上昇の比較)
掲載誌: Journal of Sport Rehabilitation (2019年)
内容と結果:ふくらはぎに臨床用のホットパックを20分間当て、皮膚からわずか1.5cmの深さにある「筋肉の温度」を測定しました。結果として、表面を20分間しっかり温めても、深さ1.5cmの筋肉の温度は平均で1.7℃しか上昇しませんでした。これは、組織を変化させたり血流を根本から改善したりするのに必要とされる温度上昇(3〜4℃)には届かず、皮膚表面からの受動的な熱は、意外なほど筋肉(体の奥)には届かないことを示しています。