忘れることを前提にした、身につく復習の方法
問題を解いたあと、答え合わせをして間違いを確認する。
解説を読んで、「なるほど、分かった」と感じる。
でも、次の日に同じ問題を見たら、また解けない。
このような経験はないでしょうか。
「せっかく解説を読んだのに、また忘れてしまった」
「自分は記憶力が悪いのかもしれない」
と思うかもしれませんが、忘れること自体は特別なことではありません。
人は、一度覚えたことでも時間が経つと忘れていきます。
だからこそ、勉強では「一回解いたから終わり」ではなく、時間を空けてもう一度思い出すことが大切です。
エビングハウスの忘却曲線とは?
今回は、エビングハウスの忘却曲線の考え方も踏まえながら、間違えた問題を自分の力に変える解き直しの方法を紹介します。
エビングハウスの忘却曲線は、学んだことを時間とともに忘れていく様子を表した考え方です。
勉強した直後は「分かった」と感じていても、時間が経つと、思い出せない部分が出てきます。
特に、解説を見た直後は答えや解き方の流れが頭に残っているため、すぐに同じ問題を解くとできることがあります。
しかし、それは「解き方が身についた」というより、まだ答えを覚えているだけの場合もあります。
そこで大切になるのが、
少し忘れかけた頃に、答えを見ずに思い出そうとすること
です。
忘れたことは悪いことではありません。
忘れかけたタイミングで思い出そうとすることで、知識は少しずつ定着していきます。
解き直しは、連続で何回もやるより「時間を空ける」
間違えた問題を、答えを見た直後に解き直すことにも意味はあります。
解説を確認したあとに、自分で手を動かしてみることで、「どこまで理解できたか」を確認できるからです。
ただし、そこで解けたからといって、完全に身についたとは限りません。
本当に大切なのは、少し時間を空けたあとに、答えを見ずに解き方を思い出せるかです。
たとえば、
・その日の夜
・次の日
・数日後
・テスト前
というように、時間を空けて見直してみましょう。
毎回、最初から最後まで長時間かけて解く必要はありません。
問題を見て、
「これは何を使う問題だったかな?」
「最初にどんな式を書くんだっけ?」
「図や表は必要だったかな?」
と頭の中で考えるだけでも、十分に意味のある復習になります。
おすすめの解き直しの流れ
間違えた問題は、次の流れで進めてみてください。
① まずは自分で考える
問題を見て、すぐに答えを見るのではなく、まずは自分で考えます。
途中までしかできなくても大丈夫です。
「何を使えばよいか分からない」
「式は立てられるけれど計算で止まる」
「問題文の意味が分からない」
など、自分が止まった場所を知ることも勉強の一部です。
② 答え・解説を見て、考え方を確認する
分からなければ答え・解説を見ます。
このとき、答えをそのまま写すだけでは、次に同じような問題が出たときに対応しにくくなります。
見るべきなのは、答えよりも解き方の流れです。
・なぜこの公式を使うのか
・問題文のどこに注目するのか
・なぜこの式を立てるのか
・自分の考え方と何が違ったのか
を確認しましょう。
数学なら図や式の意味、理科なら現象が起こる理由、英語なら単語・文法・文の構造まで確認できると、次の問題にも生かせます。
③ 少し時間を空ける
解説を見た直後は、分かった気になりやすい時間です。
そのため、すぐに何回も繰り返すよりも、一度ほかの問題に取り組む、休憩する、次の日に見直すなど、少し時間を空けます。
忘れかけることは失敗ではありません。
むしろ、忘れかけた状態から「思い出そう」とすることが、記憶を強くしていきます。
④ 答えを見ずに、解き方を思い出す
時間を空けたあと、いきなりノートに最後まで書かなくても大丈夫です。
まずは問題を見て、頭の中で解き方を思い出してみましょう。
「最初に何を求める?」
「どの公式を使う?」
「どんな図や表を書けばよい?」
「最初の一行はどう書く?」
ここで答えを見ずに考えることが重要です。
ペンと紙がなくても、通学中や休憩時間に問題を眺めながらできる勉強です。
⑤ 自力で最後まで解く
解き方の流れを思い出せたら、答えを見ずに最後まで解いてみます。
途中で止まった場合も、「全部できなかった」で終わらせる必要はありません。
どこまではできたのか、どこから止まったのかを確認しましょう。
最初の一歩が出なかったのか。
途中の計算で間違えたのか。
公式は分かっていたけれど、使い方が分からなかったのか。
つまずく場所が分かれば、次に復習すべきことも明確になります。
⑥ できなければ、また解説を確認して時間を空ける
まだ解けない問題は、もう一度解説を確認します。
そして、また少し時間を空けてから挑戦します。
「答えを見る」
→「時間を空ける」
→「答えを見ずに思い出す」
→「自力で解く」
この流れを繰り返すことで、解き方が少しずつ自分のものになります。
解き直しで大切なのは、回数より「答えなしでできたか」
同じ問題を何回解いたかよりも、答えを見ずに解けたかどうかが大切です。
解説を見ながら解けた。
答えを見た直後なら解けた。
これは、理解の途中です。
時間を空けても、自分で最初の一歩を考え、最後まで解けた。
この状態になれば、その問題はかなり自分の力になっています。
間違えた問題は、できないことを確認するためのものではありません。
「次にできるようになるための教材」です。
忘れることを前提に、少しずつ思い出す練習を重ねていきましょう。
解き直しは、「できなかった問題」を責めるためのものではありません。
どこで止まったのかを確認し、時間を空けてもう一度挑戦することで、少しずつ「自分で解ける問題」に変えていくための時間です。
私の授業では、間違えた問題に対して、ただ解説を読むだけではなく、「なぜ間違えたのか」「次は何を手がかりに考えるのか」まで一緒に確認しています。
一人では解き直しが続かない方、答えを見れば分かるのに次に解けない方も、授業を受けながら自分に合った復習の方法を作っていきませんか。
問題を解けるようになる喜びを積み重ねながら、勉強を続けられる力も一緒に身につけていきましょう。