私は、所謂カード鑑定士だ。
しかし、他の鑑定士と違って、“現状”しか観ない。
未来なんてものは、その時・その瞬間になるまで、不確定な状態だ。
1秒先でさえ、“シュレディンガーの猫”状態。
そんなものを、占い師が先回りして覗き見て、不確定情報で一喜一憂させることは、ゲームの開発中情報を盗み、ばら撒いているリーカーと変わらない。
占いで垣間見える“未来予測”は、動画のスクリーンショット程度だ。
その中の素粒子など不可視域を、占術者が何らかの方法で見て、言語化したものでしかない。
そんなスクショ程度で、その先が本当にどうなるかなんてわからない。
望む未来にしたいのなら、自分が行動して、自分が動画の先を作っていくしかない。
これは、自己実現における、基礎中の基礎。
「成功するか?」
という質問に対しての“YES”は、『今の状態で努力をし、できる行動を積み重ねていれば』ということだ。
しかし、
「占いで成功するって言われた!」
と安心からの慢心で、成功に必要な努力や行動を怠った結果、成功できない人は、少なくない。
挙句、その責任が『占い師がインチキだ!』に変わるのは、滑稽な話だ。
もし“NO”と言われても、項垂れる必要はない。
「絶対これ、転んで頭打つだろ!」
という動画のサムネイルでも、再生してみれば、うまく受け身をとって怪我を免れるものがある。
そんな占いは、転ぶ恐れのあるスクショを参考に、
「だったらこうすれば…」
という別案を構築するきっかけになる。
そうなると、必然的にスクショから推測された“NO”の未来は、外れるしかない。
「占い通り、ダメだった!」
と占い結果を当てるのは、成功させる別案を考えたりせずに、そのまま“NO”の道を選んで進んでいただけだ。
シュレディンガーの猫が死んでいると信じて行動したから、シュレディンガーの猫が死んでいる。
量子物理学で考えれば、こんな単純なことでしかない。
こんな長ったらしい説明、IT用語なら一言で片付く。
『パッチテストだ。』
と。
システムが希望通りに稼働するか、そうではないかのチェック程度。
こんなものに、当たり外れもない。
この認知で占いに臨むのが、理想的な状態だ。
私はこのスタンスで、カードを読んでいる。
とはいえ、この認知に至るまで、私も散々“未来予測”に労力をかけていた。
セオリーに倣って、占いは“未来予測”をするものだと思っていたからだ。
自分語りをする。
数年前。
YouTubeで占い動画チャンネルを運営して、自分も界隈の占い動画を観るのが、楽しみだった中。
「未来、当てます!」
「絶対当たる!!確定された未来!!」
「細密未来鑑定!」
「予祝!確実に実現すること」
なんて過激なタイトル動画が、乱発されるようになった。
「おいおい、TRICKの霊能者バトルロワイヤルか?モブサイコ100か?」
なんて笑っていた私も、自分のカードリーディング方法を“サイキックカードリーディング”なんて言っちゃって、『3ヶ月後の自分から』とかの常套句で、未来予測をして視聴者の欲を煽り、着実に信者を獲得していた。
占い界隈のセオリーは、『未来、どうなるか』を占うことだ。
そんな中、過激なタイトルに比例して、YouTubeのコメント欄では、『当たった・外れた・インチキだ!・この人は当たる!・この人はダメ』…なんて過激なジャッジが溢れた。
占い師側は、あれこれ対応に追われた。
躍起になって弁解動画をUP。レスバで揉める。コメントスルー。コメント欄を閉鎖する。動画を消す。バーナム効果常套句オンパレード。etc…
私も色々対応をして、頭を悩めた。
『どうすれば、もっとしっかりと未来を占えるのか…』なんて。
更に、再生した占い動画の未来予測に、いちいち一喜一憂して。
同時並行で、ゲームの“リーク情報”を追っていた時期でもあった。
「次のガチャ情報は?」
「誰がプレイアブル化?」
「〇〇の武器は?能力は何タイプ?」
「どんなモーション?」
推しているキャラクターが、プレイアブル化される。その噂に、早く詳細が知りたくて、気になって仕方がなかったのだ。
その結果、公式情報公開まで待てず、とにかくリーク情報をアレコレ見ていた。
そのコメント欄では、私と同じく楽しみにしている人が喜ぶ中、同時に
「何このクソ縛りプレイ強要。編成に汎用性無さすぎ。」
「てか弱くね?」
など、批判に溢れていた。
確かに…。他キャラの方が、将来性がある。
凄く、残念な気持ちになった。
それでも実装が楽しみなのは変わらず、リークされたβテスト動画なども見ながら、公式情報公開を待っていた。
ついに迎えた、公式情報公開。そこで、異変に気付いた。
「うん。知ってる。もう見た。」
あれだけ楽しみにしていたのに…。既視情報過ぎて、全くワクワクもしなければ、サプライズ感がなかったのだ。
公式の予告番組は、本当に満を持しての実装で、情報公開テンション(熱量)が凄い。
本当に、ネタバレにならない程度にキャラを掘り下げ・盛り上げ方も巧い。
それを、心から楽しめない自分。
原因を作ったのは、誰でもない、自分だ。
リーク情報はいかに自分の楽しみを台無しにするのか…と猛省した。
以降、リーク情報は自分から見ていない。(たまにYouTubeのオススメでサムネ地雷を踏むことはある)
この件を猛省することと並行して、違和感を覚えていたのが、“占い”についてだ。
確かに、過去何度も、占いの未来予測が当たっていることが続いた。
それに対して、最初の方は
「わぁ凄い!」
と喜んでいたけれども、段々と
「えぇ、知ってましたよ。はいはい。」
「そりゃ、占いで言われてましたよねぇ。」
と、感動が薄れているのだ。
ここでやっと認識した。
「これ、リークと同じか?」
せっかくの楽しみを、占い師が奪っているって…。
同時に、量子物理学と心理学的に考えると、占いで聞いたことを認識しているから、そこに意識が引っ張られた結果、占い通りという認知になる…とも。
ここまでトリックがわかってしまったら、山田奈緒子だ。
「まるっとお見通しだ!!」
なんて心の中で言い放ってしまうと、もう元に戻れない。
おかげで、カードリーディングチャンネルは運営が困難になり、削除した。
当時の私は、“占いは未来を予測するもの”だった為、その認知がひっくり返ってしまって、もう何を占えばいいのかが分からないまま、立て直せなかった。
一旦引くと、仕組みが見えた。
“現状”に納得できないから、未来は良くなるという現実逃避を繰り返す。
延々と現状の問題をそっちのけにして、まだ実装されていない未来ばかりを追いかける。
だから、いつまでも現状に幸せを感じられず、文句が止まらない。
その結果、占いに対する依存が発生し、占い師は儲かる。
いい共依存関係じゃないか。
意地悪く低みの見物をしていると、私のスタンスが仕上がった。
その突かれたくない“現状”を、突き回してやろう。
「現状、バグってるぞ。」
と。
まだカードを引き続けるのは、自分の人生を本気でデバッグしながら生きていく人を、観測したい欲。
どんな物語を、創りたいんだろうか?と。